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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/06/05(木)   CATEGORY: 爆音デイズ
爆音デイズ(7)
 僕らはパジェロの後部座席に座っていた。
 ドライバーは萌さん。推定29歳。健吾のお得意様。追うは蛇の尻尾。
 萌さんはアウトドア派のお姉さんのようだ。ハイスピードのパジェロを見事なハンドルさばきで操作していく。車がカーブするたびに車体は大きく揺れた。まるでジェットコースターのような豪快さ。そうして揺られているとあっという間に駅に着いてしまっていた。今、龍次はどこにいるのだろう?
「おい、あれ見ろよ」
 窓から外を見ると白のヴェスパが停まっていた。その近くには黒のディオも。
 僕らは車を降りた。萌さんに礼を言い、そして走った。このどこか近くに蛇はいるはずなのだ。僕たちは二手に別れて蛇を探すことにした。僕は走った。

***

「おい。どこへ行くんだ?」
 男は呼び止められて振り返る。左耳には赤い眼の蛇が揺れていた。
「俺に何のようだ」
「それはこっちのせりふだ。俺のことを狙ってんだろ?」
 蛇をぶら下げた男はぴくりとした。少し間ができる。
「お前、村上龍次か?」
「だったらどうだっていうんだ」
「そうか」
 男はジーンズのポケットから黒いケータイを取り出した。そしていくつかのボタンを押した。
「もしもし?」
「おい、話の途中に電話とはいい度胸じゃねえか」
 男は龍次に構わず電話の相手と会話を続けた。会話は1分弱ほど続いた。
「それで、俺に何のようだ?」
「お前がシンをやったんだろ。用はそれだけだよ」
「…なるほど。そういうことか」
 龍次は構えた。拳を握り両手を目の高さに置く。左腕を前にして体は半身に構えた。
 男は何も構えない、まるで無防備のまま龍次に近づいていった。
「残念だけど、お前は俺に勝てない」
 “蛇の男”がそう言いきると同時に龍次は背後から強く後頭部を殴られた。思わず地面に手をつく。今度は前からの一撃。蹴りが顔面に入った。龍次は背中から倒れた。夏のアスファルトはじわりと熱い。龍次は立ち上がりざまに前にいる男に突撃する。渾身(こんしん)のタックル。男が吹っ飛んだ。
 しかし龍次は背後から不意に一撃を食らった。彼は再び焼けたアスファルトへと倒れ込んだ。
 路地裏には蝉時雨が鳴り響いていた。


(...to be continued)


<作者のことば>
余談ですが、書いた当初はパジェロではなくパジェロ・ミニでした。

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