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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/06/07(土)   CATEGORY: 爆音デイズ
爆音デイズ(9)
 龍次が向かった先は「あおぞら」という喫茶店だった。
 そこはかの有名な不良、松田良樹たちのたまり場でもある。龍次は喫茶店の前にディオを停め、喫茶店の中へと入った。
 客は少なかった。2人の中年男性と2人のガキだけ。計4名の客。龍次は迷わず2人のガキたちへと向かっていった。ひとりは青白い肌に頬(ほお)こけた顔。目は爬虫類系。なんだか蛇みたいなやつである。こいつを見て、こいつも「蛇」かと龍次は思う。
 もうひとりのガキはスキンヘッドに焼けた黒い肌。口にはピアス。鼻にもピアス。もちろん耳にもピアス。右耳が1個、左耳に2個。
「ん? なんか用か」
 黒いスキンヘッドの方が言った。
「松田はどこだ?」
「ヨシキか。どこだろーなぁ。この地球のどっかにゃいると思うけど」
「ふざけてるのか?」
 今度は白い爬虫類男が言った。
「ヨシキに何の用だ?」
「お前には関係ない」
 爬虫類男は、ふーん、と言って黙る。
「じゃあ、澤田はどこにいるか知ってるか?」
「カイトかぁ。海人だったらミツイに会いに行ってるんじゃねェ?」
「ミツイ?」
 そのとき「あおぞら」のドアが開いた。
「お前の探してるやつが来たぜェ」
 入ってきたのはガタイのいい男だった。短い髪に顎(あご)にはヒゲ。
「ヨシキィ~、お前にお客さんだよ~」
 スキンヘッドがそう言うと良樹は龍次に目をやった。
「誰だったかな」
「初めまして。俺の名前は村上龍次だ、ヨ・ロ・シ・クッ!!」
 龍次はそう言うのと同時に良樹の顎めがけて強烈なパンチを繰り出した。先制攻撃。
 それを反射的に避け、良樹は反撃として体当たりをした。龍次が吹き飛ぶ。龍次の先制攻撃は失敗した。散らばるイスに、逃げ惑う中年の客たち。
「オメェ、何が目的だ」
「それはこっちのせりふだよ」
 龍次は起き上がるとすぐさまファイティングポーズをとった。ボクシングの構えだ。
「ははッ。いるんだよな。ケンカのとき、そういう構えをすればいいと思ってるやつ」
 良樹の言葉など龍次は気にも留めない。
 鋭い眼光が良樹を刺す。
「ヨシキ、やっちまえよー」
 スキンヘッドがそう言った次の瞬間、龍次の鋭いワン・ツー。
 最初の左は反応よく良樹にガードされたが、ツーの右は良樹の顎に命中した。そして続けざまに右のストレート。再び顎。良樹はよろけた。そこにすかさずボディブロー。良樹の口から呻き声が聴こえた。龍次は腰を落として良樹のふところに深く潜った。そしてトドメのアッパー。良樹はダウンした。
「ヨシキッ!」
スキンヘッドが立ち上がる。龍次はそれに合わせて左フック。そして右ストレート。スキンヘッドは後方にぶっ飛んだ。
「お前はかかってこないよな?」
 爬虫類男はゆっくりと頷いた。彼はただ頷くしかできなかった。
「さて、澤田のところへ案内してもらおうか」

***

 龍次が「あおぞら」に乗り込んでいたころ、僕とケンはとあるライヴハウスへと向かっていた。どうしてかって? それは松田良樹の居どころをつきとめるためだ。
 ライヴハウスの重厚なドアを開けて中へと入る。相変わらずのせまさに暗さに熱気。快適とはほど遠い環境だと思う。
 今ちょうど演奏を終わってステージから去ろうとしているのはブラッドオレンジスというロックバンドだ。僕らはライヴ直後で疲れているだろう彼らにかまわず声をかけた。それにブラッドオレンジスのギターの孝幸さんは快(こころよ)く応じてくれた。
「松田良樹って知ってますよね?」
「ああ、同じ中学だったよ」
「今も関係が?」
「いや、元々あいつとは特に仲良くなかったしなぁ」
 孝幸さんは煙草(たばこ)に火を点けた。銘柄はマルボロ。
「松田とは直接関係ないけど、松田とつるんでるやつとなら仲が良いバンドがいるよ」
 ブラッドオレンジスのドラマー、シュウが話に割り込んできた。
「松田とつるんでるやつ?」
「うん。たしか澤田とかいうやつ」
 ケンが割り込んでくる。
「澤田!? それってもしかしてカイトっていうやつ?」
「ああ、たしかそんな名前だったかな」
 これは大きな収穫だ。本命・澤田へと着実と近づいている。
 僕とケンは澤田と親しいと思われるバンドの名前を訊いた。
 バンドの名はセブンスター。それが次なる目標の名前だ。


(...to be continued)


<作者のことば>
松田良樹の取り巻きに名前はない。

(笑)

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