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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2010/04/10(土)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐31 (祈り)
 ハンドルを握る手が汗で濡れているのがわかる。
 舘岡 洋がバックミラーを覗き込むと後方から巨大なヒグマが追ってきているのが見えた。なんという速さだろう。あのデカイ図体から想像出来ないほどの足の速さだ。それに先ほど化け物どもを襲ったときの俊敏さも恐ろしい。パワーがあって、スピードもある。F‐1仕様の装甲車のようであった。
「まさか追いつかれはしないと思うけど、結構まずいような気がする。あの図体にあのパワー。もし追いつかれたら車のボディごと抉られそうっすよ」
 舘岡の心配はあながち間違ったものではなかった。ヒグマは動物界の中でも頂点に立つパワーとスピード、そして智慧がある。そもそもヒグマにとって5トンの重さですら持ち上げることが出来るのだ。このデリカD:5ですらあっという間に破壊し尽くされてしまうだろう。あの百獣の王ライオンですら、ヒグマには一撃で屠られることがあるのだ。それほどまでにヒグマは強い。それは地上最強の生物といっても過言ではなかった。
 先ほどの地震のせいもあり道路は足元が悪く、それに加えてこの人数である。必然的に車はそうスピードを出せていなかった。気付けばヒグマとの差は徐々に狭まってきていて、このままではいずれ追いつかれそうだ。舘岡は息を呑んで改めてアクセルを踏んだ。ハンドルを握る両手に力が入る。
 ガガガガ…という何かがボディを削り取るような音がした。ヒグマの爪だ。次の瞬間には大きな破砕音がしてリアウィンドウが砕けた。詩帆はガラス片を浴びてとっさに丸まった。耕太は思わず泣き出す。釣られて望美にも涙が込み上げてきた。
 低い唸り声が聞こえ、車体が大きく揺れた。舘岡はブレーキペダルに足を掛けた。再度衝撃。望美が悲鳴した。三度目の衝撃で車は横転し、飯沼は頭を強く打ってしまった。
「うう……やべえ、早く逃げないと……」
 体に力が入らない。舘岡は車内を見た。全員生きてはいるようだが、体を強くぶつけてしまっているようだ。
 ガン。
 何かがボディにぶつかった。
 ガン。ガンガンガン。
 舘岡は窓から外を確認した。――イナゴの群集だ。
 地上にあるもの全てを喰い尽くさんとするイナゴの群れがついにここまでやってきたのだ。「みんな隠れた方がいい!」
 どこに隠れるところがあるというのか。しかし全員は必死に体を丸め、外から見えぬように努力した。デリカの中にいる限りはある程度は安全かもしれない。気になるのは破壊されたリアウィンドウだった。それはもう祈るしかない。そのとき、誰もが祈っていた。どうかやり過ごそうと必死だった。
 バキバキ、という音が聞こえた。薄目を開けて見てみると、イナゴは車のボディを喰らっていた。こいつら鉄すら喰うのか。舘岡は唖然としてしまった。恐怖や絶望というより、呆然とした感情がそこにはあった。これは敵わない、そう素直に思った。
 依然としてイナゴの軍勢が車体にぶつかる音は続いていたし、車を齧る音も聞こえていた。視界は真っ黒に覆い尽くされ、辺りは見える限りイナゴで埋まっている。
 ヒグマも喰われてしまっただろうか? だとしたらこれをやり過ごすことが出来たなら、もしくは助かるかもしれない。生き延びることが出来るかもしれない。神様、どうか助けてください……。

 それは奇跡かもしれない。10分ほど続いたイナゴの大群がピタリとやんだ。ゆっくりと外を見回す。数匹のイナゴがまだ車体を齧ってはいるが、あの波のようなイナゴの軍勢は過ぎていってしまったようだ。まさに奇跡だった。
 舘岡は横転したデリカのドアをこじ開けて外に這い出た。見てみるとそこは自分たちが隠れ家にしていたホテルのだいぶ近くだった。あれだけ逃げて結局ほとんど戻ってきてしまっていることに苦笑した。一体何をやっているんだろう。
「もう行ったのか?」
 額から血を流しながら飯沼が尋ねた。
「どうやらそうみたいっすね。それより、ここ血ィ出てますよ」
 舘岡の人差し指が彼の額を指していた。
「ぶつけたみたいだ」
 そのとき後部座席の方から呻くような声が聞こえ、そちらを見遣ると詩帆が割れたリアウィンドウから這い出そうとしていた。「大丈夫ですか?」
「……ええ。一応は………」
「他の人も大丈夫っすか?」
「こっちも大丈夫だ」柳瀬だった。一緒にいた耕太も無事のようだ。「三浦さんの反応がない。生きているようだが、気を失ってるらしい」
 詩帆はふらつきながらも立ち上がって、辺りを見回した。何もない。ほとんどが喰い荒らされている。「きゃっ!!」
 突然の悲鳴に舘岡が彼女に駆け寄った。「どうかしたんすか?――うわっ!!」
 そこに転がっていたのは骸の頭だった。




<作者のことば>
先に謝っておきます。ごめんなさい。
次回らへんから非常にわかりづらい、というか書いている本人もよく把握していない、そんな内容が続きます。

しっかりとまとめてなかったので、かなりの矛盾や疑問も含まれると思いますが、とりあえずはスルーしてください。
もしよくわかんなかったとしても、問題はないと思います。アバウトに雰囲気だけで理解したつもりになって読み流して頂けると嬉しいです。

自信ないゆえに、まさかの先に謝るっていうね。

いやはや、これも含めて本当申し訳ない。


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COMMENT

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鈴代まお | URL | 2010/04/10(土) 14:23 [EDIT]
ヒグマも恐いですが、イナゴも恐いです…
そしてまさかの骸の頭。

毎回ドキドキしながら読ませていただいてます。
先の全く見えない展開で、最後に誰が生き残るのか気になるところです。

あ、次回のことは了解です。^^
また読みに伺います。

匡介 | URL | 2010/04/10(土) 19:22 [EDIT]
>鈴代まおさん
うわー、コメント嬉しいなぁ。ほんと嬉しいです(笑)
鈴代さんの書かれるものとはテイストも何もかも違うので、楽しんで頂けているのかとても心配ではありますが、こうしてコメントを頂けているということは少しは楽しんでもらえているのかな?
一応前向きに受け取っておこうと思います(笑)

これからもたくさんドキドキさせていけるといいなぁ。
このサヴァイバルから誰が生き残るのか、どうか見届けてくださいませ!

あと、次回からちょっと目をつぶってくださいね(笑)
コメントありがとうございました。今後のやる気チャージです!!

ポール・ブリッツ | URL | 2010/04/11(日) 07:23 [EDIT]
リンク確認しました。ありがとうございます!

零細ですがよろしくお願いします!

ライム | URL | 2010/04/11(日) 08:13 [EDIT]
Σ頭!
骸、タイトルからして主人公みたいですし、蝗に連れ去られたのはフェイントかと思っていたら……。
活躍を期待したそばから、何ということだ(笑←笑い?)
予告にある次回以降の展開が怖いですが……約束しましたし楽しみに読みましょう、1000回でも2000回でも(笑)!

匡介 | URL | 2010/04/11(日) 11:27 [EDIT]
>ポール・ブリッツさん
いえ、最初は確認していなくて失礼しました。
零細って、そう言われてしまったらうちはどうなるのでしょうか?(笑)

改めて、よろしくお願いしますね。

匡介 | URL | 2010/04/11(日) 11:48 [EDIT]
>ライムさん
ちょっと次回の話に入るのですが、すごく「骸の骸」って書きたいのに非常に紛らわしいため書けず困りました(笑) なんつー名前だ!

大丈夫です。そんな骸好きのために、が、、外伝構想が!!(本当に実現するのか?)

ちなみに、自分でも主人公は誰なのかよくわかりません(笑)
アバウトのこの人っていうのがありますが、一人ひとりが主人公なのだろうと思います。
それで、気付けば骸は主人公というよりキーパーソンって存在になってました。

骸がどう活躍するかより、骸の存在が大事なんだと。

それがどういう意味かはのちに判明するかと思います。
次回以降の展開が自分でも怖いですが(笑)、1000回も2000回も続かないのでどうか読んでやってくださいまし! よろしくね!(笑)

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