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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2010/11/28(日)   CATEGORY: MUKURO外伝
MUKURO外伝(36)
 灰色猿の牙が肉を貫き、血が滴った。リノリウムの白い床が赤く染まる。
「くそっ」
 すでに充分過ぎるほどズタズタの腕を盾に将平が未来の前に立っていた。彼の腕には灰色猿が咬みついていて、離れない。将平は自由の利く腕でナイフを掴み、それを灰色猿の赤い眼に突き刺した。赤い眼から、赤い血が流れる。彼はさらに力強く灰色猿の顔に刃を押し込み、激しく抉った。
 さすがの灰色猿も将平の渾身の攻撃に耐えられず、床に落ちて、それから動かなくなった。


「なかなかやるなぁ、お前」
 長髪の男が言う。明らかに面白がっている口調だ。この状況を愉しんでいる。
「お前は誰だ」骸が男に問う。「俺か? 俺はアンタと対極にあるモノだよ」
「……対極?」
「まァ 他に喩えがなかったからそう言っただけだけど。光と影、昼と夜、空と海、白と黒、塩と砂糖、善と悪。そんな感じだよ」男は首を傾げて、「あ、空の対極にあるのは海じゃなくて地かな? よくわかんねえや」。
「言っている意味がわからない」
「んなこと言われても、俺にもよく説明できねえんだよね。お前はお前がどんな存在か上手く説明できるのか? 俺もお前と同様に、あるとき気付けばそこに居て、なんなァ~くどう行動すべきかってのが底から湧き出てくるわけよ。なんつーか、そういう衝動が。アンタにはわかるだろ?」
 骸にはなんとなくわかるような気がしたが、あえて否定も肯定もしなかった。
「俺はずっとアンタのことを感じていた。アンタがどういう存在かってことも、なぜか理解していた。そして自分がどういう存在であるべきかも。――俺は邪魔する者だよ」
 相変わらず骸は黙っていた。男の言葉がわかるようで、わからない。惜しいところにまできているが、上手く言葉に出来ない。――だが、男が自分の対極にあるモノだということは、理屈抜きで理解し始めていた。自分が人間を護るべき存在だと理解したのと同様に、男が自分の対極にある存在だと感じていた。でも、それはどういうことなのだろう?
「簡単に言やァ……俺とアンタは闘う運命にあるってことだ。神様か仏様か知らねえけど、そういう超越した存在みたいなのがいたとして、そいつがそう決めたことなんだよ。全てはそいつの筋書きに従って動いてるのさ。なぁ、アンタなら理解できんだろ?」
 男は人ではない、自分と同様の存在だと骸は理解していた。
 つまりはヒトよりあの化け物たちに近い存在。なぜか骸は初めから言葉を有し、知識を有し、使命を感じ取っていたが、男も骸に似た“何か”なのだろう。それは化け物の亜種のような存在だ。膨大なエネルギーが一種のカタチを形成したとき化け物が誕生するが、骸は他の化け物とは少し違った種類の質のエネルギーが基となっているのか、人間を襲う化け物にはならなかった。男も骸と同じく、他と“何か”が違うのだ。その“何か”がわからないが、もしかすれば本当に神という超越した存在があって、それが何かの気紛れで自分や目の前の男を創ったのかもしれなかった。――そのようなことは、骸も少し考えたことがある。
「アンタは人間側についたが、俺は化け物の側についた。それだけのことだよ」
 男が、愉快そうに にいっ と口元を歪めた。
「お前が何であろうと、俺の邪魔をするなら斃すまでだ」
「そう――最初からそれしかねえんだよ、俺たちにゃ」
 骨刀を握る手に力が入る。骸は戦闘の態勢に入った。
「アンタ、名前はあるのか?」
「骸。自分でそう名付けた」
「ハハハッ! 骸! 空っぽの俺たちにはピッタリな名だなァ!」
「お前の名は?」
 男は首を傾げ、少し顔を顰(しか)めさせた。
「そうだな」男の双眸には邪悪なものが籠められている。「アンタが骸なら、俺は柩だ。――俺がアンタを殺すんだからな」




<作者のことば>
HI・THU・GI キタァァーーー★
ぶっちゃけ外伝は柩を登場させたいがために書き始めたやつです(きっぱり)。

今までMUKUROの敵ってTHE・モンスターばかりでキャラクターを持ったやつっていなかったので、そういうキャラを作ろう! 骸のライバル的なやつ! ってことで生まれたのが柩。
「柩」って言葉からインスピレーション受けて誕生したので(骸に対して柩って良いじゃないですか!笑)、名前も含めてかなり気に入ってます。
伏線的な感じで、だいぶ前から登場していたにも関わらず、やっとここでTHE・登場って感じで、よくここまできたな自分…ってなんか自分を褒めてあげたい。ずーーーーっと柩を登場させるタイミング見計らってたので。

正直、骸よりキャラのイメージ固定されてます。
骸さん、未だに俺どんな人なのかよくわからなくて…(笑)

この35話にサブタイトルつけるなら「邂逅」で、次回は「血戦」って感じですかね~。
俺が一番楽しみにしている自信がある!!(笑)


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