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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/11/07(金)   CATEGORY: 短篇小説
TALK THE DEAD -喋る死体-
 今は深夜。ねっとりとした闇が世界を覆っている時刻。
 その墓地にある墓の何割かが掘り返されていて、古びた棺桶が露出していた。
 しばらくすると棺桶の中から音がした。まるで誰かが中に入っているようだった。確かに中には人が入っているはずだが、それは死体だ。
 棺桶の蓋が開き、中から人間が現れた。
 それは確かに人間ではあるのだが、見た目は異様だ。服はボロボロであるし、肉は腐っている。ところどころ腐り落ちて身体が欠けていた。
 彼は自分が出てきた棺桶のとなりの棺桶を数回ノックした。
「はあい」
 のんびりした返事とともに、その棺桶も開き、中からはまたひとりゾンビが現れた。
「腹減ってねえか?」
 最初に現れたゾンビが訊ねた。
「ああ、減った」
 2番目の彼が答える。
「実は食い物があるんだ。分けてやるよ」
 そう言うと、棺桶の中から腐敗臭のするピザを取り出し、もうひとりのゾンビに分けた。
「ありがてえ」
 ふたりはモグモグとピザを食べ始めた。
「やっぱゾンビピザは最高だよなー」
「何より腐り具合が良いよね」
「それに乗っかってるカビがまたウマイ!」
「ああ、最高だな」
 のんびりとピザをほお張る。ブルーチーズではない腐ったチーズが滴り落ちた。
「これで映画でも観れれば言うことないんだけどなぁ」
「今の時代、電気なんて滅多に手に入らないからな。TVなら近くのゴミ捨て場にあったけど」
「どうせレンタル屋は無人で、タダで借り放題、観放題だっていうのに残念だなぁ」
「つまらない世の中になったもんだよ」
 ピザを食べ尽したふたりは、雲のせいか星の見えない空を見上げていた。
「暇だなぁ」
「ピザでも注文する?」
「さっき食べたばかりなのに?」
「それもそうだな」
 沈黙。
「あ、生きた人間だ」
「マジ? 喰っちゃおうぜ」
「やっぱ生だよな。頭にかぶりついて、脳みそからいこうぜ」
「うまそうだな」
 ふたりはゆっくりと立ち上がり、目の前の生きた人間を追った。


<作者のことば>
以前からゾンビをテーマに、ゆる~い話を書きたかったんですよね。
それが、まぁ こんな感じになりました。

個人的には好きなんだけど、面白いかどうかは微妙ですね(笑)

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COMMENT

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めたふぁー | URL | 2008/11/07(金) 17:44 [EDIT]
こえええええ
と思いつつ、ゾンビらしからぬゆるさにニヤニヤしました
夜道を歩いてると腐敗臭がしてくる気がしてきました

匡介 | URL | 2008/11/07(金) 18:10 [EDIT]
>めたふぁーさん
不覚にも「ウフフ」と笑ってしまいました、こちらもニヤニヤ(笑)
ありがとう! そんな楽しみ方をして欲しかったです。

自分も、ゆる~いスタンスのゾンビモノって想像しただけで、フフフって感じでした(笑)

ちなみに、夜道で腐敗臭がしたら全力で逃げてください。もし腐りかけのピザを持っていた場合にはそれを投げつけてやりましょう。彼らは目先のモノをつい優先してしまうので、時間稼ぎになるはずです。
ただし腐敗臭が持っていたピザからだった場合は本末転倒で、逃げ損なのでお気をつけて(笑)

ueno | URL | 2008/11/20(木) 06:46 [EDIT]
 完全な化け物主観のホラーというのが、新鮮ですね。
自分も小説をものすので、刺激になりました。

匡介 | URL | 2008/11/22(土) 15:25 [EDIT]
>uenoさん
まぁ ホラーを意識したわけでもないんですが(笑)
ただゾンビモノが好きで、ゾンビ視点で書いてみたかったんです。

しかし、刺激になったのなら嬉しいですね。お役に立ててよかった。

またのお越しをお待ちしています。

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