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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2011/01/17(月)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇‐8 (急襲Ⅰ)
 昼休み中に突然校舎を襲った揺れはそれほど大きくないまでも、しばらくの間続いた。担任教師の指示で、机の下にもぐった雄大は隣の机の下で怯えた表情の千紘に「大丈夫だって」と声をかけてやった。しかし千紘はこくんと頷くだけで、相変らず怯えているように見えた。
 地震が収まって、スピーカーから校内放送が聞こえてきた。雄大は机の下から這い出し、千紘に手を差し伸べる。「ほら、大丈夫だったろ?」
 担任教師が全員の無事を確認するため皆に呼びかける声がした。
 ――そのときだった。校内の空気が一斉に震えるほどの悲鳴が響いたのは。
 スピーカーから音割れしながら発せられる叫びに、一同が唖然として、誰もが凍りついた。何が起こったのかわからない。全員がそういう表情(かお)を浮かべていた。
「みんな、とりあえず落ち着いて!」
 担任教師が冷静を促そうとするが、誰より彼女が事態を把握できずに混乱しているように見える。
「雄大……、一体なにがどうなってるの?」
 心細そうに、千紘が呟いた。
「おれにもわからねーよ……」
 そして、再び悲鳴がこだました。しかし今度はもっと近くで、だ。
 隣の教室から阿鼻叫喚の悲鳴が聞こえてきて、教室内が騒がしくなった。さすがの雄大も怖気づく。千紘は無意識に雄大の手を握っていた。
 それは突然だった。教室のドアは吹き飛び、ぬっと現れる巨大な影。人の何倍もあろうサイズのカマキリだ。あまりに非現実な光景に、誰もが反応できなかった。そして前脚(カマ)の一薙ぎ。雄大と千紘の視界が赤に染まった。教室が鮮やかな、赤に。
 噴き荒れる鮮血。首を喪失(うしな)い、胴より上を喪失い、夥(おびただ)しい血を溢れさせている躰。かつて人だったモノ。血臭に塗(まみ)れた肉塊がそこにはあった。たった一薙ぎによって、いくつもの命があっさりと絶たれ、教室は地獄絵図の様相と化してしまったのだ。
 ―― 千紘の悲鳴が教室に響き渡った。




<作者のことば>
亮太郎パート、野坂パートに続いて新しい登場人物の視点で物語は展開していきます。
段々と脳内のイメージが形作られてきて、調子出てきた、かな?

前にも書いた気がしますが、煉獄篇はそれなりに登場人物多くなる予定です。
だけど、誰が誰なのか混乱しないように、できるだけわかりやすく書いていきたいな、と。

それがひとつの目標ですね。

えっ 骸? 誰ですかそれ?

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