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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2009/06/17(水)   CATEGORY: 短篇小説
コーヒーにまつわる3つの短篇 1/③
 太陽は俺を殺そうとしているのか。外は今年の最高気温なんじゃないかと思ってしまうほどの暑さだった。あまりの暑さに俺は目に留まったカフェに逃げ込んだ。
 アイスコーヒーを頼んで窓際の席に腰を降ろした。店内は冷房が効いていて涼しく、まるで天国だ。外を眺めると、たくさんの人が歩いている。この猛暑酷暑の中、大変だなぁ。自分が涼しいところにいるということに、少しだけ優越感に浸らせてもらった。ここにはカフェテラスもあるようだが、この暑さの中に自ら身を投じるなどその神経が理解できない。それでも外の席にも何人か座っている。やはり理解できない。
 アイスコーヒーがきて、さっそく喉に通した。冷たい液体が、体中を巡るのを感じる。ああ、生き返る。
 窓ガラスを隔てて女の子と目が合った。カフェテラスに座っている女の子だ。歳は俺より5、6は下というところか。若い、かわいい女の子だった。
 そんなところにいて日焼けをしないのだろうか。近頃の女の子はそういうのを嫌うと思うのだが。最近は、ほどよく小麦色に焼けた子をあまり見ない。紫外線を嫌い、日焼け止めを使っているような白い子か、ただひたすらと自分を黒くするような黒すぎる子かに分かれる気がする。まあ、どうでもいい。
 コーヒーをもうひとくち飲み、読みかけの文庫を取り出しページを開いた。

 寒い。冷房の効きすぎだ。店内に入ったばかりのときはいいが、こうやってアイスコーヒーみたいな冷たいものを飲むとその相乗効果は凄まじいもので、寒さすら感じる。
 外を見遣った。こうなるとカフェテラスの席が羨ましい。今なら少しだけ彼らの気持ちもわかった。なるほど、涼しい店内で冷たいものは結果として相性がよくないようだ。
 見てみると、目が合った女の子はまだそこにいた。ひとりで何をするわけでもなく、と通りゆく人々を眺めている。その横顔は少し寂しげなもののように感じられた。
 もう文庫の残りもあとわずかとなっていた。途中まで読んでいたとしても、ここに来て結構な時間が経ったはずだ。少なくともそのときから彼女はそこにいた。一体なにしているのだろう? ひとりでコーヒーを嗜むにしてはいささか違和感を感じる。
 なぜだか気になってしまって、彼女を観察することにした。

 かれこれ30分以上も彼女のことを眺めている。俺も彼女もただの暇人。そう片付けてしまっていいだろう。俺は立ち上がり、店を出た。
 最後に彼女を見ようと振り返ると、そこにはひとりの男がいた。彼女には笑顔が浮かんでいた。待ち合わせだったのか。来てよかったじゃないか。俺は意味もなく笑う。
 そしてまた殺人的な暑さの中に身を投じた。




<作者のことば>
とりあえず何か載せようと思って、過去に書いたものを載せてみた。
タイトルが「コーヒーにまつわる3つの短篇」ですが、現在2話までしか出来ていなく、だからずっと前に書いていたも載せていませんでした。けど、タイトルが先に決まったパターンで、どうしても3話というのは譲れない(笑)

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COMMENT

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caramel* | URL | 2009/06/26(金) 13:35 [EDIT]
初めまして・・・ caramel*といいます。
喫茶店やカフェが大好きなので 思わず
読んでしまいました。読んでいくうちに
私も女の子のことが 気になりました。
気取らない綴り方にとても 共感しました。

足跡のこしてくださって どうもありがとうございます。

匡介 | URL | 2009/06/26(金) 17:46 [EDIT]
>caramel*さん
初めまして。
読んで頂いて、ありがとうございます。そうですか、気取ってませんか(笑)
そんな視点のコメント初めて頂いたので新鮮です。そういう見方もあるんですね。

よろしければ、またいらしてくださいね。お待ちしています。

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