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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2011/12/29(木)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇-32 (魔界胎動/淫獣の館ⅩⅡ)
 黒川宗二郎は眼前で行われている悪魔の行為に身の毛がよだつ思いだった。
 眼を血走らせながら無心になって腰を振り続ける稲毛の姿は、まさに狂気としか言いようがない。その下敷きになっている今村冴子は、魂を喪ったかのように表情が死んでいた。
 稲毛はすでに五回も冴子の内部(なか)で果てていた。
 そのすぐ隣では、血にまみれた丸山の躰が転がっている。丸山はすでに事切れていた。
 丸山の血に、冴子も稲毛も赤く染まっていた。血にまみれながらも狂ったように冴子を犯す稲毛の姿に、宗二郎は恐怖すら感じた。その様相は悪魔を崇拝した邪教の儀式のようでもある。
 宗二郎と冴子の目が合った。――確かに目が合ったはずだった。しかし冴子の方には何の反応もなく、彼女の眼はただ虚空を見詰めているだけだった。彼女のそれは貌に穿たれた二つの孔に過ぎなかった。
 ――冴子の精神は壊れてしまったのか。
 恐怖に呑まれていた宗二郎の心に怒りが込み上げてきた。烈しい憤りだ。それは小さな種火からすぐに大きな炎に成長した。その劫火は宗二郎の内部(なか)で烈しく渦巻き、出口を求めてうねり暴れている。
 宗二郎は斧を持つ手に力を込めながら、狂態を演じている二人にゆっくり歩み寄った。
 その貌は至極冷静そのものだが、その双眸には黒い炎が宿っていた。
 怒りと憎しみの黒き炎である。
 宗二郎は斧の柄の部分で、稲毛の貌を殴りつけた。吹き飛ばされた稲毛が床に転がる。
 そのとき初めて、稲毛が宗二郎を見た。
 それは一瞬のことだった。
 宗二郎と稲毛の視線が絡んだと思ったときには、稲毛の首は飛んでいた。
 今度は刃を向けて、斧を振るわれていた。
 宗二郎には一切の躊躇いもなかった。少しの躊躇もなく、稲毛に死の一撃を与えたのだ。
 稲毛を殺した宗二郎は、冴子の躰を起こしてやった。生気のないその瞳から、一条の涙が零れ落ちた。
 気付けば宗二郎は、冴子の躰を抱きしめていた。



<作者のことば>
宗二郎の中で何かが変化してしまうエピソードですが、もっとよく書いてやりたかった。
思ったより文章がのらず、書いた!という感覚があまりない。

話は進んでいるので、いいんですけどね。
その時々で文章にムラがあって申し訳ないです。

多めの登場人物がいた「淫獣の館」編ですが、すでに残るは宗二郎と冴子を除いて多田、梅崎、庄司のみ。
東條はモールを去り、このバトルロワイアルも終盤に。この中で生き残るのは一体……。

……そろそろ「淫獣の館」編の次を考えないと。
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COMMENT

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ポール・ブリッツ | URL | 2011/12/31(土) 22:40 [EDIT]
「いい人」になってしまった人は殺されるの法則。

「悪い人」になってしまった人は殺されるの法則。

やっぱりアクションホラーは地獄だぜヒャッハー(笑)

よいお年を。
● 管理人のみ閲覧できます
| | 2012/01/02(月) 22:52 [EDIT]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

匡介 | URL | 2012/01/05(木) 01:04 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん
全員じゃないですか(笑)
今年もいい人も悪い人も殺される小説を書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

匡介 | URL | 2012/01/05(木) 01:21 [EDIT]
>シークレットさん
お久しぶりです。
まさかこのようなコメントを頂くと思っていなかったので、黙っていたようなかたちになりましたが、一応読んではいました。で、せっかくなので改めて読み返しました(ちょっと疲れた)。

この場で感想を細かに書くことは控えさせて頂きますが、読みやすい文章に、わかりやすい内容で、全体としてとても読みやすいつくりだと思います。
もっと複雑になっていてもいいくらいなのに、読んでいて難解さを感じさせないあたりはさすがだな、と。歴史や文化に対する造形の深さのなせる業でしょうか。そういった要素はさらっと織り交ぜられるのは羨ましいです。このあたりは本当、到底敵わないですね。

もっと踏み込んだ感想を書いてもいいのですが、そもそも僕より全然上手いので、アドバイス的なものは憚られますし、そういうのを求められているのかはわからないので今回はなしで。(もし聞きたいければ、そちらに書いたりなどしても構わないですが。)

個人的には、最後にランスロットが登場したのにはテンションが上がりました。今後の活躍に期待。
第1部完結お疲れさまでした。続きを楽しみに待っていようと思います。
● 管理人のみ閲覧できます
| | 2012/01/10(火) 22:58 [EDIT]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

匡介 | URL | 2012/01/11(水) 01:22 [EDIT]
>シークレットさん
さすがに最初から通しで読むとそれなりに量があって、少しばかり疲労感が・・・。
それに二度読み返したということもあるので。

ま、一番かどうかはわかりませんが(先着順であれば、そうかも・・・?)、そう思ってわざわざコメントくださったのであれば、嬉しいです。
あと、そういうことでしたら、ご希望であれば(以前と変わっていなければの話ですが)こちらから送ってもいいのですが、どちらがよろしいでしょうか?

考えてみれば、感想文とか苦手なんですけど、そのうちお送りしたいと思います。
では、続編の方も頑張ってくださいませ。近いうちに読めることを期待してます。

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