MUKURO・地獄篇‐5 (吸血蟲)
乱雑に商品や棚が倒れてしまっているコンビニの店内。そこに三浦 望美は身を潜めていた。
店の外にいるあの怪物を見てしまったら、とてもじゃないがここから離れることはできなかった。
コンビニの外では男が助けを求めて叫んでいた。首筋から血がこぼれている。――その男の体には、巨大な、全長1メートルもあろうかという巨大なノミの化け物がくっ付いていた。そいつが男の首元からヂュウヂュウと血を啜っている。
このノミの化け物は何匹もいて、この周辺にいる人間を無差別に襲っていた。襲われた人間はその血を吸われ、数秒で死に至る。恐るべき怪物であった。
望美がコンビニで買い物をしているときに大きな地震があった。建物はまるごと揺さぶられ、商品は落下し、棚はあらかた倒れた。今思えばどうしてコンビニになど入ってしまったのだろうと後悔の念が溢れてくる。あの直後に巨大なノミどもが現れて、人々を襲うようになったのだ。最初は他にも店内に人はいたが、誰もが途中で我慢できなくなり店を出て、やつらの餌食となった。
――わたしは絶対にここを離れない。
もはやこの店に入ってから数時間が過ぎている。このまま助かる見込みはないが、しかしだからといって今出てしまえば確実に死が待っているだろう。持久戦だ、そう自分に言い込ませて、望美は粘った。もしかすれば――もしかすれば、いつか事態は急転するかもしれない。ノミどもが場所を移動するかもしれないし、誰かが救助にきてくれるかもしれない。きっと自衛隊などが動いているだろう、そう望美は思いたかった。
ドンドンドン!! 店の入口のドアが叩かれる音がした。自動ドアの硝子を必死になって叩く男の姿が見えた。店に残ったのが自分ひとりになったときに、望美は店のドアをロックして、商品を陳列する棚でバリケードを作ったのだ。
「おおおおおい!! 助けてくれ!! 中に入れてくれぇぇぇえええええ!!!!」
男の悲痛な叫びが望美の耳に届いた。しかし今開けてしまったらやつらまでなだれ込んで来るかもしれない。――ドアは決して開けられなかった。
「おい!! 頼むから入れてくれ!! お願いだ!!」
望美は両手で耳を塞いだ。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
どうか許してください――望美は男に背を向け、何も見ていないというようにうずくまっていた。
「おおおおおい!! お願いだ――…」
ヂュウウウウウウウウウウウ!!
どうやら男は捕らえられ、あの気色悪い口で、全身の血をくまなく吸い取られてしまったようだ。望美はノミの化け物に見つからぬよう、棚の陰にひっそりと身を隠した。
――絶対にあんな死に方は嫌だ!!
その思いに涙が頬を伝った。
店の外にいるあの怪物を見てしまったら、とてもじゃないがここから離れることはできなかった。
コンビニの外では男が助けを求めて叫んでいた。首筋から血がこぼれている。――その男の体には、巨大な、全長1メートルもあろうかという巨大なノミの化け物がくっ付いていた。そいつが男の首元からヂュウヂュウと血を啜っている。
このノミの化け物は何匹もいて、この周辺にいる人間を無差別に襲っていた。襲われた人間はその血を吸われ、数秒で死に至る。恐るべき怪物であった。
望美がコンビニで買い物をしているときに大きな地震があった。建物はまるごと揺さぶられ、商品は落下し、棚はあらかた倒れた。今思えばどうしてコンビニになど入ってしまったのだろうと後悔の念が溢れてくる。あの直後に巨大なノミどもが現れて、人々を襲うようになったのだ。最初は他にも店内に人はいたが、誰もが途中で我慢できなくなり店を出て、やつらの餌食となった。
――わたしは絶対にここを離れない。
もはやこの店に入ってから数時間が過ぎている。このまま助かる見込みはないが、しかしだからといって今出てしまえば確実に死が待っているだろう。持久戦だ、そう自分に言い込ませて、望美は粘った。もしかすれば――もしかすれば、いつか事態は急転するかもしれない。ノミどもが場所を移動するかもしれないし、誰かが救助にきてくれるかもしれない。きっと自衛隊などが動いているだろう、そう望美は思いたかった。
ドンドンドン!! 店の入口のドアが叩かれる音がした。自動ドアの硝子を必死になって叩く男の姿が見えた。店に残ったのが自分ひとりになったときに、望美は店のドアをロックして、商品を陳列する棚でバリケードを作ったのだ。
「おおおおおい!! 助けてくれ!! 中に入れてくれぇぇぇえええええ!!!!」
男の悲痛な叫びが望美の耳に届いた。しかし今開けてしまったらやつらまでなだれ込んで来るかもしれない。――ドアは決して開けられなかった。
「おい!! 頼むから入れてくれ!! お願いだ!!」
望美は両手で耳を塞いだ。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
どうか許してください――望美は男に背を向け、何も見ていないというようにうずくまっていた。
「おおおおおい!! お願いだ――…」
ヂュウウウウウウウウウウウ!!
どうやら男は捕らえられ、あの気色悪い口で、全身の血をくまなく吸い取られてしまったようだ。望美はノミの化け物に見つからぬよう、棚の陰にひっそりと身を隠した。
――絶対にあんな死に方は嫌だ!!
その思いに涙が頬を伝った。
COMMENT
ヂュウヂュウ……。
その音、ひと吸い1リットルは吸ってますね><
確かに、こういう死に方をしたいかと聞かれれば、とっても嫌です。
既に祇園、もとい、擬音マスターへの道を歩み始めてますね……。
その音、ひと吸い1リットルは吸ってますね><
確かに、こういう死に方をしたいかと聞かれれば、とっても嫌です。
既に祇園、もとい、擬音マスターへの道を歩み始めてますね……。
>ライムさん
もうガッツリ吸ってますね! 2リットルペットボトルも一瞬でベコン!ってなりますね!
そんな怪虫に血を吸われて死ぬなんてまっぴらごめんです。吸われなくともあの口に触れるというだけで怖気が!!(叫)
ええ、擬音マスター目指しますよ! 擬音は日本が誇れる表現法ですからね!
しかし祇園マスターもそれはそれで憧れる(笑)
もうガッツリ吸ってますね! 2リットルペットボトルも一瞬でベコン!ってなりますね!
そんな怪虫に血を吸われて死ぬなんてまっぴらごめんです。吸われなくともあの口に触れるというだけで怖気が!!(叫)
ええ、擬音マスター目指しますよ! 擬音は日本が誇れる表現法ですからね!
しかし祇園マスターもそれはそれで憧れる(笑)
ごめん、私も多分絶対にドアは開けません!!
こえぇぇよおおおぉぉおお (゚Д゚;≡;゚Д゚)
巨大ノミに吸われて…って想像しただけでも鳥肌っっ
閉じこもる場所がコンビニならしばらく食糧とかは困らないな、とかも思ってたり(笑)
字って面白いですね!
「ジュウ」より「ヂュウ」の方が吸われてる感満載w
こえぇぇよおおおぉぉおお (゚Д゚;≡;゚Д゚)
巨大ノミに吸われて…って想像しただけでも鳥肌っっ
閉じこもる場所がコンビニならしばらく食糧とかは困らないな、とかも思ってたり(笑)
字って面白いですね!
「ジュウ」より「ヂュウ」の方が吸われてる感満載w
>浅葱さん
お、今日は火山灰が降るな!(笑)
この状況でドアを開けられる人は勇者ですよね! でも自分の命しか考えていないキャラクターてこういう映画では死ぬ確率高いですよね! いや、無理だって(笑)
しかしコンビニって食糧はあるけれど、結構店内丸見えだし所詮ガラスなのでこの場合隠れている場所としてはどうなんでしょう?(笑)
本当にそうです! 「ジュウ」と「ヂュウ」でどれだけ印象が違うことか!
「ヂュウ」の方が断然力強く吸われている気がしますよね。でもステーキ出てきたときは「ヂュウ」より「ジュウ」だし、言葉って不思議なものです。
「い」と「ゐ」は表記だけではなく、発音も違うらしいですが、そういうものが減ってしまっているのは残念なことだと思います。日本語は海外に比べて発音の種類が少ない気がするし、曖昧な発音を排除していっている気が。
そういうちょっとしたところで表現の幅が狭まってしまっているのは残念で仕方ありません。
ということで、今後も擬音マスターの道を突き進みます!(笑)
お、今日は火山灰が降るな!(笑)
この状況でドアを開けられる人は勇者ですよね! でも自分の命しか考えていないキャラクターてこういう映画では死ぬ確率高いですよね! いや、無理だって(笑)
しかしコンビニって食糧はあるけれど、結構店内丸見えだし所詮ガラスなのでこの場合隠れている場所としてはどうなんでしょう?(笑)
本当にそうです! 「ジュウ」と「ヂュウ」でどれだけ印象が違うことか!
「ヂュウ」の方が断然力強く吸われている気がしますよね。でもステーキ出てきたときは「ヂュウ」より「ジュウ」だし、言葉って不思議なものです。
「い」と「ゐ」は表記だけではなく、発音も違うらしいですが、そういうものが減ってしまっているのは残念なことだと思います。日本語は海外に比べて発音の種類が少ない気がするし、曖昧な発音を排除していっている気が。
そういうちょっとしたところで表現の幅が狭まってしまっているのは残念で仕方ありません。
ということで、今後も擬音マスターの道を突き進みます!(笑)
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