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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/12/05(金)   CATEGORY: 「怪奇蒐話」
「冷蔵庫」
カタカタカタ。


まただ。また聴こえてくる――――。




***



それが始まったのは最近のことだった。
私が寝ようとベッドに入るとどこからか音がしてくるのだ。

カタカタ。

それが何の音だったのかは判らなかったけれど、
そのときは疲れていたのでそのまま寝ることにした。

そして数日後。

やはり寝ようとベッドに入ると音が聴こえてきた。
どこからかカタカタと音が聴こえてくる。
それが何の音なのかは私には判らなかった。

音がする方へ行ってみると音は止んでしまった。
それで結局何の音なのかは判らないままだった。



その日、私はテレビを観ていた。
くだらないバラエティ番組だけど毎週かかさず観ている。

すると、また音が聴こえてきた。

私は音が気になってしまった。
一度気になると中々頭から離れてはくれない。
観ているバラエティ番組はいいところなのだけれど、音の方が気になってしまった。

私は音のする方へ近付いていった。


***


どうやら音は冷蔵庫から出ているようだった。
この冷蔵庫は元々姉が使っていたもので、私が使ってからも何年か経っている。
もう寿命なのかもしれない。

どうせ安い冷蔵庫だろうと思う。
見た目もあからさまに古い感じがするし、そろそろ替えどきなのだろう。

私は新しい冷蔵庫を買うことにした。



原因が判れば、音がしても然程(さほど)気にならなくなっていた。
毎晩カタカタと音はするけれど、次の休日には新しい冷蔵庫を見にいこうと思っていたから我慢できた。


***


まただ。また聴こえてくる。

カタカタカタ。

それでも私は気にせずに寝ようと思った。
しかし、そうはいかなくなってしまった。

音はそれだけではなくなった。
低い呻(うめ)き声のようなものが聴こえる。


ううぅぅぅぅ……


気味が悪かった。
冷蔵庫の調子が更に悪くでもなったのだろうか。
それで低い呻き声にも似た音がするようになってしまったのだろうか。

私は耳を塞いだ。


だれか‥出してくれ…


それは言葉のように聴こえた。
「誰か出してくれ」確かに誰かがそう言った。


ううぅぅぅ…だれか‥さむい…


やはり声が聴こえてくる。
私はベッドを脱け出し、声の元を探した。隣の部屋からだろうか?

段々と聴こえてくる声が近くなってきた。
そして、私は冷蔵庫の前で立ち止まった。


カタカタカタカタ…


ううぅぅぅぅ…



確かに冷蔵庫から聴こえる。
私は恐る恐る冷蔵庫の扉を開いた。

カタカタカタカタ。

その音は冷蔵庫に入っていた1個の卵から聴こえてきていた。
よく見るとその卵は微かに震え、カタカタと音を出している。

実はその卵は有精卵で、冷蔵庫の中で着実に育っていて孵化(ふか)しようとしている。
そんなこと有り得るだろうか。いや、きっと有り得ないだろうと思う。


ううううぅぅぅ…だれか…さむい‥ここから出してくれ…


それは確実にその卵の中から発せられている声だった。
私は叫び、パニックに陥(おちい)ってしまった。

そのままアパートを飛び出してタクシーを拾った。
そしてケンジのアパートに向かった。


***


ケンジは幻聴だろうと言った。
「きっと疲れてるんだよ」そう言って私を部屋に泊めてくれた。

今夜、あの部屋に帰るこは怖かった。

次の日の朝、私は自分のアパートに戻ることにした。
なにせ着替えもなくて、帰らざる得ない状況だったからだ。

私は部屋のドアをそっと開けた。
何も聴こえてこない。ケンジの言うとおり幻聴だったのだろうか。

私は着替えたあと準備をした。
今日もケンジのところに泊めてもらうつもりだったからだ。

準備を終えて部屋を出ようとした。
しかしどうしても冷蔵庫が気になってしまった。
私は冷蔵庫の前に立ち、扉を開ける決心をした。

パキ。

扉を開けようかと思ったとき、足の裏に違和感を感じた。
見てみるとそこには白い何かの欠片(かけら)が落ちていた。

その欠片はあまり小さかったので大して気には留めなかった。
私はその欠片に構わず冷蔵庫の扉を開けた。
中を見てみると卵の数がひとつ足りなかった。

そしてハッとした。
足元に落ちていた小さく白い欠片は卵の殻(から)だということに気付いた。

私は怖くなって急いで部屋を出ようとした。

するとまた聴こえてきたのだ。



カタカタカタカタカタカタカタカタ……



低い呻き声とともにその音は背後から私に近付いてくるのがわかった。

私は覚悟をした。
私は今から振り返り背後から近付く音の正体を確認することに決めた。


<作者のことば>
やはり最初期の作品。
この頃はホラーを考えるのが楽しくて仕方なかった。最近はあまり考えなくなったなぁ。

ちなみにこれも「冷蔵庫」を改題して「カタカタ」か「カタカタカタ」にしようかと思ったけど、やめた。
まァ いっか、ってなって(笑)

んー、またこの頃みたいにホラーを書きたいけど、もうそういう思考ではなくなった気もするから少し寂しい。

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COMMENT

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● カタカタ。。。
| URL | 2008/12/07(日) 00:54 [EDIT]
うーん。
今回も唸りました。
ウチの冷蔵庫もよくカタカタ鳴りますが・・・
まさかタマゴだとは・・・

その発想にだ脱帽です。

で、何が生まれたんだろうか・・・???


匡介 | URL | 2008/12/07(日) 19:53 [EDIT]
>暁さん
あー、もうそれはヤバイですよ。とりあえず卵をすべて処理して、それでも収まらなかったら専門家に相談してください。←専門家?(笑)

ちなみに、その正体は!?
自分の中ではイメージがあるんですが、そこをあえて書かないで想像して欲しいと思います。恐怖ほど想像力を掻き立てるものはないし、想像ほど怖ろしいものはないっていうのがホラーを書くうえでの持論なんです。だから頑張って想像を掻き立てるようなものを書きたいって毎回思ってますね。

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