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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2010/02/16(火)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐14 (変化)
 化け物へと変貌した男を殺したあと、互いの自己紹介を終え、柳瀬 隆は今後の行動について説明した。グロテスクな外観(ヴィジュアル)と、桁外れの凶暴性を持ってはいるが、化け物どもは確かに殺せる。仲間を集めて救助が来るまで抵抗しようというのが柳瀬の考えだった。いずれ自衛隊か、あるいは諸外国の軍のようなものが救援に駆けつけると柳瀬は睨んでいた。
「だったらもっと仲間を増やさないと。2人だけじゃすぐにやられちゃいますよ」
「うん。きっと、すでにどこかに同じような考えを持って集まっている人間がいると思うんだ。だからその人たちと合流することさえ出来れば…」
 ――そのときだった。停まっていたランドクルーザーから聞き慣れない音が耳に届いた。
「……なんだ?」
 ぐわっと、車体が持ち上がった。――玉虫色に光る、脚が生えていた。
 まるで蜘蛛のような姿。望美の悲鳴が辺りを駆け巡った。
「逃げよう」
 柳瀬が望美の腕を引っ張った。
 車体から生えた長い脚は、目測でも2メートルはあり、それはアシダカグモを連想させる。
 てらてらした脚を器用に這わせ、蜘蛛の化け物になったランクルが2人を追った。その動きは速く、獲物を追う一流ハンターだ。
「やばい! 追いつかれる!」
 ボンネットが開いた。牙のようなものが見える。それはまるで口だ。
 涎(よだれ)らしきものを垂れ流しながら、化け物は望美のすぐ背後にまで近寄った。
 前方にホテルが見え、柳瀬たちはそこに飛び込む。ランクルは車体を強く壁にぶつけた。長い脚がここでは邪魔になったようだ。
 腰をかがめるように脚を開き、体勢を低くして、化け物はホテルのフロントに侵入した。
「走れ走れ!!」
 柳瀬は階段を駆け上り、望美をそれに必死についていく。化け物はまたもや大きな体はひっかかって、階段を昇ることが出来ない。
 2階に辿り着くと柳瀬はエレベーターのボタンを押した。焦る気持ちがボタンを何度も押す。押す押す押す。早く来い――…
 階段からは化け物の呻き声、そして壁が崩れるような音。
 このままでは無理やりにでも化け物はここまでやってくるかもしれない。
「早く来いよ!」
 苛立って叫ぶのと同時に、エレベーターのドアは開いた。
「早く!」
 望美も言われるままに乗り込む。
 最上階のボタンと「閉」のボタンが続けて押され、ドアは閉まった。
「――ふぅ」
 柳瀬が安堵の息を漏らす。望美も釣られて脱力し、その場にしゃがみ込んだ。
「ん?」
 エレベーターの灯りが点滅し、そして消えた。ふっと闇が湧く。
 辺りが静寂に包まれた。
 エレベーターは停止した。



<作者のことば>
またもタイトル悩みました。読みは「変化(へんげ)」で。
それとは別にここ最近何日か頭痛が続いていて滅入る~。


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COMMENT

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ライム | URL | 2010/02/17(水) 00:18 [EDIT]
動物だけじゃなく、車がトランスフォーマー化ですと;;;
無生物……。
てことはどこにも逃げ場がなくなる( ̄◇ ̄;)
これを匡介さんの文才で書かれると怖いっす。
いや、不快感は全然表明してませんけど、Mでもありませんので! 笑

匡介 | URL | 2010/02/17(水) 11:31 [EDIT]
>ライムさん
トランスフォーム!!(笑)
まあ、本編に何の影響もないので説明を加えると、車が化け物に変わったというよりは、化け物が車に擬態していたわけです。
それがランドクルーザーが2台出てくることのエクスキューズにしているつもりなのですが、三浦 望美が車内で襲われたときに、車内が粘液にまみれているシーンがありました。そこには「ここが怪物の体内であるかのような~」という一文もあって、まさに化け物の体内をイメージしてました。

今後は警戒の幅も拡がって、キャラクターたちも大変だー!(笑)

てか、Mじゃない!? ライムさん、Mそうなのに!!
……いや、しかしSっぽさも垣間見えるし、SとMの二面性が……ぶつぶつ……

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