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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2009/11/24(火)   CATEGORY: 短篇小説
添付メール
 ヴァイヴレーション。
 震えるケータイのサブディスプレイを覗いてみると夏子だった。

『ただいまー。
 仕事疲れたー。これからゴハンにする!

 実はママからハンバーグと唐揚げをもらったのだ~♪』

 メールを読むと諒二はグウ、と腹の虫が鳴いた。

『おかえり。
 いいなー、俺も食べたいなぁ。

 羨ましいぜ!』

 自分もパスタでも茹でようか。
 再びケータイが振動した。メール着信。

『じゃあ、送ってあげようか?
 メールに添付するからちょっと待って~。』

 現実世界の物体を情報化(サイバライズ)して電子物に変換するサイバティック・コンバートには少々時間がかかる。通称「取り込む」と呼ばれる対象物の解析にはハンバーグと唐揚げ程度ならば約3分ほどだろう。

『あ、じゃあ俺がそっち行けばよくない?』

 夏子にメールをして、諒二はケータイに付属しているサイバライズ・レンズを自分に向け、サイバティック・コンバートを始めた。


 ***


 夏子は諒二からメールをもらってから10分ほど待っていた。
 突然ケータイが鳴る。この着信は諒二だった。

『添付ファイル有り』

 夏子がそれを開くと、ケータイのサイバライズ・レンズから光線が放たれた。電子物に変換されたものを現実の物体に再変換することをリアライズという。リアライズはサイバライズに比べていくぶんか速く行われるので、諒二が再構築されるのもすぐだった。
 徐々にカタチが構築されていく。まず諒二の頭が現れた。

 ドンッ。

 物が落ちる大きな音がした。

「夏子、久し振り」
 諒二が気さくな声で言った。遠距離恋愛をしているふたりが会うのは2ヵ月ぶりだ。
「諒二…」
 夏子はうまく声が出なかった。
「ごめん。容量オーバーしちゃったみたい」
 夏子の目の前に現れた諒二の体は上半身だけだった。
 添付ファイルの容量を超過してしまったせいで、中途半端に送信されてきてしまったようだ。
「だっ、大丈夫!?」
「うーん、とりあえず急いで送り返すか救急車呼んでくれる?」
 諒二の体の断面からドクドクと流れる血液によって、夏子の部屋は赤く染められていくのだった。



<作者のことば>
暇潰し作品。
意外とSFっぽいのは初めて? 結構SFモノ好きなんだけど、なかなか書くには至らない。

こんな添付は嫌だけれど、いつかジョウントっぽいことできる機械できないかなぁ?

SFってロマンですね。ロマン。


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COMMENT

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ライム | URL | 2009/11/25(水) 13:48 [EDIT]
これ、オリジナルは自分の家に残ってて
それとは別にコピーした上半身が
彼女の家に送信されたんですよね!?
出血! 救急車!!

データの半量だけ送らないでください(~_~;)
訳分からないことになります
それくらいなら送信エラーに……
いや、送信エラーってどんな状態だ?((゜Д゜ll))
いろいろ想像力を掻き立てられる作品でございました
● Re: タイトルなし
匡介 | URL | 2009/11/25(水) 14:30 [EDIT]
>ライムさん
いえ、サイバティック・コンバートは実体を本当に電子物に変換してしまうので、オリジナルは下半身のみ自分の部屋に残ってます(笑)
コピー路線も考えたのですが、それだと結局のとこ一緒に食べることになっていない!!(彼女はともかく(笑))と思ったので(笑)←イメージはジョウント(瞬間移動)の亜種的な。

それに受け取った側がリアライズするとき構成物質はどこから調達するのか?ってことを考えたら、やはりオリジナルを送信するしかないという結論に至りました(笑)

『取り込み(サイバライズ)を完了次第、送信する』っていう設定でサイバライズを始めたので結果、容量超過にも関わらず、半端な状態で送られてしまったっていうのが自分のイメージです(笑)
ということは……きっと下半身もおびただし血を垂れ流しているはず!! もう救急車呼ぶにも上半身と下半身別々でどうすればいいことやら!!

ちなみに奇しくもコピー編をさっき思いついて書こうとしていたところなのでお楽しみに(笑)

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