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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2012/01/08(日)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇-34 (魔界胎動/淫獣の館ⅩⅣ)
 黒いものが深々と冴子の背に突き刺さっていた。
 始めはそれが何なのかわからなかった。
 それは尾であり、針であった。
 まるで黒い騎士のような新たな化け物の、蠍を思わせる巨大な針の尾が冴子の躰を貫いていた。明らかに死に至るであろう大きな傷が、宗二郎の眼(まなこ)に映った。
 すべてが崩れ落ちてゆく――
 そんな感覚に襲われ、全身の力が抜けていくように感じた。
 冴子の躰が床に倒れた。
 悲しみが、
 絶望が、
 宗二郎の全身を駆け巡った。
 自分が護ると誓ったばかりなのに、護ってやれなかった――
 深い悔恨が、宗二郎の心を蝕む。
 パンドラが開けた禁断の匣から四方八方に飛び去った禍(わざわい)が、すべて降りかかり、絶望という大海の奥底に沈められたような気分だった。
 死にゆく冴子の表情(かお)が、ふっと笑みをこぼした。
 宗二郎はハッとした。死の間際になって、冴子が正気を取り戻したかのように思えた。それまで死んでいた瞳が、今は弱々しくも生の光を放っている。
 宗二郎は手に力を込めて、斧を振り回した。庄司の口から生えた触手が宙を舞う。庄司がひるんだ隙に、冴子に駆け寄り躰を抱き寄せた。
 冴子は何かを言おうとしているようだったが、彼女にはもう言葉を口にするほどの力は残されていない。
 最後の力を振り絞って、冴子が宗二郎に口づけした。
 突然のことで宗二郎は戸惑ったが、気付けば冴子は腕の中で息絶えていた。
 宗二郎の頬を涙が伝う。
 彼は斧を手に、立ち上がった。



<作者のことば>
実際は冴子は終盤まで生き抜く予定でしたが、ここで舞台を去ることに。
おお、さらば冴子・・・お前の遺志はきっと宗二郎が継いでくれるはず!(死ぬかもしれないけど!)

ちなみに淫獣の館が終わり次第、しばらくお休みいだたく予定です。

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ポール・ブリッツ | URL | 2012/01/09(月) 07:43 [EDIT]
口を伝って宗二郎の身体によからぬものが、と思ってしまう(笑)

フェイスハガーだったりして(^^)

匡介 | URL | 2012/01/09(月) 23:17 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん
人から人だとエイリアンより物体Xが浮かびましたが(庄司とかもはやX寄りの存在になっちゃってますし!笑)、そこまで息つく暇ないとこちらが疲れます!!

それより恋愛要素絡めるのやっぱ苦手だな、と思いましたね(そこまで恋愛恋愛してないけれど)。
愛だの恋だの知るか!って気分になりますよ、書いていて。

そして露骨な性描写の方より書いていて恥ずかしくてだめです(笑)

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