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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/06/16(月)   CATEGORY: 短篇小説
ガンマン!
 そのビル――メキシコシティ80ビルの前に一人の男が立っていた。
 
 その男の名はサンス。“銀色の悪魔”の通り名を持つ殺し屋だ。

 サンスはビルの入口を通り抜けようとすると、2人の男に引き止められた。
「ここに何の用だ?」
「通行許可証は持っているのか?」
サンスはニヤリと笑った。そして銀色のロングコートの内側に手を突っ込む。

 ―――次の瞬間、

 サンスはコートの内側から2丁の拳銃――右手にはオートマチック、左手にはリボルバーの銃だ――を取り出して、男2人にそれを向けた。
 銃口は男たちの頭を捉えている。

 ドン。

 鈍く低い音が響いた。それは銃声だった。2人の男は頭に大きな穴を穿(うが)たれ、血をまき散らしながら床へと倒れこんだ。
 サンスは再びニヤリと笑った。そしてビルの奥へ進む。エレベーターの呼び出しボタンを押して、その場で数分待った。そうしてエレベーターの到着を待っている間に5人の男たちがサンスに向かって駆けてくる。男たち全員のその手には、銃が握られていた。
「やれやれ。」
 サンスは再びコートの内側から大きな2丁の拳銃を取り出し、それを男たちに向けて引き鉄を引いた。5人の男たちのうち、2人の頭が吹き飛んだ。
 サンスは続けざまに引き鉄を引いた。また2人の男の頭が吹き飛ぶ。最後の1人には、左手に持った巨大なリボルバーを差し出し、引き鉄を引いた。
「あばよ。」
 ドン、という鈍い音とともに男は自らの血を宙に舞わせ、倒れた。
 エレベーターのドアが開く。サンスはエレベーターに乗り込んだ。
「さて、何階に行けばいいのかな?」
 エレベーターの内部には各フロアの説明はなかった。サンスはとりあえずといった感じで60のボタンを押した。エレベーターが動き出した。

***

 男たちはすることがなく、暇を持て余していた。一人は自分の銃の手入れをしている。
 男たちが雑談をしていると、エレベーターのドアが開いた。男たちの視線の先はエレベーター内にそそがれた。

 ドン。

 一人の男が胸に風穴を空けて、後方へと吹き飛んだ。

 ドン。

 もう1人も同じようにして吹き飛んだ。

 ドン。

 今度の男は頭だけが吹き飛んだ。
 男たちはあっけにとられている。

 ドン。

 さらに1人が吹き飛んだ。

 ドン ドン。

 今度は2人一緒に、だ。

 そこでその男はハッとした。急いで、さっきまで自分が手入れをしていた銃を組み立てて、エレベーターから降りてきた男に向けて――

 ドン。

 銃を構えたその男より早く、サンスの銃弾は男の眉間を捉えた。
 男は脳漿をまき散らしながら後方へ吹き飛び、床に倒れた。

 サンスはこのフロアを一通り見回して言う。
「ここじゃなかったか。」
 彼は再びエレベーターに戻り、次は70のボタンを押した。

***

 エレベーターが70階に到着して、ドアが開いた。するとドアの向こうには十数人の銃を手にした男たち。
「おっと。」
 サンスは両手の銃を乱射した。ドンドンドン。男たちも銃で撃った。メキシコシティ80ビルの70階は銃声で包まれた。

 サンスは何発かの銃弾をその体に受けつつも、一気に男たちと撃ち殺していく。気付けば残りはもう2人だけだ。
「バイバイ。」
 サンスは2丁拳銃を同時に構えて、発砲した。
 男2人の頭は同時に吹き飛んだ。
「さて、この階でもないのか。」
 サンスは少しばかり悩んでいるように見える。
「仕方ない。一気に最上階まで行っちまうか。」
 サンスは一番上にある80のボタンを押した。

 ***

 ケインズは部下3人を側近につけていた。
 そしてメキシコシティ80ビル最上階の警備兵の人数はさらに20人もいた。
「ネズミでも入ったのか?」
 少し落ち着かない様子の警備兵たちを見て、ケインズは言った。
「ええ。入口の警備がやられたようです。」
 ケインズは溜め息をついた。
「それくらいでいちいち動揺をするな。落ち着かないか。」
 そう言われても警備兵たちはそわそわした様子だ。
「どうせ75階より上からはカードキーがなければエレベーターは動かん。」
 ケインズがそう言った瞬間、一面ガラス張りのビルの窓の外から銃声がした。しかし、ケインズたちが聴いたのは、その銃声よりも窓のガラスが割れて崩れる音だった。
「ヘイ! 会いたかったぜケインズ。」
 サンスは窓の外から這い上がってきた。
「私はキミのような人間を知らないのだが。」
「さみしいねぇ。俺はこんなにも会いたかったって言うのに。」
「もし私の知り合いなら堂々と玄関から入ってくればいい。」
 ケインズは片眉を上げた。
「ちゃんと入ってきたさ。ノックもしてね!」
「そのノックというのは、今キミの持つその銃を使って?」
「イエスッ!」
 サンスは喜びが抑えられないといった様子だ。
「しかし残念なことに、このフロアの玄関とは、あのエレベーターのことを指すのだよ。」
「それは悪かったね。ノックしても返事がないもんでさ。」
 ケインズは、もういい、といったふうに警備兵たちに合図を送った。警備兵たちの肩にぶらさがっていたサブマシンガンを一斉にサンスに向ける。
「オイオイ。そりゃねえだろ?」
 勘弁してくれよ、と言いたげなサンス。
「やれッ!」
 警備兵たちのサブマシンガンが火を吹いた。

 ダダダダダダダダダダダダダ…

 サンスは銃弾の雨アラレの中、ケインズに向かって走った。
 ケインズの側近がサンスの前に立ちはばかり、他の警備兵と同様にサブマシンガンに火を吹かせた。サンスはその連射される銃弾を銀色のロングコートで受け止めつつ、後方へと吹き飛んで、床へと倒れた。
「やったか?」
 ケインズは自分の部下に訊ねるが、実際は訊いた彼自身答えはわかりきっていた。
「おい。そこのゴミを処分しておけ。」
 ケインズが部下にサンスの死体の処理を命令する。
 ケインズの部下数人が頷いて、サンスの死体へと近付いた。
「ヘイヘイヘイッ! 人を勝手にゴミにするんじゃないぜベイベッ!」
 そう叫ぶと同時にサンスは飛び起きて、愛用の2丁拳銃を構え、それは鈍く、低く、叫んだ。
「ぐあァァァっ!!」
 近付いた部下の1人が叫んだ。彼は自分の腹に大きな風穴を穿たれたが、それだけではすぐに死ねず、苦しみもだえた。
「かわいそうに。」
 自分でやっておいて、サンスはそう言った。そして倒れた警備兵からサブマシンガンを取り上げた。
「アレ? みんなどうしちゃったの?」
 その場にいた者はみな、サンスがよみがえったことにア然としていて動きが止まっていたが、サンスの言葉によって我を取り戻したようだ。
「おいッ! やつを殺れッ! 撃てェ!」
 ケインズは叫んだ。警備兵たちは再びサブマシンガンを一斉放射し始めた。
 サンスは助走をつけて力いっぱい跳び、宙に舞った。嵐のような弾丸はすべて銀色のロングコートで受け止めていた。サンスは着地すると同時にケインズを押し倒した。
「なぜだ?」
 ケインズの頭に銃口が向けられた。
「なぜって何がだ? 俺が生きていたことがか? それなら簡単なことさ。俺のこのコートは防弾性なんだ。テメェらのチンケな銃弾なんか通さない。」
 さらにいうとサンスはそのコートの下に軽量化された薄型の防弾ベストを身につけていた。それによって彼が頭以外で致命傷を負う確率は一気に下がっていたのだ。
「何が目的だ?」
「あァ、そっちの方か。てっきり俺が死なない理由を訊いてるんだとばかり思ってたぜ。」
「さっさと話せ。」
 ケインズは自分の頭に銃口が突きつけられてるのにも関わらず強気な態度だ。
「お前の命さ」
 そう言うとサンスはニヤリとした。
「お前、殺し屋か?」とケインズ。
「オー、イエス。」ふざけた態度のサンス。
「誰に頼まれた?」
「残念、今回は私用だよ。妹のカタキを討ちにきたのさ」
 サンスの眼に憎しみの色がこもった。
「妹だと? そんなくだらないもののために?」
「妹はな、お前らのくだらない抗争の巻き添えを喰って死んだ。」
「くだらんッ!」


「オマエには…わからなくてもいいことさ。」


 サンスはそう言って、ケインズに向けたオートマチック銃の引き鉄を引いた。

「グッバイ。ケインズ。」

 ケインズの頭に50口径の弾丸がめり込み、辺りには血が吹き荒れた。
 サンスの銀のロングコートも血で染まった。
「さて、と。」
 サンスのすぐ奥にあるエレベーターのドアが開いた。いつの間にかにサンスが呼び出しのボタンを押していたのだ。

 ダダダダダダダダダダダダ……

 サンスはエレベーターにすべり込み、『閉』のボタンを押す。エレベーターのドアは閉まり始めた。

「あ、これ置き土産!」

 ドアが閉まりきる寸前に、サンスはコートの内側から何かを取り出して放(ほう)った。宙を舞うそれはもう狭くなっているドアの隙間を通り抜けて、フロアの床に落ちた。それは手榴弾だった。

「シィーユーアゲイン。」

 ドアは閉まり、エレベーターは降下を始めた。その数秒後、大きな爆発音が鳴り響いた。


<作者のことば>

吹き荒れる弾丸! 飛び散る血と脳漿! バイオレンス&ガンアクション!

これのキャッチコピーを考えてみた。
イメージはB級映画です。「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」とかね。
書いてる分には楽しかったです。読んで面白いかは、どうだろう?(笑)

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