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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2010/08/02(月)   CATEGORY: MUKURO外伝
MUKURO外伝(11)
 恐怖で理性を失った西田は野獣のように荒々しく、本能に従順に、未来を襲った。彼のペニスは今にも破裂しそうに大きくなっており、未来を見る眼は正気のものではない。
 再び叫んだ。未来は激しく抵抗する。だが、男の力には敵わない。しかも西田は体格がよかった。
 赤黒く、屹立した男根は、まだ男を知らない未来にはやけにグロテスクに見えた。艶やかな亀頭が彼女の秘部に向けられ、近付いた。未来は息を呑み、目を瞑った。これは夢だと、悪夢なのだと思いたかった。そうだ、全て悪夢ならいい。目が覚めると自室のベッドにいて、母親が朝食を作っているのだ。父親はまだ眠っているに違いない。――そう夢想するも、現実として、いま西田に無理やり貞操を奪われようとしていた。犯されようとしている。
 硬いものが体に押し付けられるのを感じた。歯を食い縛り、込み上げてくる絶望感に耐えようとした。だが、涙は溢れてくる。それは頬を伝って口に入ってきた。やけにしょっぱい。
「なにやってんだよ!!」
 不意に、辺りに響き渡る声。
 その声の主は弘之だった。驚いて目を開けると彼が立っている。手には木製のバットを持っていて、それを高く振り上げていた。――思わず叫び声をあげた。
 弘之の持つバットは勢いよく振り下ろされ、西田の脳天を捉える。西田は呻きながら床に倒れ、頭を押さえてうずくまった。立て続けに蹴りが西田の腹部に向かって放たれた。何度も何度も。弘之は完全に頭に血が上っていて我を忘れていた。いま自分は襲われていたのは事実だが、だからといって殺して欲しいとは思っていなかった未来は、慌てて彼に飛びついた。「やめて!」
「なんでだよ! こいつはお前のことを――!!」
 両眼を血走らせた弘之が声を荒げる。それに対して未来は涙目になって、彼を止めた。なにより弘之に人を殺して欲しくない――その想いが強かった。
「お願いだから、やめて……」
 泣きながら訴える未来を目にして、弘之は自分の怒りが萎んでいくのを感じた。何もかもが馬鹿らしくなって、バットを床に放り投げる。西田は涙と嗚咽にまみれながらうずくまっていた。下半身を露出したその姿は、もはや滑稽にすら見えた。
「もう二度と未来に手を出すなよ」
 弘之は大きくない声で、そう言い捨てた。西田が小さく頷いたように見えたが、よくわからなかった。


 不意に弘之は背筋が凍りつくような感覚に襲われた。
 それは未来が剥がれた服を着るのを待っているときだった。その服はところどころ破けていたが、何もないよりはいい。ここはデパートなので探せば着替えも見つかるだろうということで、とりあえずは応急でその破けた服を未来は着た。
 その間、弘之は未来に背を向けて彼女が服を着るのを待っていたのだが、急に嫌な予感が彼を襲った。彼の直感は辺りに漂う違和を感じた。微かに鼻腔を突く生臭さ。目の前では西田が依然として床にうずくまっている。――なんだろう? 未来に声をかけてもう服を着たことを確認する。弘之は振り返った。
 彼の体が硬直した。
 未来の背後に蠢く、禍々しい大きな影に、彼は恐怖した。息が詰まってしまったかのように声が出ず、脚がガクガクと震えだした。そんな弘之の異変に気付いて、未来は辺りを見回した。――そして背後に化け物の姿を見つけた。それは弘之の家で見た、あの巨大ムカデだった。大きな口がこちらを向いていた。続く、悲鳴。
 絶体絶命にピンチが、再び彼らを襲った。




<作者のことば>
僕の予定ではですね、地獄篇のあといくつか短篇を載せて、そのあと外伝、またいくつか短篇、それで7月中には地獄篇の続篇の連載を開始するっていう目論見だったわけですよ。

だけど気付けば外伝のうちに8月です。

これじゃ続篇はいつになることやら……。

その前に外伝の完結が先か。
そもそもまだ骸が出てこないってどういうことでしょうね。。


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