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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/12/09(火)   CATEGORY: 短篇小説
L・ディアブロ(前編)
 男が走っていた。浅黒い肌をしたその男の後方からは銀色の派手なロングコートを羽織った金髪の男が迫ってきていた。
「オラァ!! 待てコノヤロウ!!」
 金髪の男のさらに後方からも、スーツを着たプラチナブロンドの短髪をした男が駆けてきていた。
「ねぇ、あとは任せちゃっていいかなー? 彼、意外と逃げ足が速くて僕もう疲れちゃったよ」
「あァ!? オイ、ハリー。もう少し頑張れよ!」

 名前/L・ディアブロ
 職業/賞金稼ぎ

 備考/別名:賞金稼ぎ界の“死神”

「だって、あの程度のだったらエルだけでも充分に捕まえれるだろ?」

 名前/ハリー
 職業/賞金稼ぎ

 備考/L・ディアブロのパートナー

「あー、もう仕方ねえなァ。ここらで終わりにしますか」
 銀のロングコートの男――L・ディアブロ――がさらにスピードを上げて、先頭の逃げている男のすぐ背後まで追いついた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「もう、逃げられねえぜ?」
 ディアブロが男の首根っこを引っ掴み、後方へと思いっきり投げ飛ばした。
着地とともに大きな衝撃が彼を襲い、男は呻く。
「つーかまーえたっ!」
 スーツの男――ハリーが男の腕を掴んだ。その華奢な見た目とは裏腹に、その力は逃れようのないくらいに強い。背中を強打した男は、もう抵抗する気力さえ失っていた。
「ロチャード・ベリーニ、20件の強盗と14件の食い逃げの容疑者としてお前を警察まで連行する。オーケー?」
「何がオーケーだ! 全然オーケーなんかじゃねえ!」ベリーニはわめく。
「まあまあ、落ち着いて」ハリーはにこにことした表情だ。
「じゃあ、そいつを明け渡してキティのところに行こうぜ。メシ喰う約束してるんだ」
 そう言うディアブロをハリーはよーく眺める。
「その格好で行くの?」
 彼は素肌に銀色のロングコートを羽織っていた。
「あー…、着替えねえとな」
「というかよくそんな格好できるね」
「ウルセェ」
 ハリーは笑う。
「いいから早く行こうぜ。キティを待たせたらあとが面倒だ」

***

 漂う硝煙の匂い、あたりを赤く染める血、大量の死体。そこは地獄と化していた。
キュラソー通りにあるレストラント。そこでディアブロは妹のキティと食事の約束をしていた。しかし彼がレストラントに到着した頃、そこは瓦礫と死体が無惨に散らばる、まるで地獄絵図の様相に変貌していた。
「キティ!」
 妹の安否を確かめるため、ディアブロは崩れかけたレストラントに駆け寄った。途中、現場保持をしようとする警官を振り払い、建物の中へと入る。そこには生きた人間だった塊がいくつも倒れている。歳も性別も関係なく無惨に殺されていた。
 窓際、奥から2番目のテーブルに近寄った。そのテーブルは無数の銃弾により穴だらけ、原形を保っているのもギリギリに見える。少し触れただけで崩れてしまいそうだ。
 テーブルの下に“何か”があるのに気付いた。ディアブロは少しためらいつつ、テーブルを寄せる。やはり少し崩れた。彼はテーブルの下敷きになっていた“それ”を見て、うまく呼吸が出来なくなっていた。目頭が熱を持ち始め、指ではさむように押さえた。それでも目元から、数条の涙がこぼれ落ちる。
「……キティ」
 それは妹のキティだった。彼女の躰(からだ)にも銃弾が食い込んでいて、そこから血が溢れ出ていたようだが、もはやそれも止まっている。――彼女は死んでいた。
「エル……」
 背後からハリーの声が聞こえた。彼も状況を把握したらしい、ディアブロにかける言葉が見当たらなかった。
「一体、誰が妹をこんなに……」
 ディアブロは悲痛の叫びをあげた。

 警察の見解では、今回の大惨事はストリートギャングの抗争によるものらしかった。レストラントでは数人の地元ストリートギャングに属していた男たちの死体が見つかっている。襲ったのは、その男たちと敵対関係にあったダイアモンドヘッズという見方が有力だった。縄張り争いで過去に何度も抗争を繰り返している。今回ほどの規模ではないにしろ、死者も出ていた。
「……ハリー、俺はキティを殺したやつらを許せない」
 それは静かな声だったが、明らかに怒気を含んでいた。激しい怒りと深い悲しみが混ざり合っている。
「それは僕だって同じさ。キティは僕の妹も同然だった」
「ダイアモンドヘッズの溜まり場を知ってるか?」
 それがどういう意味なのか、ハリーは承知していた。
「ああ、調べはついてる。――行くの?」
 訊かずとも、答えはわかりきっていた。
「ガキどもに死の苦しみってやつを教えてやらなきゃならねえ」
 L・ディアブロは立ち上がった。銃を取り、ドス黒い憎悪と殺意を纏って歩み始めた。


<作者のことば>
久し振りに書いたら、またもや文章のレベルが下がってるような気がする(汗)
元々アクションモノ書くのが苦手だからかもしれないけど…。

ちなみにちょっと前に載せた予告とは全く別モノです。

そもそも予告で紹介されたキャラが出てきていないし(今後出てくるかも不明だけれど)、「キラー・マシンガン!」のアフターストーリーではなく、それよりずっと以前のプロローグ的な扱いのものです。

時系列に置き換えれば「L・ディアブロ」→「ガンマン!」→「キラー・マシンガン!」というような具合。
ちょっと遊びで書いた「ガンマン」がここまで長くなるとは思いもしなかったです(そして今も同じ気持ちで書いてる)。
でも、出来れば3部作にしてみたいってひそかに思っていて、だけどこのままいくと4部作になってしまう? そんな大したストーリーでもないのに(笑)←むしろベタな感じで行きたい。B級映画を意識しているしね。

そんなわけでちょっとの間、お付き合い願えれば嬉しいです。

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COMMENT

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● 初めまして!
Mr.ホリック | URL | 2008/12/09(火) 17:28 [EDIT]
初めまして、訪問者リストを見てきました。もしよければ相互リンクを貼ってもらえませんか?

匡介 | URL | 2008/12/09(火) 20:13 [EDIT]
>Mr.ホリックさん
初めまして。
こちらは全然構いませんよ。お先にリンクさせてもらいますね♪
これからよろしくお願いします。どうか仲良くしてあげてくださいね~。

果実 | URL | 2008/12/10(水) 13:17 [EDIT]
なんだか映像が浮かんでくるような、輪郭のくっきりとした文章ですね。私は、好きです^^

匡介 | URL | 2008/12/11(木) 02:56 [EDIT]
>果実さん
いやー、どうでしょう? 個人的には非常に稚拙な文章だと自分にがっかりしています。正直載せていいものか迷ったんですが、そう言ってもらえると助かります♪ ありがとうございます。

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