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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2011/01/29(土)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇‐13 (遭遇Ⅱ)
 逃げた三人組は店を飛び出すと巨大な白い塊を目撃した。人ほどある大きさの白玉のようにも見えた。
「なんだ、これ……?」
 男のひとりが近付いてみると巨大な白い塊は、静かに動いていた。まるで呼吸をしているかのように、わずかに全体が上下している。
「おい、近付かねえ方がいいんじゃねえか?」
 仲間の男がそう言ったとき、その塊は蠕動しながら動き出し、近付いていた男に襲い掛かった。男は白い塊の下敷きになって、身動きが出来ない。塊は柔らかく、弾力があり、ゆっくりと男のことを呑み込んでゆく。
「逃げよう!」
 残る二人はすぐさまそう決めて、走り出そうとする。
 ――が、気付けばあたりには何十という白い塊が群がっており、二人は完全に包囲されていた。
 白い塊はゆっくりと這いながら男たちに近付いていく。男のひとりが悲鳴を上げた。


 冴子と宗二郎は男の絶叫を聞いて、何事かと店の外に目を向けた。
 店の前には何十という巨大な白い塊が並んでいて、そのうちのひとつが男に乗りかかり、全体で包み込むように男を呑み込んでいく様が見えた。
 蠕動し、進む白い塊のその姿に宗二郎はまるで巨大な蛆虫のようだと思った。
 宗二郎は再び手に取り、冴子に見遣って言った。「俺はここを出るけど、あんたはどうする?」
 一緒に行くというのが冴子の答えだった。独りでいるにはあまりにも心細い。
「その足で走れるか?」
「たぶん、大丈夫」
「そうか」
 店のすぐ前にいた蛆虫にも似た白い塊の表面がボコボコと変化を始めた。次第に形がはっきりしてきて、塊から顔のようなものが出てきていることに冴子は気が付いた。
 そして、腕のようなものも白い表皮を突き抜けるかのように現れ始める。
「なんだ、ありゃ……」
 あまりの不気味さに、宗二郎は息を呑んだ。が、意を決して店の外に飛び出る。そして店の前にいた変化中の塊に斧を振り下ろした。もう一度、振り下ろす。斧が白い塊を切り裂いて、それは二つに分かれた。
 しかし変化は止まらない。
 白い塊はついに人の形になった。白く、つるりとした表皮を除けば形は人間である。分断されたもう片方も同じように人の形に変化した。
 白い塊だったもの――ヒューマノイド・イミテーターは這う格好で宗二郎の方を向いた(といっても顔はのっぺらぼうのようだったので、目は存在していない)。
 宗二郎の斧がイミテーターの頭を吹き飛ばす。
「走るぞ!」
 そう言って、宗二郎は駆け出した。冴子もそれに追従する。
 もう片方のイミテーターはその場にいた男――宗二郎に腹を殴られた男だ――に飛び掛り、両の腕で男の首を捻る。骨が折れる音がして、男はぐったりと身を崩した。




<作者のことば>
実は前回の12話を書いたあと、そのままの体勢で寝てました。
本当はもう少し先まで書きたかったのだけど、目が覚めてからも眠くて眠くて断念。

ただ見えていたストーリーのヴィジョンを忘れないように、最後にメモを残して力尽きました。

『肉蛆』

メモしてたこと忘れてたので、一瞬なんだこれは!と思ってしまった(笑)
このときはまだ名前決めてなかったので、ヒューマノイド・イミテーターのことを「肉蛆」とイメージだけ残して眠ったようです。
「肉塊が蛆のように動く」というのが浮かんだイメージでした(表現できてたでしょうか?)。

ちなみにヒューマノイド・イミテーターは最初ヒューマノイドフェイカーという名前にしようかと思っていたのですが、フェイク(偽物)だとちょっと違うなと思い(語感として気に入ってたのだけど)、擬態って英語でなんだろう?と調べてみたらMIMICRY(ミミクリー)で、ああRPGの「ミミック」って擬態ってことか…などと思いながら、でも意味を見ているとイメージする擬態とは違う。

どうも「擬態」には身を守るためというニュアンスだな、それは何か違うな、と思って頭を悩ませました。

そこで擬態でなければ残るは模倣か、と思い立ち「模倣者」という意味のイミテーターに決定。
命名するって大変だなーって思った回でした。

本当はもっと長くなる予定でしたが、文章的に区切りがちょうど良い感じだったので13話はこんな分量に。
ところで今回、今まであまり使ったことのなかった表現方法(表現というのは違うかな?)を使ってみました。どこかわかるかなー?

気楽に書いてるので、たまに実験的なこともやっていきます。
少しでも表現の幅を拡げられたらいいなー、なんて。

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