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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2009/01/01(木)   CATEGORY: 短篇小説
往く年来る年。
「早く!早く!」
「そう急かさなくてももう出来たよ」
 時刻はもう12時5分前。あと少しでひとつの年が終わり、また新しい年がやってくる。
「誰かー、運ぶの手伝ってくれるー?」
 ジュンの声にユウイチとタイヨウが立ち上がり、ジュンの手元にあったそばを持った。
「タムラー。年越しそば食べるよー」
「…ん、ああ」
 タムラはTV画面の向き合いながら手元のコントローラーを必死に操作している。彼は無類のゲーム好きだ。
「伸びるよー?」
「もう少しでクリアなんだ。これは今年中にクリアするって決めてたから。大丈夫、もう2分くらいあればエンディングに辿り着けるから」
 TV画面から全く目を離さないままそう彼は言って、ゲームを続けている。
「先に食べちゃうよ?」
「いいよ」
 それを聞いて、タムラを除いた全員がそばの前で箸を持った。
「タムラ」ユウイチが言った。「年越しそばって年が終わる前に食べないと次の年は金運に恵まれないらしいぞ」
「…マジ?」
「マジ」
「そうなの?」それを聞いてジュンも口を開いた。「それってもう2分しかないじゃん! 年越しそばって、年越しながらそばを食べるもんだと思ってた!」
「俺はそう聞いた」
 ちょっとTV画面を見つめて少し悩むそぶりを見せたが、ついに観念してタムラは持っていたコントローラーを床に置いた。
「じゃあ食べますか」
「はい、箸」
「サンキュ」
 全員がそれぞれのそばの前に座り、手を合わせた。
「今年も一年ご苦労さまでした。いただきまーす」
 ジュンがそう言うと他のみんなも続いて「いただきまーす」と言って、そばを食べ始めた。
「おい、ユウイチ! もう1分しかないぞ!」
「そうだね」
「オイ、タムラ! 勝負だ勝負!」
 タイヨウはそう叫んで、一気にそばを詰め込み始めた。それにならってタムラも加速する。
「ゆっくり食べなよ。のどに詰まらすよー?」
「ジュン、気にするな。そのときは放っておけばいい」
「えー、ユウイチは冷たいなぁ」

「明けましておめでとうございます」

 タイヨウが一番にそばを食べ終えてそう叫んだ。
「結局、年は越してしまったな」とユウイチ。
「あー、あと少しだったのに!」これはタムラ。
「初詣行こうよ!初詣!」
「えー、さみーよ。タイヨウ、お前ひとりで行ってくれば?」
「えー!! ひとり嫌だー!!」
「じゃあ、これ食べ終わったら一緒に行こうか?」
「まったく、ジュンは優しいなー」
「タムラが優しくないだけだ」
「ユウイチ、お前に言われたくないわ」

 結局、全員で初詣には行くことになり、タイヨウのはしゃぎようは一緒にいて少し恥ずかしいくらいだった。でも、タイヨウは日本で初めての年越しなのだからはしゃぐのも仕方ないかもしれない。彼は4歳までは日本で過ごしていたが、それ以降はアメリカで育っていた。
 正確には初詣だって生まれて初めてではないけれど、日本にいた頃の記憶がほとんど残っていないタイヨウにとってはそれ同然に等しい。
「うわー、すごい人ー」
「こりゃ相当並ぶことになるぜ?」
「それでも並ぶー!」
「はいはい、わかりました」
 タイヨウの希望もあって地元で一番大きい神社を選んだせいもあって、初詣に並ぶ人はかなりの数だった。
 深夜の寒空の下で長い時間待って、やっとタイヨウたちの番が回ってきた。
「おおー。これ鳴らすの?」
「うん。この太いやつを振って鈴を鳴らすんだよ」
 ガラガラガラー。
「あとはこの箱にお金を投げて入れるの」
「いくら入れるの?」
「まぁ、そこはタイヨウの気持ち次第でいいんじゃないかな」
 タイヨウは財布から千円札を引き出した。
「おいおい。千円も入れるのか? 小銭でいいと思うぞ」
「そうなの? タムラは何円入れる?」
「五円」
「ケチな男だね」
「これは御縁がありますように~って意味だ」
「なるほど! じゃあオレはいっぱい御縁がありますように五百円玉にする!」
「どういう理屈だ。だったら五円玉いっぱい入れればいいじゃんかよ」
「そんなに持ってないもーん」
 そうしてタイヨウは持っていた五百円玉と五円を2枚賽銭箱に放った。
「タイヨウ。ちなみにこいつは御縁とかけて五円にしたんじゃなく、本当にケチだから五円にしたんだよ」
「ユウイチ!お前に何がわかるってーんだよ!」
「やっぱりタムラはケチだったかー」
「金の亡者だ」
「このカネノモウジャ!!」
「絶対、意味わかって使ってないだろ」

「タムラー。帰ったらゲームしよー」
「何でだよ。眠いよ俺は。それにタイヨウはゲーム弱いじゃん」
「えー、もう寝るのー? やだー」
「子供かよ」
「タイヨウは初日の出が見たいんだよね?」とジュン。
「そーなのだ~」
「タイヨウなだけにか?」タムラがそう言うとユウイチが「ツマラナイ」と小さく呟いた。
「日本ではみんなで初日の出見るんだろ~?」
「俺は見たことねえな」
「あれ? タムラは初日の出見たことないの? じゃあ、ちょうどいいじゃん。みんなで初日の出見に行こうよ」
「それまでゲームダナー」
「一度も勝てなくても泣き言いうなよ」
「HAHAHA~、オレはナキゴトなんて言わないもん~」


<作者のことば>
どうも。初小説です。初書きです、初書き。
久し振りに書いたせいで、またもや書き方を忘れているという。ははは。

本当は、元日だから更新しようとかそういうつもりはなかったです。

別に年が変わったからって何?的な反骨精神といういわゆるロック魂を全開だったからです。

…ちょっと適当なこと言い過ぎました。
でも大晦日とか元日とか、みなさんなら挨拶のひとつでもしようときでも、別に挨拶は要らないかーとか思ってたのは事実です。まさに最近の若者(笑)の挨拶の出来ないというアレです。ごめんなさい。また適当なこと言いました。


皆様、今年も「みやび萬紅堂。」をよろしくお願いします。←結局挨拶しちゃった。


←さあ、キミも初click!!
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| | 2009/01/01(木) 14:41 [EDIT]
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YUMA | URL | 2009/01/01(木) 22:34 [EDIT]
あけましておめでとうございます!
昨年はコメントなどでお世話になりました。
今年もよろしくお願いします!

玖月さくら | URL | 2009/01/02(金) 18:18 [EDIT]
一日遅くなりましたね。
昨日は忙しいですので、

明けまして新年おめでとうございます!
今年もよろしくね~

匡介 | URL | 2009/01/03(土) 01:23 [EDIT]
>シークレットさん
え? そうかな?(笑)
そういうことを思える方がそうなんじゃないかと思ってしまうよ(笑)

匡介 | URL | 2009/01/03(土) 01:24 [EDIT]
>YUMAさん
こちらこそお世話になりました。
今年も仲良くしてくださいね。お願いします!

匡介 | URL | 2009/01/03(土) 03:14 [EDIT]
>玖月さくらさん
自分はとっても暇でした(笑)
こちらこそ今年もよろしくお願いします! お互い良い年にしましょう!

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