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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/07/30(水)   CATEGORY: 「怪奇蒐話」
「紙袋を被った男」
仕事の帰り道。もう夜は遅く、あたりは暗い。
会社から自宅までは歩いて20分くらいの距離にある。とても近くて便利だと思う。

帰り道にある公園の前を通る。
とても小さな公園で遊具はすべり台とブランコしかない。本当に小さな公園だ。

今日もその公園の前を通ろうとすると音がした。
グシャという音がある一定の間隔で繰り返されているのだ。

グシャ。グシャ。

それは公園の中から聴こえてくるようだった。
そのまま素通りしてもよかったのだが、気になって公園の中を覗いてみる。

暗くてよく見えない。

何かが動いていた。
シルエットからは何かが振り上がっては落ちるように見えた。ここにあんな遊具があっただろうか。

グシャ。グシャ。

その音は何かが落ちるシルエットと同じタイミングで聴こえた。
振り上がる、落ちる。グシャ。振り上がる、落ちる。グシャ。

月明りが差して少しだけ公園の中が見えた。

そこには人間が立っていた。頭には紙袋を被っている。
背が高い。きっと男だと思う。

男は右手を振り上げた。

その手には斧が握られていた。

斧が振り下ろされる。

グシャ。

男が振り下ろした斧の先には女が横たわっていた。
いや、それが女だとは言い切れない。もはや原形をなくしていたのだ。

こっちに気付いたのか男は振り向いた。

紙袋には目の部分が切り出されていて中から外が見えるようになっていた。
その穴からこちらを覗く。こちらからは男の目は見えない。

思わず走って逃げた。ひたすら走って自宅に向かった。
途中で振り向いて後方を確認してみると、公園から男が出てきた気配はない。誰も追ってきていなかった。

自宅に着くとすぐに布団を被っておとなしくしていた。
しばらくすると眠りに落ちた。

次の日は普通に会社へ行った。
自宅を出る前にニュースを確認したけれど、昨日のことに関係するようなことは何もなかった。

今思うと暗い中で見たものが本当に死体だったかどうかもわからなかった。


***


3日後の夜、玄関のわきにある開いた窓に人影が見えた。


目のところだけ切り抜かれた紙袋を被っている。


その穴からこちらを覗いていた。


<作者のことば>
これを読んで「13日の金曜日のジェイソン・ボーヒーズみたい」と思ったアナタはツッコミの才能がありません(笑)

実は「怪奇蒐話」の中でも気に入ってる1作。

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