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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/11/17(月)   CATEGORY: 「怪奇蒐話」
「視線」
何処(どこ)からか視線を感じる。


この部屋には俺以外の誰も居ない筈(はず)だった。
実際、周りを見回しても誰も居ない。小さな部屋なのでどこかに居て見つけられないなんて事は無いと思う。

でも、視線を感じている気がするのは気のせいじゃない気もする。

カーテンの隙間から誰かが覗いている様(よう)な気がした。
急いで一分(いちぶ)の隙間もなくきっちりとカーテンを閉めてみたけれど、窓の向こうに人が居る筈は無い。此処(ここ)は2階なのだ。

もう一度辺りを見回してみた。

矢張(やは)り誰も居ない。
俺は誰も居ないと判ってはいるけれど、クローゼットの戸を改めて閉め直した。

「もしもし‥?」

俺は居る筈も無い誰かに声を掛けてみた。
そして当たり前の様に返事は無かった。



風呂に入ることにした。
俺は少し疲れているのかも知れない。

頭を洗ってシャワーで泡を流し終わったとき、鏡に映った黒い影が見えた。
透けていて向こうがモザイクがかって見える扉の向こうに人の影の様なものが見えた。

すぐに振り返って見るとそんな影なんてなかった。
もう一度鏡を見てみたが、矢張りその様な影はなかった。



この部屋に入ってからずっと誰かに見られている様な感覚に襲われている。
只(ただ)単に疲れが溜まっていて、在りもしない視線を感じる気がしてるだけなのかも知れない。

とりあえず今日はもう寝ることにした。

俺はベッドに横になった。
この部屋は狭いからベッドから玄関が見える。

俺は玄関の方で一瞬何か光った様な気がした。

目を凝らして良く見てみると確かに何かが在った。
それを見てしまった事を深く後悔した。


玄関のドアの新聞受けから覗く2ツの眼が此方(こちら)を見つめていたのだった。


矢張り、俺の感じていた視線は気のせいじゃなかった様だ。


<作者のことば>
初期作品。
当時は身近なホラーを探しまくってました。

今はあまりホラー探しはしてないなぁ。

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COMMENT

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| URL | 2008/11/17(月) 21:44 [EDIT]
初めまして。楓と言います。
私も小説を書いていますが、なかなか最後まで行かないんです・・・・。
匡介さんはよく本を読むとのことですが、何かお薦めの本があったら教えてください。



匡介 | URL | 2008/11/18(火) 22:02 [EDIT]
>楓さん
初めまして。コメントありがとうございます。
結構書ききるって難作業ですよね。最初は短い話から書いてみたらどうでしょう? たとえ短くても書ききることに慣れようとするのももしかしたら効果があるかもしれません。あくまで“もしかしたら”ですが(笑)

んー、お薦めですかー。
楓さんはどういう小説が好きなんしょう? 青春とかミステリーとか、やっぱり自分が興味あるジャンルからの方がいいと思うんですよね。
ちなみに自分が本を読むようになったのは石田衣良さん、金城一紀さんあたりからです。石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク」はやっぱり面白いと思います。読みやすいし。他だったら俺は「うつくしい子ども」が好きですね。
金城さんなら迷わず「GO」! 名作です。あとは村上由佳さんも読みやすいと思いますね。「天使の卵」とか「青のフェルマータ」とか。

あと個人的に好きな作家を挙げると本多孝好、大崎善生、米澤穂信とか読みやすいし面白いと思うんですけど。
それなりのページ量があってもいいなら、京極夏彦や森博嗣なんかも面白いと思います。

ちなみに最近読んで面白かったのは桜坂洋さんの「スラムオンライン」かな。

適当に思い浮かんだのを挙げてみたんですが、もし、こういうのがいい!って希望があるなら教えてください。
また気軽にコメントしてくださって構いませんよ。たぶん、一気にたくさん挙げちゃって困ってしまうと思うので(笑)

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