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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/06/06(金)   CATEGORY: 爆音デイズ
爆音デイズ(8)
 僕らがそこへと駆けつけたとき、龍次は地面にへばりつくように倒れていた。
 鼻と口からは血が流れていた。そして倒れた龍次の横には男が2人。ひとりは蛇のピアスをぶらさげていた。
 倒れた龍次を見ると健吾は俊敏な動きで男たちに駆け寄った。そして鋭いハイキック。それは見事にひとりの男の後頭部を捉えた。突然の出来事に“蛇の男”は驚きを隠せなかったようだ。蹴られた男は倒れ、健吾がそこにもう一度蹴りを入れる。今度は腹部に。男はうめいた。健吾が続けて蹴りを入れた。1回。2回。3回。意外と武闘派のクール・ガイ。
そして僕らが気付いたときには蛇の男はいなくなっていた。

***

 龍次はふらふらと起き上がって、地面に横たわっている男に言った。
「お前、名前は?」
 男は答えない。そこに龍次が一撃。馬鹿な男。
「もう一度訊く。名前は?」
「いと、う、まさ、ふ、み」
 弱り過ぎた男は答えるのも精一杯のようだった。
「なんで俺を狙ってんの?」
「おま、なん、て、しら、ない」
 再び一撃。
「俺の名前は村上龍次。お前、俺を狙ってたんだろ?」
「たの、まれた」
「誰に?」
「さわ、た」
 結局、新たに手に入れられた情報は「さわた」という男の名前だけだった。最終的に「いと、う、まさ、ふ、み」くんは龍次にボコボコにされた。
 あ、もうひとつ収穫。「いと、う、まさ、ふ、み」クンのケータイデンワ。

***

 あれから3日か経った。龍次のダメージもほぼ回復。再び蛇探しの前線へと復帰した。
 手に入れたケータイのメモリーに「さわた」という名前はひとつしかなかった。澤田海人。海に人とかいてカイト。澤田というやつが赤い眼の蛇なのだろうか。それとも蛇も使われていて、別に黒幕はにいるのか。どちらの可能性も考えられた。でも何となくだけど、僕は“蛇の男”がこの事件の黒幕ではない気がしていた。犯人は別にいる。何の確信もないのだけれど、僕はそう思っていた。

 僕はレイコに会うことにした。レイコのケータイのナンバーにかける。「もしもし? あ、僕だけど今日会えないかな」「唐突ね」「ごめん」「いいわ、3時に駅前のスターバックスで」
「わかった。じゃあ」そうして僕は駅前のスターバックスへと向かう。
 龍次はといえばケータイのメモリーを一通り眺めると何も言わずどこかへと出かけていってしまった。どこに行ったのかは僕にはわからない。

***

 僕が駅前にあるスターバックスに入るとレイコの姿が見えた。僕はカフェ・ラテを頼み、レイコの向かえの席に座る。キャラメル・マキアートが乗っているテーブル。そこに僕のカフェ・ラテが新たに置かれた。
「急にごめん」
「ほんと、急ね」
 レイコがキャラメル・マキアートを手にとって口元へ運んだ。キャラメル・マキアートがストローを通して 彼女ののどに流れた。
「実は犯人グループに遭遇したんだ」
 僕は“蛇の男”を見つけた日のことを一通り説明をした。
たまたま蛇ピアスの男を見つけて、それを追ったこと。龍次の戦闘。健吾の圧勝。澤田という人物。戦利品のケータイ。
「それでそのケータイは?」
 僕はPORTERのバッグから戦利品のケータイを取り出してレイコへと渡した。レイコはそのケータイのディスプレイを開き、操作する。そのまま数分が経った。
「これ、龍次くんも見たの?」
「え? ああ、うん」
 僕はカフェ・ラテを口元へと運んだ。のどの渇きが潤されていく。
「この中に知ってる名前があるわ」
「え?」
「マツダ」
「誰?」
「松田良樹。ここらへんじゃ有名よ」
 有名人? 松田良樹。聞いたことない名前だ。僕は健吾のケータイにメールをする。
それから10分ほどで返信はきた。松田良樹は地元じゃ有名な不良らしい。いつもグループで動いているというのだ。
「松田は周りまで悪の有名どころよ」
「わかった。ありがとう」
 僕は礼を言って席を立った。
「気をつけてね」
 レイコに心配されるなんて思いもしなかった。
 少しだけ、ほんと少しだけだけど氷の美少女の氷が溶けたような気がした。


(...to be continued)


<作者のことば>
余談ですが、爆音デイズ(4)~(5)は冒頭がほぼ同じです(笑)

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