FC2ブログ
みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2011/12/10(土)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇-22 (魔界胎動/淫獣の館Ⅱ)
 多田実は恰幅のいい男だった。齢(とし)は聞いていないが、おそらく四十は過ぎているだろう。思春期の娘の扱いに悩み始めた父親、というイメージがよく似合う。実際にそういう娘がいるのかもしれないが、冴子は何も訊かなかった。少なくともその娘は、この場にいない。
 丸山厚は多田同様に恰幅がよい体型だったが、さらに腹が出ていた。大柄で、この場にいる誰よりも背が高く見えた。それが体型のせいで、余計に大きく見えるので他者に圧迫感を与えている。多田は温厚さが顔に表れているが、丸山は粗野で荒っぽい印象があった。
 そんな丸山に次いで背が高く、がっちりした躰をしているのは佐俣努で、山男のような髭面をしている。見た目からすると多田、丸山と同様に中年だった。
 彼らに対して若いのが庄司克利と廣石裕行、そして東條(彼は東條としか名乗らなかった)の三人だ。庄司はその鍛え上げられた躰が、服の上からでもわかった。盛り上がった胸筋で服がはち切れんばかりである。
 廣石は眼鏡をかけた神経質そうな青年で、冴子たちと目を合わせようともしない。どこか暗い感じのする男だった。同じく無口なのは東條だが、その鋭い目つきは野生動物を思わせ、どこか攻撃的なオーラが漂っている。東條の足許には汚れたバックパックが横たわっていた。
 そして唯一怪我をしている稲毛光男は、化け物に襲われたらしく、右腕が包帯で巻いており、三角巾で吊るしてあった。目の下には隈(くま)が深く刻まれており、目は血走っている。
 彼ら七人は、宗二郎と冴子より先にこのショッピングモールに辿り着いて、化け物相手に籠城をしているということだった。
 二人は水を飲んでいたところを多田に声を掛けられ、そのまま彼の仲間を紹介されたが、どれも一癖ありそうな雰囲気がある。頼りになりそうなのは半分ほどだと冴子は思った。
 宗二郎は少しばかり眠りたいと伝えると、余っている――もちろん商品だが――毛布があるので、それを使うといいと多田が言った。
 多田に案内され、宗二郎は毛布を手に取り――商品の――ソファに横たわった。ソファは売り場から運ばれてきたものらしい。必要なものは多田たちの手により、一箇所に集められていた。おかげで広いモールを歩き回らなくても生活ができそうな様子である。
 慣れない男たちに囲まれた冴子は落ち着かなくなって、モールの中を歩いてみることにした。冴子は男たちの視線を背中に感じながら、その場を離れた。




<作者のことば>
あまり文章が乗らない(おそらくパソコンのせいというのが大きい)。
とりあえず一気に人数増えたことで混乱しないように、どうにか書いていきたいな、と思ってます。


[ TB*0 | CO*4 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する

ポール・ブリッツ | URL | 2011/12/10(土) 12:58 [EDIT]
よくよく考えたら、「淫獣の館」って……。

菊地秀行先生か夢枕獏先生か。

どきどき!!

匡介 | URL | 2011/12/10(土) 20:27 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん
あ、全然考えもつきませんでした(笑)
菊地秀行も夢枕獏も読んだことはありますが、影響を受けたといえば、明らかに夢枕獏だと思います。

といっても物語の内容ではなく、文章のほうですが。
非常に動的な表現や詩的な表現の仕方には影響を受けました。

ちなみに小説でエロス&バイオレンスなら西村寿行あたりも好きです。

ポール・ブリッツ | URL | 2011/12/11(日) 17:15 [EDIT]
そっち路線ですか。だったら、船戸与一先生なんかお好みのタイプではないかなあ、と思います。

初期の、『非合法員』『山猫の夏』『猛き箱舟』あたりを読まれてはいかがでしょうか。面白さは保証しますんで(^^)

匡介 | URL | 2011/12/11(日) 19:19 [EDIT]
>ポール・ブリッツ
前回紹介されたので、「山猫の夏」はすでに積んでます(笑)
近いうちに読みたいんですが、積みすぎてていつになるやら……。

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © みやび萬紅堂。. all rights reserved. ページの先頭へ