MUKURO外伝(23)
デパートの内部は魔の巣窟と化していた。繭――らしきもの――から生まれた人面蜂は数を増し、それ以外の異形の姿も認められた。
もはやここが安全地帯でないことは明らかだった。
骸は先陣を切って、魑魅魍魎が蔓延る魔界へと飛び込む。彼は次々と襲いかかってくる人面蜂を薙ぎ払い、道を切り開いていく。覚悟を決めて未来は骸に続いた。
いくら仲間がやられようとも、人面蜂の攻勢は衰えることを知らず、数で骸に襲いかかる。俊敏な動きではあるが、骸の骨刀は見事に敵を捉え、倒していった。
そこに現れたのは、他より一倍大きな人面蜂だった。
その差異は躰の大きさだけではない。そのボディは黒い色をしていた。そして何より違うのは、その頭だ。能面のような顔が、縦に2つ並んでいる。明らかに他の人面蜂とは別種だった。突然変異か、その亜種なのかもしれない。
新たな敵に気を取られた瞬間を狙って、人面蜂が骸に急接近した。速い。尾の毒針が彼を襲う。骸は咄嗟(とっさ)に上半身を反らし、それを避けた。毒針が目の前をかすめる。
その隙を黒い人面蜂は逃さなかった。尾を骸に向け、毒針を飛ばす。それは他の人面蜂にはなかった攻撃だ。骸はまだ体勢を戻していない。毒針は真っ直ぐ突き進み、骸の肩に命中した。
ただでさえ骸は先の戦闘でのダメージを回復しきっていない。一瞬、彼の動きが鈍る。
人面蜂が骸に群がった。いくつもの毒針が彼の躰を貫く。
彼は渾身の力で群がる人面蜂を振り払い、回転して人面蜂を一気に薙ぎ払った。
黒い人面蜂が骸との距離を詰める。
骨刀が一閃した。
だが、黒い人面蜂のボディはそれを弾き返すほどの硬度を持っていた。骨刀が通用していない。
骸は後方に跳んだ。
黒い人面蜂がすぐさまそれを追う。
接近してきた人面蜂に対して、骸は能面のような顔に骨刀を突き立てた。それは躰とは違い、骨刀を弾き返すほどの硬度はなく、骨刀が内部へと突き抜ける。
人面蜂の持つ、もうひとつの顔が縦一文字にばっくりと開いた。中からピンク色をした半透明な触手が数本這い出してくる。それが骸の左腕を捕えた。
未来が悲鳴をあげた。
他の人面蜂が彼女に襲いかかろうとしているのが骸には見えた。彼は瞬時に判断し、骨刀を投げ飛ばした。骨刀は一直線に宙を進み、人面蜂に命中した。その隙に未来がその場から離れる。
それを見届けてから、骸は全エネルギーを両腕に集中させた。両腕に力が漲る。彼は自分を捕えている黒い人面蜂の開いた顔を掴んだ。
メキメキという音がする。
彼は、人面蜂の開いた顔を力任せにこじ開け、そのまま人面蜂を顔から引き裂いた。
顔から躰半分を裂かれた人面蜂は、それでもまだ蠢いている。凄まじい生命力だ。骸はそれを渾身の力で蹴り上げ、もう二度と動けぬように踏みにじった。
そして疾駆する。
未来を襲っていた人面蜂は突き刺さった骨刀によって動きは鈍っており、骸は簡単に接近することが出来た。骨刀の柄を掴む。彼は引き抜きざまに人面蜂を斬り裂いた。
もはやここが安全地帯でないことは明らかだった。
骸は先陣を切って、魑魅魍魎が蔓延る魔界へと飛び込む。彼は次々と襲いかかってくる人面蜂を薙ぎ払い、道を切り開いていく。覚悟を決めて未来は骸に続いた。
いくら仲間がやられようとも、人面蜂の攻勢は衰えることを知らず、数で骸に襲いかかる。俊敏な動きではあるが、骸の骨刀は見事に敵を捉え、倒していった。
そこに現れたのは、他より一倍大きな人面蜂だった。
その差異は躰の大きさだけではない。そのボディは黒い色をしていた。そして何より違うのは、その頭だ。能面のような顔が、縦に2つ並んでいる。明らかに他の人面蜂とは別種だった。突然変異か、その亜種なのかもしれない。
新たな敵に気を取られた瞬間を狙って、人面蜂が骸に急接近した。速い。尾の毒針が彼を襲う。骸は咄嗟(とっさ)に上半身を反らし、それを避けた。毒針が目の前をかすめる。
その隙を黒い人面蜂は逃さなかった。尾を骸に向け、毒針を飛ばす。それは他の人面蜂にはなかった攻撃だ。骸はまだ体勢を戻していない。毒針は真っ直ぐ突き進み、骸の肩に命中した。
ただでさえ骸は先の戦闘でのダメージを回復しきっていない。一瞬、彼の動きが鈍る。
人面蜂が骸に群がった。いくつもの毒針が彼の躰を貫く。
彼は渾身の力で群がる人面蜂を振り払い、回転して人面蜂を一気に薙ぎ払った。
黒い人面蜂が骸との距離を詰める。
骨刀が一閃した。
だが、黒い人面蜂のボディはそれを弾き返すほどの硬度を持っていた。骨刀が通用していない。
骸は後方に跳んだ。
黒い人面蜂がすぐさまそれを追う。
接近してきた人面蜂に対して、骸は能面のような顔に骨刀を突き立てた。それは躰とは違い、骨刀を弾き返すほどの硬度はなく、骨刀が内部へと突き抜ける。
人面蜂の持つ、もうひとつの顔が縦一文字にばっくりと開いた。中からピンク色をした半透明な触手が数本這い出してくる。それが骸の左腕を捕えた。
未来が悲鳴をあげた。
他の人面蜂が彼女に襲いかかろうとしているのが骸には見えた。彼は瞬時に判断し、骨刀を投げ飛ばした。骨刀は一直線に宙を進み、人面蜂に命中した。その隙に未来がその場から離れる。
それを見届けてから、骸は全エネルギーを両腕に集中させた。両腕に力が漲る。彼は自分を捕えている黒い人面蜂の開いた顔を掴んだ。
メキメキという音がする。
彼は、人面蜂の開いた顔を力任せにこじ開け、そのまま人面蜂を顔から引き裂いた。
顔から躰半分を裂かれた人面蜂は、それでもまだ蠢いている。凄まじい生命力だ。骸はそれを渾身の力で蹴り上げ、もう二度と動けぬように踏みにじった。
そして疾駆する。
未来を襲っていた人面蜂は突き刺さった骨刀によって動きは鈍っており、骸は簡単に接近することが出来た。骨刀の柄を掴む。彼は引き抜きざまに人面蜂を斬り裂いた。
<作者のことば>
そろそろいい加減、骸を何と闘わせればいいんだ!? と思って考えていたときに、ふと思い浮かんだのが今回の黒い人面蜂。
今まで新しい敵を考えるのは結構大変だったのだが、既存の化け物の変化形(進化、突然変異、亜種)という考えは実はなかった。少しの要素を加えるだけで、案外違うものに変わるものだと今回知った。
よくよく考えてみればドラクエだってたとえばスライムだけでかなりの種類がいるし、FFもほぼ変わらないデザインで色違いで別種して登場する敵が多いではないか!
このことに気付けたのは、なかなかの収穫であるように思える。今後の参考にしよう。
そして黒い人面蜂の登場とともに、骸が今までとは違う戦い方をしている。
これまではほぼ骨刀でのみ敵を倒していた骸が、黒い人面蜂に対して(たぶん)初めて武器を使用せずにとどめを刺した。
少し残虐なシーンでもあったが、今まで骸は骨刀による一辺倒な戦闘をしていたので、このことも今後の参考にできればいいと思っている。
あとどれくらい続くかわからないが(個人的には外伝早く終われ!と思っている(笑)。地獄篇の続編書きたいのだ)、最後まで楽しんで頂けたら作者としてこれ以上の喜びはありません。

| ホーム |