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みやび萬紅堂。
いらっしゃいませ。コメントはお気軽に。
DATE: 2008/11/21(金)   CATEGORY: 短篇小説
TALK THE DEADⅡ -喋る死体②-
 夕暮れが空を朱く染める頃。粘着質のまとわりつくような、気持ちの悪い濃霧が地上に立ち込めている。
 まだ太陽が沈みきっていないというのに、ひとりのゾンビが自分の棺桶に腰かけていた。濃い霧のおかげで、陽射しは彼にまで届いていなかった。
 近くで人が動く気配を感じてか、近所のゾンビがひとり、自分の棺桶から這い出てきた。
「よう、夜も更けないうちからどうした?」
「眠れなくってさ」
「不眠症か?」
「かもしれない」
「死んでからもそんなことで悩むなんて大変だなぁ」
「近くに病院あったっけ?」
「大きい病院なら少し遠いぞ。小さい病院はもう残ってないかもしれない」
「睡眠薬が欲しいんだ」
「生きた人間の飲む薬なんて、効くかわからないけどな」
「そうかぁ、まいったなぁ」
 不眠症の彼は困ったように頭を掻いた。
「お、生きた人間がいる」もうひとりが言った。
「ほんとに? おれ、生きた人間見るの初めてなんだよ」
「そんなはずないだろ、おまえだって元々は生きてたんだから。鏡で自分を見てみろよ。おまえは頭の半分がないせいで、生前の記憶がないだけだって」
 言われて頭を触ってみると、左半分が確かに大きく窪んでいた。
「なんか怖いなぁ。襲ってこない?」
「びびるなよ。一度は死んでるくせに、小心者だなぁ」
「でも不思議だよな。おれらが昔は生きてたって考えると変な気分」
「だけど一度死んだおかげで、今はこうして新鮮な人間にありつけるわけだぜ? 死神様に感謝しねえとな」
「ありがとう、死神様」
「じゃあ、神に祈ったところで、早めの夕食としますか」
 そう言って彼は、霧に紛れて生きた人間の背後まで迫りより、手馴れた様子で捕まえては、不眠症のゾンビのところへと戻っていった。
「包丁ってどこにあったっけ?」


<作者のことば>
普通「2」ってタイトルかサブタイトルのどっちかにだけな気もするけど、どっちにするか決まらなかったので両方に。

ゆる~いゾンビ世界を楽しんでもらえると嬉しいです。

ホラーチックな会話のはずなのに、どこか抜けてて憎めないこのゾンビたちが俺は好きです。
きっとよくある映画とかで、ゾンビと人間の立場が逆転したらこんなんじゃないかなぁ?

ちなみにリチャード・マシスンの「アイ・アム・レジェンド」の影響は大きいと思います。
それからマンガなんだけど「ドロヘドロ」の影響もあると思うなぁ。

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COMMENT

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● こんにちわ!
卯月 朔 | URL | 2009/06/30(火) 15:00 [EDIT]
短編をちょこちょこ読ませていただいてます!

仮面の者、元ネタは卯月大好きで、戦闘をめちゃくちゃカッコ良く想像できました♪ 黒い衣装に銀髪って映えますよね。
――で、そのあとにこちらを読んで。
ホラーなのにコメディ。
よく考えると怖いんだけど、コミカルという、絶妙な雰囲気が面白かったです(*`▽´*)


またお邪魔させていただきます<(_ _)>

匡介 | URL | 2009/06/30(火) 18:12 [EDIT]
>卯月 朔さん
いらっしゃいませ。
仮面の者は「クレイモア」からのインスピレーションをかなり受けてますね。…そのヴィジュアルは完全に個人の趣味ですが(笑)

実はホラー大好きなんですが、ゾンビ映画もこよなく愛していまして(笑)、でもただのホラーにしたらつまらないなぁ、と思ってコメディテイストにしてみました。ゆるいの好きなので、書いていて楽しかったですね♪

是非是非、またのお越しを! お待ちしていますね。

のらねこ とら太 | URL | 2009/12/03(木) 22:06 [EDIT]
戦闘系のイメージ(・・・とはいわないか。ハードボイルド?それもまた違うか。)なイメージでしたけど、このコメディータッチ、ナイスです。
ボクも死んだら、彼等のようなゾンビ生活を満喫したい。なれるでしょうか。なったとしたら多分、↑ビビリやのタイプで、ずっと棺桶だか、墓の中でヒッキーしてそうデス。(それで満喫しているといっていいものか・・・?)

匡介 | URL | 2009/12/04(金) 05:46 [EDIT]
>とら太さん
コメントどうもありがとうございます♪
匡介=バトルなイメージだったんですね(笑) 物を書くようになった頃は一番書かなかったジャンルなのですが、いつの間にかに増えているのは漫画好きの必然?
アクション満載の小説はあまり読まないので、おかげで最初は文章のイメージを掴むのが大変だった気がします。今でも苦労しますが(苦笑)

ゾンビが好き過ぎて「ゾンビみたい」とよく言われるほどゾンビ好きなので(え?「ゾンビみたい」の意味は違う?)、この作品にコメントしてもらえたのは嬉しいですね!
俺も死んだらこのような生活がしたい! …でも気付いたんです。「棺桶」ってワードを見た瞬間に。――日本は火葬!!(泣)
きっと先人はゾンビ化する余地を与えないように、火葬という手段を取り入れたのでしょうね。←明らかに違う(笑)

のらねこ とら太 | URL | 2009/12/04(金) 23:40 [EDIT]
話を続けても良いでしょうか?(って続けるし・・・)
土葬が良いですね、是非。
安吾の【桜の森の満開の下で】みたいに桜の養分にでもなってしまいたい。輪廻ぢゃないですけど、少なからずチキュウのお役に立てるかと。
でも鳥葬とかはイヤです。死んでてもナンかイタソウですし。

漫画スキ→バトル傾向って、一体どんなの読むのでしょう?
でも色々読んでそう・・・。
しかし、ゾンビみたいって・・・(笑

匡介 | URL | 2009/12/05(土) 03:53 [EDIT]
>とら太さん
どうぞ、お気が済むまで続けて頂いて構いません(笑)
桜の養分になるのは、土葬ですか?(笑) たぶん直接土には埋められないと思うので(それこそ棺桶とか)、自然のサイクルに参加するのはすごく難しいような気がします(笑)
どうしても何かの役に!と思われる場合は、死期を悟ったら山なり海なりに行って、自害!くらいしか思いつきません(そして発見されてしまうというオチ)。ちなみに個人的には海に葬って欲しいですね~。
あと個人的には鳥葬、見てみたくはありますけどね。

漫画は何でも読みますよ! そこはジャンルレス!!
もちろんその中には少年マンガ的なバトル主体のものも多いですし、その影響は大きいと思います。

ちなみに実家には5000冊を超える漫画たちが!!

それくらい、漫画が好きなんです。
最近は読む頻度減りましたけどね~。限られたやつしか読んでないです。


そして俺は見た目と動きがゾンビみたいな男なのです。←どんな!?(笑)

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