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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/07/20(日)   CATEGORY: 雨の日のうた
雨の日のうた(11)
 俺は、そっと可南子をベッドへと倒した。そのあいだも唇は重ねたままだ。そして可南子の着ているジャージのファスナーをジジジ‥と下ろした。そうやってゆっくりと可南子の服を脱がす。そのあいだ、俺は可南子の身体(からだ)にキスをした。徐々に現れてくる可南子の肌に徐々にキスをしていく。このとき、俺たちのあいだに言葉なんて要らなかった。可南子は俺の服を脱がして、ふたりは裸になった。俺の肌と可南子の肌が触れ合う。ひんやりとした感触。可南子の身体は雨に打たれて冷えきっていた。俺はそれを温めるように肌を合わせた。
 俺たちは長いこと互いの身体にキスをし合った。それは本当に長い時間をかけて行われた。ゆっくりと優しく。お互いの心拍数があがっていっていることがわかった。ドクドクドク。心臓の鼓動を聞きながら俺は可南子の乳房にキスをした。
 俺は右手を可南子の下腹部よりすこし下へと這わせた。そして可南子の中へと指を入れた。可南子の体温が俺の中指に伝わってきた。それはとても温かく、俺を迎えてくれているようだった。俺が指を動かすと可南子の声がもれた。俺は指の動きを止めず、むしろ早めた。可南子は我慢しているようだったけれど、それでも何度か声がもれた。それを聴いて俺の全血液が身体の一点に集中しているのがわかった。俺の一部は硬度を高めつつ、大きくなった。
「いい?」
 俺が訊くと、可南子は恥ずかしそうに頷いた。
 今最も俺の中で硬い部分が可南子の柔らかい部分に当たった。そして俺の一部は中へと入り、俺は再び可南子の体温を実感する。今度は温かいというよりは熱いくらいだった。俺が動き始めると再び可南子の口から声がもれた。それを聴いて何度も何度も動いた。それは単調な繰り返しだけれど、今の俺らにはとても必要なことだった。俺は、可南子の隙間を埋めていくように動いた。
俺は可南子の耳元である言葉をささやくと可南子は顔を赤らめた。こんなときに言うほど、それは嘘っぽく聞こえるのかもしれないけれど、今の俺らにはそんなことは関係なかった。俺の気持ちは可南子にちゃんと伝わっていたはずだから。
「愛してるよ」
俺はそうささやいた。

+++

 俺たちは何度も何度も抱き合った。日が暮れて、その日が終わってしまうんじゃないかって時間まで抱き合い続けた。けれども何度しても可南子とのセックスは気持ちよかった。身体だけじゃない。心も繋がってる感じ。そして今という時間を共有しているこの感覚。俺たちにはそれだけでよかった。
 可南子が時計を見てそろそろ帰らなきゃいけないと言った。俺は窓の外を見た。雨が弱まる気配はなかった。この天気だとバイクも出せない。俺はとりえずシャワーでも浴びてくるように言った。可南子に風呂場を案内してバスタオルを準備した。それから自分の部屋に戻ってケータイのメモリーから森本哲郎を呼び出す。そしてしばらくコール音が聞こえた。
「もしもし」
 俺の耳に鳴り響いていたコール音が途切れ、哲郎さんの声が聞こえた。
「あ、哲郎さん? 今、大丈夫かな?」
「うん。どうかした?」
「できれば、家まで来てほしいんだけど」
 それから俺は可南子のことを説明した。俺の言葉が電話口に吸い込まれ電子となって哲郎さんまで届いた。俺は説明の途中、ぼんやり電話って意外に不思議だと思った。
 一通りの説明を終えると、哲郎さんは俺の頼みを了承してくれた。やはり頼りになるなって改めて実感。
「あのさ」
 俺はガラにもなくあることを訊いた。
「兄貴って元気?」
 ケータイの向こうではさすがの哲郎さんも驚いているだろう。俺が兄貴のことを気にしたことなんて今まで一度もなかったのだから。
「ああ、元気さ」
「そっか」
 人はいつ死ぬかわからない。そう思ったら繋がりの薄い家族でさえ大切に思えた。そうか、兄貴は元気なのか。わかってはいたけれど、改めてそう聞くとなぜか安心した。
「じゃあ今から向かうから」
「ああ、よろしく」
 そう言って俺は通話を切った。部屋の外から足音が聞こえる。きっと可南子がシャワーを浴び終えてこちらへ向かってきているんだろうな。俺は部屋から出て可南子を出迎えに行った。


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