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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2010/02/20(土)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐16 (深夜行Ⅱ)
 急いで車内に戻った骸が見たのは、気を失っている詩帆の姿だった。
 解き放たれていたハンドル握り車の進路を固定する。詩帆の首には、ムカデに咬まれたあとがあった。おそらく、毒だろう。
 骸は車内にいるムカデを踏み潰し、詩帆を助手席に移動させた。そして運転席に座り、改めてハンドルを握る。フロントガラスの向こうでは、白く変わった巨大ノミの姿があった。
動く様子はなく、生気も感じられない。まるで化石のようであった。
 ピシリ、と巨大ノミの背中に亀裂が生じた。メキメキと罅(ひび)が入り、中から何かが飛び出す。――セミのような、巨大な虫だった。
 ノミの体は幼虫で、たった今 羽化を遂げ、成虫へ変態したというのだろうか。セミの体は白っぽく、体は柔らかそうである。
 それが薄い羽を小刻みに振るわせ始めた。その未熟な体で飛び立とうとしているのだろうか。
 そんな光景を眺めつつ、巨大セミ――巨大ノミの1.5倍ほどある――が今はまだ脅威ではないと考えて、骸は運転に集中した。今はただただこの場から早く逃れるだけである。また巨大ノミによる集中攻撃を受けたら持ちこたえることは出来そうにはなかった。
 走行を続けているうちに、道のところどころに、白いカタマリが見えるようになっていた。よく見ると、それは白い糸でぐるぐると巻かれているようである。
「何か、嫌な予感がする」
 骸は、この辺りに漂う邪悪な気配を感じ取っていた。何かがいる。
 夜の闇に紛れて、何かが視界の隅を這った。
 警戒を強めながら、骸は車を進ませる。
 三葉虫に似た生き物が宙を浮遊していた。
 そのとき、バックミラーが何か赤い光を捉えた。
「これは非常にまずいな」
 ランクルの背後には、巨大な、本当に巨大な蜘蛛がいた。その体躯は小さな家ほどあって、頭には無数の目が赤く光を放っている。
 ジュルル…と大きな牙から涎が垂れた。ジュッ、と音を立てて地面が溶けた。どうやら溶解液の唾液らしい。
 アクセルを全開まで踏み込む。加速。車が唸りを上げて走った。後方に迫り寄る巨大蜘蛛。
 ぞろぞろ。何だろうか、視界の隅に何かがかすめる。ぞろぞろ。小さな蜘蛛? 夜の闇を這いずる、それは子蜘蛛だった。―― 子蜘蛛といっても、体長1メートルはある大きさだ。
 エンジンが悲鳴を上げた。スピードは限界。しかし巨大蜘蛛との距離は拡がらず、むしろ縮まっている。
 暗がりの中、道の隅を蠢く子蜘蛛たち。後方には巨大な親蜘蛛。骸の背に、冷たいものが流れる。
 ランクルが、大きく進路を変えた。グチャ、という音が耳に届く。どうやら子蜘蛛の一匹を轢いたようだ。グチャ。また子蜘蛛が潰れる音がした。グチャ、グチャリ。
 グオオオオオオオオオオオオオオ――!!
 獣の咆哮が夜を劈(つんざ)いた。
 親蜘蛛が憤怒をあらわにして、その勢いはさらに増される。
「――!?」
 ドオオオオオン!!という轟音とともに、目の前に大きな足が現れた。
「これは……」

 ドオオオオオン!!

 大地が罅割れた。
 地に下ろされたその足から四方八方に地割れが起こり、その断層のひとつに巨大蜘蛛は落ちていくのが見えた。しかし、助かったと思うにはまだ早い。今この車の進路の先にもまた、大きな断層が待ち構えているからだ。
 今から停まれるか!?――全力でブレーキペダルを踏み込み、運転席のドアを開けた。骸は手元にあった骨刀を地面に突き刺す。彼の腕に凄まじい衝撃が奔った。強い力で引っ張られ、腕がもげそうなほどだ。
 それでも彼は堪えた。
 前輪が断層の割れ目に入り込み、車体が落下する直前で、車は停止した。



<作者のことば>
骸が出てきてから非常にストーリーの進行が難しい。
文章的にも納得いかず、躓いてばかりで、どうにも扱いづらいキャラクターだと判明。

ああ、骸無しのストーリーにすればよかったよ!!

もはやタイトルまで変えてしまったぜ。


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浅葱 | URL | 2010/02/22(月) 09:24 [EDIT]
私は骸が出てきてからますます楽しくなってきましたが
といか美形キャラというのでかなり好きに想像(妄想?)
しては楽しんでます♪
それぞれ登場人物の成り行きが毎回本当気になる!
思わず頑張れーっと応援したくなるくらい

次はどんなのが現れるのかな~とか
大変だとは思いますが、更新されると喜んで読んでる浅葱でした^^

匡介 | URL | 2010/02/22(月) 12:49 [EDIT]
>浅葱さん
実は骸のキャラクターが固定されていなくて困ります(笑)
今回はキャラクター重視していなかったので、書きながら性格が決まっていっているのですが、骸だけがポジション違うので最初からキャラクターを持っているべきところなのに、自分の中では一番曖昧ですね(汗)

そろそろ物語は後半から終盤に向かい始めていますが、残りも今以上に楽しんで頂けたら嬉しいです♪

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