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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2010/12/29(水)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇‐3 (日常の崩壊Ⅰ)
 どれほど時間が経ったかわからない。動けないまま、時間だけが進み続けているような気がする。延々と。終わりなく。気付けば喉が渇いていた。それを意識すると全身に一瞬で疲労感が拡がり、ベッドで横になりたいと思った。しかし、眠るわけにはいかないと亮太郎は頬をはたいて立ち上がり、水道の蛇口を捻ってコップに水を注いだ。荒々しく注がれた水は少し零れてシンクを叩く。亮太郎はコップの中の水をゴクゴクと飲み干した。
 恐怖で心臓は高鳴っている。何が起きたのか今もわからない。人が死んで、よくわからないものが現れた。それしか認識ができていない。
 まだ帰っていない母親に、亮太郎の不安感は高まっていた。時間の感覚がなく、母親が帰ってきているべき時間なのかどうかなのかもわからない。思考がうまく働いていなかった。
 ドン、とどこの部屋からか物音がした。亮太郎の神経が敏感に反応する。ズル、ズルル、という床を擦れる音。無意識に脚が震えだす。涙が溢れてきそうだったが、亮太郎は必死に堪えた。腥(なまぐさ)さが鼻を突き、吐き気が込み上げそうになる。それなのに先ほど水を飲んだばかりにも関わらずもう喉がカラカラだった。
 ガラスの割れる音が響いた。亮太郎は思わず声を上げ、それから走った。玄関から飛び出す。――誰か助けて!
 外の世界は平常だった。何も異変は感じられない。車道を何台かの自動車が走っているのが見える。呆然としながら亮太郎は車道にふらふらと歩み寄っていく。騒音のようなクラクション。そこで亮太郎は意識を戻し、自分が車道の上に立っていることに気付いた。車がすぐそこまで迫ってきている。急ブレーキ。車は紙一重で亮太郎を避けて停まった。「おい、大丈夫か」と運転手らしき男が降りてきた。男は亮太郎に怪我がないことを悟ると大声で怒鳴った。「道路の真ん中を歩いて、なに考えてる!」
 恐怖で亮太郎は固まってしまった。謝らなきゃ、とは思うのに声が出てくれない。代わりに溢れ出るのは涙の方だった。
 男の手が亮太郎の頭に乗った。そして温かいものが亮太郎の頬を撫ぜる。それはぬるり、としていた。亮太郎は自分の頬を触り、手のひらを見た。そこには、べっとりと血がついている。
 亮太郎は男を仰ぎ見た。男の首から上には何も無い。代わりに血が溢れている。男の頭はアスファルトの地面に転がっていた。
 残った男の体の背後で何かが動いた。それは数メートルもある巨大なカマキリだった。
 叫び声すら出なかった。ばたん、と男の体が地面に倒れる。恐怖。両の膝が笑っていた。ガクガクと震えるだけで言うことを聞いてくれない。逃げなきゃ!と思うのに体は動かなかった。
 カマキリの血に塗れた前脚(カマ)がゆっくりと動き出す。
 突然、亮太郎は走った。さっきまで固まっていた全身が嘘のように動く。全速力で走り続けた。後ろを見るのは怖いので振り向かない。走って走って走る。逃げなきゃ! それだけを思う。亮太郎は走った。無意識に 生きたい と思った。そう、願っていた。




<作者のことば>
上手い具合に筆が進まない、というのは比喩で実際にはキーボードを叩いてるわけですが、なかなか言葉がスムーズに出てきてくれず、展開も思い浮かばない。それでもなんとか第3話書き上げました。

現在は不調気味ですが、追々調子を上げていければいいなーと(切望)。

出来れば新しいやつを考えて出したかったんだけれど、カマキリって過去に出てきてますよね~地獄篇で。
ただなんとなく目の前で人の首が落ちる、という映像が見えたのでそれに合わせて出せるやつ~って思ったときに浮かんだのはカマキリだけでした。カマキリさん、上半身の硬質加減と腹部の柔らかさのギャップがハンパないっすよね!(笑)

そいえばカウンターが15000を回ってました。ほんと感謝。少しでも見てくれている人がいるんだなーって思うとヤル気が出ます。おかげさまで3話書けました(こんなのだけど。苦笑)。今年中にもう2話くらい載せたいですが、ちょっと厳しいかな~。でもガンバリマス!

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COMMENT

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ポール・ブリッツ | URL | 2010/12/31(金) 20:39 [EDIT]
紅白見ながらPCいじってます。

よいお年を~。

匡介 | URL | 2010/12/31(金) 20:48 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん
僕も途中からですが紅白観てます(笑)
実は今日が大晦日だってこと忘れていまして~…。

DVD観てるときに気付いたので途中離脱して観てるんですけど、戻るタイミングがわからないまま観てます。

そちらこそよいお年を!!
わざわざありがとうございました♪

ポール・ブリッツ | URL | 2011/01/01(土) 11:42 [EDIT]
あけましておめでとうございます。

おとそのんでふらふら。

今日の更新サボりたいです(笑)

匡介 | URL | 2011/01/02(日) 15:29 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん
明けましておめでとうございます。
お屠蘇なんて長らく飲んでませんね~、小さい頃は飲まされてましたが。

てか、お屠蘇ってそんなに飲むものでは…(笑)

今年もよろしくお願いしますね。

鈴代まお | URL | 2011/01/03(月) 11:48 [EDIT]
あけましておめでとうございます。
お久しぶりです。
そしてカウンター15000回越え、おめでとうございます。

外伝での結末があのような感じだったので、今回の煉獄篇でも先の展開が読めなくて、次の話を楽しみにしつつ読ませてもらってます。
骸と柩の対決も楽しみにしています。
(今頃ですが「柩」って名前、カッコイイです!^^)

ではまた、読みにうかがいます。

匡介 | URL | 2011/01/04(火) 09:35 [EDIT]
>鈴代まおさん
あけましておめでとうございます!
そして地味~に15000HITしてました。ありがとうございます♪

Σてか、外伝読まれていたんですね!?
元々大したことないのに、最近さらにイマイチ上手く書けなくて恥ずかしいです~(叫)。特に鈴代さんのような書くのが上手い方に読まれていたなんて、穴があったら入りたい!! さら~っと読み流してくださいね…

ただ柩の名前は気に入っているので、カッコイイと思っているので嬉しいです(笑)

こんなつまらないところでよろしければ是非またいらしてください♪

凪水月 鏡花 | URL | 2011/01/07(金) 14:42 [EDIT]
あけましておめでとうございます。
親戚の激励が落ちこぼれの身には怖いです。
まぁ今年のお正月は寒波の影響で帰省できなかったのですが・・・。

あ、愚痴ってしまった!
最近携帯サイトにかまけてかなりブログから足が遠のいてますが、夏くらいまでは生存確認がてら遊びに来れるのではないかと・・・。

とりあえず・・・消える前の最後の記事は小説にしたい・・・。
今年もよろしくお願いします。

匡介 | URL | 2011/01/07(金) 15:02 [EDIT]
>凪水月さん
俺なんて何の期待もされてなかったので気楽に過ごしてましたが(笑)
でも、多少そういう緊張感があったほうがいいのかもしれません! おかげさまで俺は底辺です!!

よかったらたま~に息抜きにいらしてくださいね♪

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