FC2ブログ
みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2010/12/24(金)   CATEGORY: MUKURO・煉獄篇
MUKURO・煉獄篇‐2 (微震)
 昼頃になって、葛原 亮太郎はベッドを脱け出してキッチンに向かった。教えられていた通りに、母親が用意してくれていたお粥を温めて亮太郎はあまりない食欲でそれを口に運ぶ。亮太郎の通う小学校では風邪が流行っていたが、亮太郎もそれに罹(かか)ってしまったようで、今日は学校を休んでいた。
 スプーンでお粥を掬(すく)い、口の中に放る。亮太郎はあまりお粥が好きではなかったが、母親に少しでもいいから食べておきなさいね、と言われていて仕方なくいま食べている。
 カタカタカタ、と音がした。なんの音だろう?と亮太郎は思ったが、見てみると家具が小刻みに揺れている。地震だ。亮太郎はどうしていいかわからず、とりあえずスプーンを置いてテーブルの下にもぐってみた。
 それほど大きくはないが、揺れは続いている。
 急に心細くなった。小さなものでも、長く続く地震というのは不安感を煽り立てる。亮太郎はパートに出ている母親が自分のために帰ってこないだろうかと願った。地震は続いている。少しだけ、涙が出そうになった。
 長く続いた揺れも止まるときはピタっとやみ、テーブルの下から這い出てきて亮太郎は外の様子を窺ってみた。窓からは隣の家の庭が見える。隣のおじさんの姿がそこにあり、見知った顔を見たことで亮太郎の胸に安堵感が広がった。
 だが、どこか様子がおかしい。どうしたのだろう?
 亮太郎は乗り出すようにして、窓から庭にいるおじさんを見ていた。おじさんは苦しいのか、首を押さえるようにもがいている。先ほどまで赤くなっていた顔が、今度は蒼白に変わってきていた。
 何がなんだかわからないが、どうにも大変なことが起きているような気がして、無意識に亮太郎はグッと手を握り締めた。
 次の瞬間、おじさんの顔の皮膚の下で何かが蠢いているように見えて、亮太郎は怖くなった。するとおじさんの胸から何かが突き出てきた。黒い棒のようなもの。おじさんが胸を押さえると棒は消えていた。その代わり、今度は喉からそれが突き出した。そして顔からも。皮膚を突き破り、おじさんから血を溢れさせながら黒い棒が体内から飛び出している。なんだろう――このことは見てはいけない気がして、亮太郎は目を瞑った。
 数秒して、指の隙間からそっとおじさんの様子を窺う。おじさんの首から上は、もうおじさんではなくなっていた。おじさんの体内から皮膚を突き破って現れたらしい、巨大な蠅がヴヴヴヴヴヴという羽音を立てて、そこに乗っていた。
 恐怖は頂点に達し、亮太郎は大声で叫んだ。そしてカーテンを閉めて床にしゃがんだ。ヴヴヴヴヴヴヴヴという羽音だけが聴こえてきている。それが一瞬近付いたと思うと、音はどんどん遠ざかっていった。それでも亮太郎はその場に伏せたまま動くことはできなかった。



<作者のことば>
第1話を載せたあとに書きました。MUKURO=追われている感があるのは毎回のこと。
なんか煉獄篇に登場予定人物名リストを作っていたつもりが、何の情報も一切メモしていなくて、えっ あれは脳内メモだったの? ずっとどこかに残してると思ってたのに! と困った状況に。普段ほんとメモしてなくて、プロットは脳内にだけ状態だったり。

過去メモってたつもりがメモしていなくて、失われていった設定がどれだけあっただろうか。。

なんか思いついたけど忘れちゃってる設定とかあったかなー?など思いながら書き進めます。
ちなみに、次回どういう展開にしていったらいいか全然わかんないっす。一切の構想がない。。

←応援してくれる人はclick!!
[ TB*0 | CO*0 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © みやび萬紅堂。. all rights reserved. ページの先頭へ