FC2ブログ
みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2011/06/09(木)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇‐14 (Si vis pacem,para bellumⅠ)
 死屍累々という言葉がぴったり合うような光景が目の前に広がっていた。
 野坂は亮太郎を連れて、自分が属している自衛隊駐屯地に辿り着いたが、そこでは銃弾が飛び交った痕跡(あと)と無数の屍で溢れていた。
「これは……」
 あまりの様相にさすがの野坂も言葉が出ない。いかに見たこともない化け物が地上に溢れ返ったとはいえ、ここは比較的安全な場所だと思っていた。――あの化け物を前に、我々人間はどれほど無力なのだろう……
 恐るおそる建物の中に入ってみる。引きずられたような血の痕跡が床に続いていた。
「誰も生き残ってはいないのか……?」
 建物の中は静まり返っていた。人の気配も、化け物の気配も感じられない。すでに化け物どもに、完全に喰い荒らされたあとのようにも見える。
 野坂は声をあげて誰かいないか呼んだ。返事はない。相変わらず野坂と亮太郎、二人以外に物音を立てるものは感じられなかった。
 横たわっている屍とともに拳銃が落ちていることに気付いた野坂はそれを手に取り、弾倉を確認した。中は空で、全弾撃ち尽している。「……武器が必要だな」
 野坂は亮太郎を連れて武器庫に向かった。かなりの量の銃火器がなくなっていた。誰も彼もが化け物どもに対抗するため武器を持ち去っていったのだろう。それでも全てがなくなっていたわけではなく、とりあえず拾った拳銃に9mmパラベラム弾の詰まった弾倉を入れた。9mmパラベラム弾のパラベラムとはラテン語の「Si vis pacem,para bellum」からきている。意味は「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」という警句であり、すなわち平和を維持するためには高い軍事力を以(も)って敵に攻撃をさせないような社会を目指すべし、という内容だ。だが、今の野坂にとってはこれは違う解釈となるだろう。彼はこれから平和を得るために戦いに備え、そして戦って自らの手で平和を得なければならないのだ。
 野坂は拳銃を腰に差し込み、今度は通称M9(エムナイン)と呼ばれている9mm機関拳銃を手にする。弾倉を確認してからM9はスリング(ベルト状の吊り紐)が付いているので肩にかけた。
「ひとつの駐屯地が全滅してるんだ。ひとりが持ち歩ける程度の火器で、化け物どもに抵抗できるとは思えない。ここにあるものを出来るだけ多く持っていきたいと思っているから、これから自動車(くるま)を探しに行こう」
 亮太郎は野坂の言っている意味がよくわからなかったが、それでも素直に頷いた。
 駐屯地には破壊されていた車両も多かったが、その中には無事なものもあった。しかも好都合なことにキーが挿さったままである。その車両は軽装甲機動車、野坂たちは略称のLAV(ラヴ)と呼んでいるが、軽装甲機動車という名の通り装甲に覆われた軍事車両である。装甲車ではあるが、その名称と防衛省内での愛称が「ライトアーマー」であることからもわかるように、軽量化され機動性にも富んでおり身を護りながらの移動に適している。まさに打ってつけの車両だった。
 運転席に乗り込んだ野坂はLAVを武器庫の近くまで動かして停めた。そして出来る限りの火器と弾薬を車内に放り込む。これには微力ながら――野坂は危ないと言ったのだが――亮太郎も手伝った。
 そして銃火器の大体を積み終わったとき、どこかから物音がして野坂は瞬時に身構えた。スリングで肩からさげたM9を構えて、周囲を見回す。
 ――まさか、生存者がいるのか?
 野坂はわずかな希望に懸けて、危険を覚悟に再び建物の中へと足を踏み入れた。



<作者のことば>
煉獄篇の続きが書けました。
ほんと頑張ったので、読んでもらえたら嬉しいです。(いや、マジに。)

そして一言でもいいので感想もらえたら嬉しいです。
そういうちょっとしたことがかなりの励みになるし、モチベーションに繋がるので。

今回はちょっと全然知識ないところからの下調べをして書いたので、わかりにくいところもあるかもと不安です。

で!!

次回からついに煉獄篇の始まりです!!(……え?)

あーしんどかった。マジここまでしんどかった。
結構な期間空いたのをいいことに書こうと思ってた数話(エピソード)なくしてショートカットしたほどだ(……ん?)。

次回はついに奴が!! それは誰だ!?
それはまだ……混沌の中。
それが……MUKURO!!

[ TB*0 | CO*4 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する

ポール・ブリッツ | URL | 2011/06/09(木) 22:49 [EDIT]
よくがんばった!

感動した!

それにしても軽装甲の戦闘用車両ですか。燃料はそれほど食わんとはいえ、大丈夫なんかな。

たしかにジープなどでは防御に問題がありますが……。

ここが煉獄篇の最初のターニングポイントですか。

どきどき!

匡介 | URL | 2011/06/10(金) 01:04 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん

コーチ、やりました!!!!

とか体育会系のノリが似合いそうなコメントありがとうございます(笑)

一応、煉獄篇再開に繋げようと思って完全版をupしてました。
あとホント長らく書いていなかったので、内容どうだったか自分自身ちょっと曖昧になっているかもと思い、読み返しながら若干修正入れていて出来たのが完全版って感じです。もう再開するにあたっての副産物です。

軽装甲機動車は、正直乗り物なら何でもよくて候補にジープもあったくらいなんですが(笑)、せっかくなので普段出さないようなのにしようと思って選びました。……自衛隊のHPで紹介されてる車両の中から(笑)
実はミリタリー関係は詳しくないのですが(何も知らないまま書くのは好きではないので、軽く調べたりした結果、思いっきり調べました!と主張しているような説明的な内容になってしまいました。。笑)、結構ゴツい車が好きで、でも戦車だと乗り物としてより火器としての比重が大き過ぎるだろうさすがに……ってことでLAVに。

ちょっと燃費とかまでは意識してなかったので、そういう見方もあるのかって思わされましたけど、とりあえず次の目的地に着けばいいと思ってます(笑)

本当なら、このまま同じペースでいければいいのですが、たぶん無理ですね~(苦笑)

でも、こうして応援して頂いているので、出来る限りのペースで書いていければと思います。
コメントありがとうございました。今後も頑張ります!!
● 管理人のみ閲覧できます
| | 2011/06/10(金) 12:36 [EDIT]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

匡介 | URL | 2011/06/11(土) 00:21 [EDIT]
>シークレットさん
あー やっぱりそうですよね(笑)
読み落としあるのかな~などと思って何度か探したんですけど見当たらなくて(笑)

てか、100・・・。。

が、頑張ります(汗)

いやー、ご心配とプレッシャーありがとうございます。
本当に目敏いなー。楽しみにされても困るなー(苦笑)

まぁ 地味~に展開していくので、地味~に応援してやってくださいませ(笑)

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © みやび萬紅堂。. all rights reserved. ページの先頭へ