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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2010/07/17(土)   CATEGORY: MUKURO外伝
MUKURO外伝(3)
 弘之は自分の鼓動が急激に高まったのを感じた。ドクドクドク。全身に送り出される血液に、まるで恐怖が毒のように混ざっているみたいに全身が恐怖で強張る。目の前の男の胸の穴からドパっと血が溢れた。
「なんだ……?」
 男は自分に何が起きたのかわからないでいるようだった。胸を押さえた手が血にまみれているのを見てショックを受けているらしく、顔面が蒼白に変わった。
 ヒュッ。
 何かが風を切る音。
 パスン。
 小さな、衝撃音……?
 気付けば男の胸の開いた穴が増えている。
 ドパドパっと血が漏れた。
 男は呻きながらよろけてアスファルトの地面に倒れ込む。
 その男にいくつもの素早い影が飛びかかっていった。
 ――魚のようである。
 ミイラのように渇いた皮膚に、ゾンビにも似たグロテスクな外観。鋭い鼻に似た鑓状の角が血に濡れて、てらてらと光っていた。
 宙を浮く怪魚はギザギザとした鋭い歯で男の肉を貪っている。ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃと肉を啄(つい)ばむ音が聞こえた。
 ヒュンッ。
 飛ぶ矢の速さで怪魚は肩をかすめていった。わずかながら肉が抉られ、血が零れる。
「ンッッ――くそ。未来。走れ!」
 弘之は手を引っ張ったが未来は動かなかった。立ち上がりすらしない。完全に腰が抜けていたのだ。
「おい! 逃げなきゃやばいって! 未来ッッ!!」
 泣いている未来を無理やり立たせようとする。彼女の体重が弘之に圧し掛かった。もう背負ってでもして逃げるしかない――彼はそう覚悟した。早く逃げなくては自分たちも先ほどの男の二の舞だ。
 未来の手にぬるりとした生ぬるいものが触れた。弘之の血だ。彼女は弘之の傷を見て自分も頑張らなくてはいけないと気付く。両脚に力が籠もった。まだ走れる。「……弘之、行こう」
 彼は頷き、全力で走り出した。




<作者のことば>
どう考えてもこの第3話は先の1、2話と比べて文章量が少な過ぎた。
もっと全体のバランスを考えながら書けるようになりたいです。

ちなみに先の展開が全く見えていなくて困る。


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