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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2011/12/28(水)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇-31 (魔界胎動/淫獣の館ⅩⅠ)
 狂気に駆られ、鬼の形相の廣石が目の前に立っている。
 それと対峙する宗二郎は気圧されていた。殺すまで立ち上がってきそうな廣石の姿がいやに恐ろしい。その雰囲気は人間離れすらしている。
 そのとき、
 廣石の背後に人影が浮かびあがった。
 ――誰だ!?
 宗二郎の視線に、廣石も異変に気が付き、振り返った。
 そこにいたのは、東條であった。
 東條としか名乗らず、ほかとも口を利かないその男は、一緒にいたメンバーの中でも特に異質な雰囲気を持っていた。その眸(め)は鋭く、さらには冷たい印象を窺わせる。宗二郎は、最初に会ったときから東條の身裡に潜む攻撃的な野性を感じていた。
 その東條の右手にはアイスアックスが握られていた。
 アイスアックスとは冬山のアイスクライミングに使用される、いわゆるピッケルのことである。
 鋭く刃状がギザギザとしているアイスアックスが、転がったライトに照らされてギラリと光った。
「なッ――」
 不意に現れた東條への驚きとそのアイスアックスを手にした異様な雰囲気に、一瞬気圧されてしまった廣石は東條目掛けてナイフを振るった。東條は素早く身をかがめてそれをかわし、下から上へ弧を描くようにアイスアックスを振るった。
 アイスアックスの切っ先が廣石の首を貫く。
 東條はそのままアイスアックスを強引に引き抜いた。廣石の鮮血が噴き荒れ、血の雨が降り注ぐ。
 廣石の躰を東條が蹴り飛ばすと、廣石は血を噴き出したまま床に倒れた。
 東條が廣石の手からナイフを拾い上げ、宗二郎を見遣った。
「殺す気でいかないと殺されるぞ」
 東條は、廣石を殺したことなど意に介してもいないようだった。
「ここじゃもう法律も何もないんだ。こういうやつは厭わず殺さないと自分の命がなくなるだけだぜ」
 東條は宗二郎に背を向け、闇に向かって歩き出した。
「俺はもうここを出て行く。じゃあな」
 取り残された宗二郎は、目の前に転がる廣石の死体を見遣ったが、すぐに目を背けた。

 ***

 佐俣努は、見失った梅崎を捜しているときに、闇の中から現れた庄司克利に出会った。
 庄司は血の気のない貌をしており、眼は虚ろだった。
 そんな庄司の眼が、まばたきをした瞬間に、黒に染まった。
 まるで穴のように双眸が黒に覆われている。
 よく見ると庄司の両脚は人のものではなかった。
 それは異形であった。
 黒い体毛にびっしりと覆われ、足には蹄のようなものがあった。
 しかもところどころ体毛が生えていなく、筋繊維のようなピンクのものが露わになっている。
 庄司の口が頬まで裂けてニタリと嗤った。
 次の瞬間、佐俣の躰は崩れ落ちた。
 佐俣は絶命していた。



<作者のことば>
淫獣の館編が案外長く続いているけれど、キャラクターが多いので当たり前か。
それより佐俣ここで死ぬ予定じゃなかったんだけど、どうしよう。

煉獄篇のキャラクターは、煉獄篇を書き始めるときにほとんど決めてました(地獄篇は行き当たりばったり)。
ただ今回の淫獣の館編を始める前に、丸山、梅崎、稲毛、庄司、廣石の5人を新たに追加。しばらく登場してなくて影薄くなってますが、多田は煉獄篇書き始めるときにモールを舞台にしたときに出そうと思っていたキャラです。

この6人+黒川宗二郎と今村冴子でモールが舞台の淫獣の館編を考えていました。
ところが予定外だったのは東條で、こいつに書き始める直前、というか若干書き始めてから浮かんだキャラで、かなり飛び入り参加。

さて、バトルロワイアル in ショッピングモールの行く末は……。

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COMMENT

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ポール・ブリッツ | URL | 2011/12/28(水) 18:04 [EDIT]
誰が生き残るんだろう?

どきどきしてます(^^)

匡介 | URL | 2011/12/29(木) 14:51 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん
こいつだけは絶対に生き残らせる or どこかで死亡させるっていう人物はいるんですが、それ以外は案外決めずに書いているので、書いてるときのノリや流れで決定づけられてます(笑)
意外な人物を死亡させたり、あるいは生き残らせるのが好きなので、いろいろ予想しながら読んでみてください。

予定としては、そろそろ煉獄篇としての新展開も・・・!!

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