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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2011/01/12(水)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇‐5 (日常の崩壊Ⅲ)
 自動車(くるま)に衝突され、あるいはタイヤに巻き込まれ、数匹の小鬼がただの肉塊に変わった。突然現れた自動車の運転席を恐るおそる覗き見てみるとそこには首のない人間の体がハンドルに寄りかかっていて、亮太郎は思わず悲鳴を上げて逃げ出した。
 もう走る体力も気力も残ってはいない。ただ恐怖心だけが亮太郎を走らせた。
 前方に、男の姿が見える。生きている人間だ。近付こうとして、亮太郎はふと足を止めた。男の足元に誰かが倒れている。女性のようだった。そして男の手には刃物。刃渡り20センチはあろうかという包丁だ。
 包丁は血に塗れていた。
 男が他人の気配に気付き、亮太郎の方を見遣る。
 尋常ではない貌(かお)だった。眼は血走り、肌は蒼白。人のようで、人ではない。亮太郎の目には先ほどの小鬼たちと変わらなく映った。思わず後ずさりする。
 亮太郎には聞こえないほどの小声で、男はぶつぶつと何かを言っていた。そしてゆっくりと亮太郎の方へと歩み寄り始めた。
 あまりの恐怖に、亮太郎の脚は動かない。それどころが震えている。震えが止まらない。
 男の持つ包丁の刃先から血が滴り、点々と地面を赤く染めた。
 ゆっくり、ゆっくりと男は歩み寄る。
 ゆらゆらと揺れるような歩き方だった。
 目の焦点は合っているようにも、合っていないようにも見えた。その目に亮太郎が見たのは「無」だ。何もない。空っぽの目。あるいはそれは「絶望」なのかもしれない。男の中で何かが壊れてしまったのだ。そう、この男は壊れている。亮太郎は恐怖した。今までこのような人間を知らなかった。だから怖かった。あの化け物と同じく、未知の存在だった。
 ついに男は亮太郎の前まで来ると、じっくりと亮太郎を見た。品定めするように。上から下へ、下から上へ。男は見た。だが、そこに一切の感情は感じられない。そこにあるから見ている。ただそれだけのようでもあった。
 男は当然のように包丁を振り上げてそして――




<作者のことば>
実は前回分を書き終えたときは次話を全然違う展開で考えてました。
けど、なんか違うなーとずっと思っていて、だけど全然ベストな展開が浮かばなくて、若干妥協してしまいました。

ほんとは車から新キャラ登場!って展開を考えてもいたんですけど、そのパターンは地獄篇でやってるしなぁ…と。

そんな煮詰まってたところ、創作仲間である浅葱さんと少しお話する機会を得て、そのあとでふと第5話のヴィジョンが一瞬見えたんです。文章力は相変わらずですが、煉獄篇のテーマに沿った内容になったんじゃないかな、と個人的には思っていたり。(ちょっと量的に短いのが気になるけど…)
特に会話の中でヒントとなるようなものがあったわけではないんですが、創作について少し話したことが良い刺激になったんだと思います。そういうわけで、今回は浅葱さんにほんと感謝!

そして読んでくれている人にも感謝しています。
じゃなきゃ書き続けることなんて僕にはできません。

今後なんらかのカタチで創作する人同士で、話などをしたりできたらいいなぁ、と思いました。
何か良い方法ないかなぁ? やっぱ、刺激って大事だなって改めて実感。

つまり、MUKUROは皆さんに支えられて成り立っています。
玖堂匡介は皆さんのおかげでこうして書き続けることができています。

そのことに、本当に目一杯の感謝を。

それを作品を通してお礼となればいいなと思い、頑張っていこうと思います。
正直かなり未熟な腕前ですし、時には妥協してしまうところもあるとは思いますが、それでも面白い物語を目指して、僕はMUKUROを書き続けたいです。

煉獄篇、下手な文章だし、まだ始まったばかりですが、今後もよろしくお願い致します。

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