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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2009/10/20(火)   CATEGORY: 短篇小説
鬼憑-復讐代行人-(7)
 勇也はこの女に見覚えがあった。以前に何度か寝た女だった。本人は付き合っていると勘違いしていたようだが。
 彼女はそれまでにセックスはおろか、男と付き合ったこともなかった。しかし決して容姿が悪いわけでも、性格が最悪なわけでもない。彼女は俗にいう箱入り娘であった。過保護に育てられ、男と付き合うなど許されなかった。外界との接触を極力断つ、そんな偏った行きすぎた過保護という育てられ方をしたせいか、人見知りが激しく男友達どころが女友達もろくにいなかった。高校を卒業間近に両親が交通事故で死んだ。以来、女は母の妹である叔母の元で生活をしていた。叔母は姉夫婦の過保護ぶりには反対だった。あれは天然記念物や世界遺産といったレヴェルの保護だとすら思った。それに彼女は高校を卒業してもはや立派な大人だった。叔母は彼女に自由な生活を与えたかった。積極的に外の世界に触れさせた。遊びで帰りが遅くなったときには、むしろ微笑ましくも感じていた。
 それが悲劇の始まりだったのかもしれない。
 彼女はある日、男にレイプされた。男は合意の上だったはずだと言っていたが、あれはレイプだった。
 彼女は躰を穢された、と思った。心に穴が開いたようだった。その穴を埋めるように男を愛した。自分をレイプした男を、だ。
 それが田原勇也だった。
 勇也は自分に近寄ってきた彼女をいいように扱った。甘い言葉を浴びせ、弄んだ。無知な彼女にいろいろな遊びを教えた。夜の、いかがわしい遊びを。
 彼女は勇也に教わったそれを普通のことだと思っていた。ひどくマニアックなプレイも甘んじて受け入れた。どこの誰でもやっていることだ、これくらい出来なければ彼に捨てられてしまう。そう思い込んでいた。
 そんな彼女を勇也は面白がって相手した。勇也にとって、彼女は穴の開いた玩具だった。穴があれば挿し込む。いろいろなものを、自分のペニスを。あるいは他人のペニスすら挿し込ませた。彼女はそれすらも受け入れた。内心は嫌だったがそんなことは言えない。勇也は怒れば何をするかわからなくて怖かった。それに自分を好きでいて欲しかった。愛して欲しかった。あの日犯されたことに、意味があると信じたかった。
 しかし、勇也は言ったのだ。
「もう来なくていいよ。会いたくもないし、それに飽きたから」
 それは勇也の友達にレンタルされていたところから戻ってきたときだった。
 勇也は「彼女貸すくらいフツー。むしろそうやって自慢するんだよ。お前は俺の自慢の彼女だからな」と言って、彼女を友達のところへ送り込んだ。勇也の友達は過激な、危険も付き添うほどのプレイを彼女に対して行った。何日かして、その行為に限界を感じた彼女は友達の男に言った。「もう帰りたい。勇也が待ってるから」
「ハハハ。お前を待ってるやつなんていねえよ。お前は俺に売られたんだよ。そんなのことにも気付きもしねえで、俺に喜んで腰を振ってるなんて、マジで発情期の雌犬みてえな女だな」
 嘘だと思いたかった。
「本当だよ。勇也に訊いてみりゃいいだろ。『わたしを売ったって本当ですか』ってな。ハハハ! マジ、ウケるよお前! そんなことないって顔しやがって、超サイコー!!」
 彼女はその友達のところから逃げ出して、勇也のところへ戻った。そのときの言葉だった。
「もう来なくていいよ。会いたくもないし、それに飽きたから」
 彼女に絶望という闇が襲った。



<作者のことば>
今回はガッツリとダークです。もし気分が悪くなったとしたら申し訳ない。
けれど、ここを抜かしては終われない。本当は、もっともっと容赦無く書きたかったのだけれど、今現在の自分の筆力ではこれが限界です。

男に愛されたかった女、愛を知らなかった男、男を愛した女。

気付けば、テーマは「愛」?
それも憎愛っていう昼ドラ万歳なドロドロとした愛のような…。

まぁ、何にせよ、次回で完結です。
当初は1回かもしくは2回くらいに分けて載せるくらいの気持ちだったのが、存外長くなってしまいましたが、ついに終わるときがやってきたようです。

どうか最後までお付き合い願います。


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COMMENT

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● な、なんちゅ~男じゃ(# ゚Д゚) ムッキー
鷹の爪痕 | URL | 2009/10/21(水) 11:39 [EDIT]
っとと、出だしから怒ってしまって申し訳ないm(__)m

折角涙を流して駅にいたのを見て(読んでw?)「あ、意外に根はいい男♪」と思っていたらそんなことッッ!!
イカンよ、君、それは人としてイカン!!

と、もう終わってしまった事だから、ぐちぐちと言ってはいけないのでしょうけれど…
そんな奴の為に刑事さんたちが、グチャグチャのモチャクチャになってしまって……(´;ω;`)

いやしかし、今回はダークでしたね、もろダークil||li(つω-;)il||li
でも見事に表現されていたと思います。
私にはとても書けない描写で、本当に感服致しますm(__)m

>危険も付き添うほどのプレイ

……どんなだろ?と思ってました(笑)
ほら、箱入り娘だから、わた…ぐはぁっ。・゚・(Д`(⊂(゚Д゚ つ⌒

次回で完結ですか……面白いのに…すごく残念(;つД`)
でも、一日おきの更新、頑張ってますね~♪

匡介 | URL | 2009/10/21(水) 14:33 [EDIT]
>鷹の爪痕さん
個人的な永遠のテーマのひとつなんですが、いくら悪いことをしてもきちんと罪を償って改心したならばもう一度チャンスがあってもいいんじゃないかって思うんです(そういう意味では、実はあまり死刑制度は好きではありません)。だけれど、その反面どうしても許せない気持ちもわかる。立場が変われば改心しても何が今さらって思う気もします。客観と主観、罪はどちらで裁かれるべきでしょう?
法律としては客観性が大事だと思うし、けれど被害者の気持ちを反映させることもある程度必要な気もします。罪って何に対してあるんでしょうね? 犯罪への抑止力の為か、被害者の気持ちを晴らす為か。あるいは両方なのかもしれませんが、そう考えると裁くことって難しいなぁ、と思うんですよ。自分が罪に対してどういうスタンスを持つべきなのか、いまいちハッキリさせることが出来ていません。

そういった思いが、今回の物語に織り込まれているような気がしています。

何となくヒドイ男だなって印象があった田原勇也ですが、怜奈の死をキッカケに彼は少し変わります。失って初めて人を愛するって気持ちを知ったんです。これからの彼はもっと良い人間として生きていけるかもしれません。「これからは頑張れ」って応援したくなるほどです。
でも、そんな彼の過去を知ってみれば、いくら今になって改心したとしても許されるべきではない、とも思える。こんな彼でもまだチャンスを与えるべきか否か。すごく難しい問題ではないかと思うんです。

悪人は悪人として生まれてくるわけではないし、善人も善人として生まれてくるわけではない。

誰にだって良心はあると思うし、それと同じように罪に手を染めてしまうことだってあるんじゃないでしょうか。悪人だって、キッカケ次第では善人に変われるだろうし、逆もそうです。そう思うと複雑ですよね。罪を裁くことの難しさを心底痛感します。

…おっと、長くなってしまいました!
ちなみに危険が付き添うほどのプレイは、実は結構かなり具体的に内容をイメージしていて、そこを正確に描写するか迷ったんですが、まぁ すでに凄惨さは伝わっているかな、と。あとあまりにハード過ぎた内容だと読む側もキツイかな、と(汗)
それにそんな内容を思い付くお前はどんなマニアックな変態なんだ!!と思われるにも嫌だなーって(笑)

まぁ、もしも後学のためにも知りたいってお思いでしたなら、のちほどしっかりバッチリと教えてさしあげても構いませんよ? フフフフフ。

最終話は「え?そんな展開!?」と思われるかもしれませんが、どうかお付き合いくださいね!

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