MUKURO外伝(29)
未来たちが将平と行動するようになってから早数日が経っていた。あれ以来、将平は未来に好意的に接している。元来は人が良いらしい。それほど、彼はあのとき極限状態にあったのだろうと未来は思っていた。自分だって弘之や骸がいてくれたからよかったものの、ずっと一人だとしたら今頃神経を磨り減らして参ってしまっていたことだろう。
この晩、将平はなかなか寝就けずにいた。アウトドアショップで手に入れたシュラフにくるまるも落ち着かない。夜の静けさが逆に耳障りに感じていた。どうして今夜これほど気分がざわつくのだろう?
将平は眠るのを諦めてシュラフを脱け出た。ガスコンロでお湯を沸かす。同じくアウトドアショップで手に入れたステンレス製のマグを取り出して、コーヒーを淹れた。良い香りがあたりに広がった。
熱いコーヒーを啜りながら、彼は違和感を覚えた。なんだろう、視線を感じる。彼は周りを見回す。何もない。――ん?
そこには、赤く円いものが宙に浮いていた。夜の闇から浮かびあがっていた。それもひとつではない。2つある。
将平は手元にあったライトをそちらに向けた。光線が闇を切り裂く。彼は目の前に自分と同じくらいの大きさのシルエットを見た。
――それは天井からぶらさがっていた。
赤い円は、そいつの眼だった。フクロウのように大きく円い眼だが、躰はコウモリに酷似している。そいつが羽ばたいた。
キィィィィィィ!!
かん高い鳴き声が反響する。将平は思わず耳を塞いだ。巨大なコウモリは彼目掛けて突っ込んでいく。びっくりして将平は飛び退き、その際にコーヒーが零れて足にかかった。「あちっ!」
将平の声に未来が気付き、骸は素早く骨刀を手にして低く構えた。
コウモリは1匹だけではないようだ。2匹、3匹と数が増えていく。骨刀がそのうちの1匹を両断した。コウモリの絶叫があたりに響いた。
1匹のコウモリが未来に向かって飛翔する。
将平は、何かを考えるより先に躰が動いていた。
コウモリの巨大な牙が未来に襲いかかる。
しかし、その牙は未来ではなく、将平の腕を貫いた。
将平が未来とコウモリの間に飛び込み、未来を護ったのだった。
「逃げろ!」
彼は愛用のナイフを取り出し、それをコウモリの眼に突き立てた。
キィィィィィィィィィィィィィ!!
金切り声に似た鳴き声が耳をつんざく。
骨刀が一閃した。
コウモリの首から上が地面に落ちる。
骸が残りのコウモリに骨刀を向けた。
この晩、将平はなかなか寝就けずにいた。アウトドアショップで手に入れたシュラフにくるまるも落ち着かない。夜の静けさが逆に耳障りに感じていた。どうして今夜これほど気分がざわつくのだろう?
将平は眠るのを諦めてシュラフを脱け出た。ガスコンロでお湯を沸かす。同じくアウトドアショップで手に入れたステンレス製のマグを取り出して、コーヒーを淹れた。良い香りがあたりに広がった。
熱いコーヒーを啜りながら、彼は違和感を覚えた。なんだろう、視線を感じる。彼は周りを見回す。何もない。――ん?
そこには、赤く円いものが宙に浮いていた。夜の闇から浮かびあがっていた。それもひとつではない。2つある。
将平は手元にあったライトをそちらに向けた。光線が闇を切り裂く。彼は目の前に自分と同じくらいの大きさのシルエットを見た。
――それは天井からぶらさがっていた。
赤い円は、そいつの眼だった。フクロウのように大きく円い眼だが、躰はコウモリに酷似している。そいつが羽ばたいた。
キィィィィィィ!!
かん高い鳴き声が反響する。将平は思わず耳を塞いだ。巨大なコウモリは彼目掛けて突っ込んでいく。びっくりして将平は飛び退き、その際にコーヒーが零れて足にかかった。「あちっ!」
将平の声に未来が気付き、骸は素早く骨刀を手にして低く構えた。
コウモリは1匹だけではないようだ。2匹、3匹と数が増えていく。骨刀がそのうちの1匹を両断した。コウモリの絶叫があたりに響いた。
1匹のコウモリが未来に向かって飛翔する。
将平は、何かを考えるより先に躰が動いていた。
コウモリの巨大な牙が未来に襲いかかる。
しかし、その牙は未来ではなく、将平の腕を貫いた。
将平が未来とコウモリの間に飛び込み、未来を護ったのだった。
「逃げろ!」
彼は愛用のナイフを取り出し、それをコウモリの眼に突き立てた。
キィィィィィィィィィィィィィ!!
金切り声に似た鳴き声が耳をつんざく。
骨刀が一閃した。
コウモリの首から上が地面に落ちる。
骸が残りのコウモリに骨刀を向けた。
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