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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2012/01/10(火)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇-35 (魔界胎動/淫獣の館ⅩⅤ)
 ヒュッ――
 風切り音が耳に届いた。宗二郎が見上げると、庄司の眼から何かが生えていた。
 ヒュッ――
 また音して、庄司の貌に生えているものが二本に増える。
 それは矢だった。
「大丈夫か!?」
 見知らぬ二人の男の姿が宗二郎の視界に入った。――誰だ?
 しかし宗二郎にとって二人が誰かということはさほど問題ではない。いま彼の内部(なか)で渦巻いているのは憤怒の黒い炎だった。冴子を殺された怒りが炎(ほむら)となって烈しく燃え盛っている。
 ――殺してやる! テメェらすべて鏖(みなごろし)だ!
 己が躰まで焼き尽くさんとするほどの業火が暴れまわり、宗二郎の躰から噴き荒れた。放たれた炎が獲物を求める! 喰らってやる! 喰らって焼き尽くしてやる! 憤怒と憎悪から生まれた復讐の黒き炎の龍が、化け物となった庄司をいざ喰らわんと見定めた。
 気付いたときには動いていた。
 獣に似た俊敏さで間合いを詰め、宗二郎は庄司の懐に潜り込む。拳に力が籠もった。渾身の力を込めて、斧を振り上げた。――庄司の首が宙を舞った。
 さらに袈裟懸けに振り下ろす。
 庄司だったモノが、二つになって崩れ落ちた。
 ヒュッ――
 矢が宗二郎の横を駆け抜け、異形の黒い騎士に向かう。が、騎士の硬い鎧の肌に矢は弾かれた。
 宗二郎が斧を振りかぶり、騎士に飛びかかった。
 斧の刃でも、騎士の躰には傷をつけられない。
 黒い騎士は沈黙していた。まるで宗二郎など見えていないかのように。人間(ヒト)の脅威など、虫にも劣るとでもいうかのように。
 あるいは、
 黒い騎士には感情などないのかもしれない。それは機械と似ていた。命令がなければ動かぬ機械人形。見るものにそのようなイメージを抱かせる。
 宗二郎の渾身の一振りで、斧の刃に亀裂がはしった。
 さらに一振り。
 亀裂は拡まり、斧が砕けた。
「やめろ!」
 男が飛びかかり、宗二郎の躰を押さえ込む。
「今のうちに逃げるんだよ!」
 異形の騎士は微動だにもせず、ただそれを眺めていた。



<作者のことば>
「淫獣の館」編終了~~!!!!(パフパフパフ~~)
ここで出てきた二人の名前を出せなくて残念ですが(出す予定だった)、区切りがいいので次のパートに移ります。

次回からは「黒き犬(仮)」編を予定。
これからプロット練る(!)ので、少しだけ間が空くと思われます。

早くて今月の下旬、遅くとも来月には再開したいです。
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ポール・ブリッツ | URL | 2012/01/10(火) 07:14 [EDIT]
恋愛描写と性愛描写は照れますよねえ(^^)

だからわたしの嗜好も暴力と陰謀に向かうのですが(^^;)

現在、わたしも恋愛描写に抵抗力をつけるため練習中(笑)

匡介 | URL | 2012/01/10(火) 15:43 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん
玖堂はエロス,バイオレンスandグロテスクって感じでしょうか、現在。
なんか恋愛は恥ずかしい以前に、文章が浮かんでこないんですよね。……経験の問題?(笑)

まぁ 書けたら書けたで、恥ずかしいわけなんですが!

でも、書けないよりは書けるようになりたいですね。
あ、久しく恋愛小説読んでいないのも一因かもしれない!

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