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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2011/12/08(木)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇-21 (魔界胎動/淫獣の館Ⅰ)
 あれからどれだけの時間が経ったろうか。正体不明の化け物――それは白い塊、人ほどある巨大な蛆のようだった――から逃げるために無我夢中に走った。化け物が追って来ていないことがわかると、速度を落として歩いた。どこに向かっているのかもわからない。息は上がっている。脚が棒のように感じられた。
 今村冴子は、隣を歩く黒川宗二郎を見た。彼が何者なのかはわからない。職業も齢(とし)も知らなかった。それでもどこか頼もしく感じるから不思議だ。無愛想だが、さりげなく知性が漂っている。それでいてその眸(め)には、生命力がうねっているかのような野性が潜んでいた。
 逃げるときも手放さなかったその斧が、宗二郎の身裡に潜む暴力的な性を表現している気がした。見た目は華奢だが、それでいて触れれば怪我をしてしまいそうなのである。冴子は、そこに不思議な魅力を感じていた。
「喉が渇いたな」誰に言うでもないふうに、宗二郎が言った。実際にそれは単なる独り言だったのかもしれない。「あそこに行ってみるか」
 宗二郎が指したのは、巨大なショッピングモールだった。
 おそらく商品の飲み物が残っているだろうし、汗をかいて着替えたかった。そういう意味では、何かと都合がいい。ついでに少し休めればと冴子は思った。
 しかし何より飲み物が欲しい。冴子も随分と前から喉が渇いていた。
 二人はモールを目指した。


 ショッピングモールの中は静かだった。人の気配は感じられない。人でごった返した光景しか知らなかったので、妙な気分だった。
 冴子はペットボトルの水をがぶ飲みした。水分(みず)に飢えていた冴子の躰に、それがじわっと拡がってゆくのが自分でもわかった。
 宗二郎もペットボトルを開け、ごくりごくりと喉に水を流し込んだ。表情には出していないが、やはり疲れがあった。短時間でいいから眠りたい。豹変した世界で、化け物から逃げ、安全な場所もわからず、目的のない路行きほど、体力・気力ともに消耗するものはなかった。とりあえず休んで、それから今後のことを考えたいと思っていた。
 そのためにも、この場所が安全かどうか確かめなければならない。
 そのとき――、
 背後に忍び寄る気配があった。



<作者のことば>
なかなか時間が作れず、予定より前回との間が出来てしまいました。
あとPCの調子が悪くて、反応も異常に遅いんですが(重いだけかも)、画面が乱れて明滅するという、いつ逝ってもおかしくない具合になっていて、使っていて恐々しています。

そんなストレスフルな環境のおかげで、今後の更新ペースが予想できず……。

もし今年中にもう一度更新がなければ、たぶんPCが逝ったんだと思います。
これ書いてるときも結構ヤヴァいです。キーボードの反応も超絶遅いし。。。
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ポール・ブリッツ | URL | 2011/12/09(金) 07:43 [EDIT]
敵ですか!?

匡介 | URL | 2011/12/09(金) 11:39 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん
どうでしょう?(笑)

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