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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/08/28(木)   CATEGORY: 短篇小説
5分間の…。
 雨が降っていた。僕は駅のホームで電車を待つ。
 しばらくすると電車が来た。目の前のドアが開き、電車に乗り込んだ。車内は空いていて、こんなときにここは田舎だなぁ、と僕は再認識する。適当な席には座り、カバンの中から読みかけの文庫本を取り出した。しおりを挿んでいたページを開く。
 気付くと、向かいの席にひとりの女性が座っていた。顔が小さくて、まるでガイジンさんみたいな印象を受けた。髪は綺麗な黒髪で、着ているTシャツもデニムパンツも黒だった。全身黒色だというのに、何の違和感もなく、それが逆に不思議な気持ちにさせた。もしかしたらあの大きなベルトが上下の黒を違和感なくさせているのだろうか。…なんてことを考える。
 僕は読書を再開させながらも、時折り彼女を覗き見ていた。綺麗な人だった。けれど彼女をことが気になる理由はそんなことではなく、醸し出されているミステリアスなオーラのせいだ。彼女の周りは空気が違って見えた。
 文庫本に目を落としながらも僕は夢想する。彼女の声はどんなだろう。 趣味は何だろうか。どんな食べ物が好きなのか。好きな映画は何か。普段音楽は聴くのか。兄弟はいるのだろうか。 けれど不思議なことに、恋人がいるかどうかは気にならなかった。彼女ほどの容姿を持っていれば彼氏くらいいるだろう。そう思いはするのだが、そんなものの存在を感じさせない何かがあった。高嶺の花。そんな言葉が浮かぶ。誰の手にも届かない。つい周りにそう頷かせてしまう雰囲気。それに僕は惹きつけられているのかもしれない。
 もはや読書などちっとも進んでいなかった。脈拍がいつもより早い。同じ空間を共有しているそれだけで、これだけドキドキさせられる。窓を見ると景色は早送りで進んでいた。
 僕は何も求めようとは思わなかった。ただ彼女を包む空気をより長く味わっていたいと思った。
 電車の揺れとともに彼女の黒髪も揺れた。ドクン。心臓が大きく脈打った。
 
 次第に電車が速度を落とす。まもなくしてホームで停車した。
 僕は電車を降りる。彼女に後ろ髪を引かれながら。
 最後に僕は振り返る。彼女と目が合った。
 
 彼女が微笑んでいるように見えた。

 僕は改札を抜け、傘を差して駅を出た。


<作者のことば>
暇な時間に書いてみたのだけれど、思ったようには書けなかった。
もっと透明感のある文章をイメージしていたんだけど、なかなかクリアな文章は難しい。

それこそ5分くらいのアニメーションにしてみたいなぁ。

とか思ってみる。
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COMMENT

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ミーコ | URL | 2008/08/28(木) 14:55 [EDIT]
こうゆうショートストーリー好きです。なんかキュンとするような、切ないような、温かいような…そんな感じが伝わりました。
ただ「外人」とゆう表記はあまり好みません。「日本人離れした」とか「異国の人」とか、もっと雰囲気が欲しかったかなー。かなー。かなー。

匡介 | URL | 2008/08/28(木) 16:44 [EDIT]
>ミーコ
「外人」ではなく「ガイジン」だということをまず理解して頂かないと! そこはあえてカタカナにしているのだから!…さらにいうと「ガイジンさん」なのだけれども(笑)
個人的な言葉の雰囲気としては「お人形さん」的な感じです。「外人」や「外国人」は嫌で、でも日常的な雰囲気を出したかったので「ガイジンさん」にしたというコダワリがあるので「外人」ではなく「ガイジン」だというのは譲れません。

正直「日本人離れした」はそのとき思いつかなかったのだけれど、日常で「異国の人」なんて表現をする人はなかなかいないかと(笑) 三人称ならともかく、一人称だという前提があると「異国の人」という表現は選び難いです。
もちろんキャラクターによっては可なのだけれど、今回俺のイメージは「普通の人」って感じでした。

lolina | URL | 2008/08/28(木) 18:25 [EDIT]
美しい短篇,イメージも美しい。
絵のようです。このように感じます。^^
少しかきたいです。haha~
● 管理人のみ閲覧できます
| | 2008/08/28(木) 20:14 [EDIT]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

匡介 | URL | 2008/08/29(金) 17:36 [EDIT]
>lolinaさん
ありがとうございます。
実は「映像美」を意識しています。…小説なのに(笑)
出来るだけ綺麗な映像が伝わるように書いてみました。

匡介 | URL | 2008/08/29(金) 17:47 [EDIT]
>シークレットさん
ありがとうございます。
どうしてちょっとした時間に適当に書いたやつの方が評判がいいのかなぁ(笑)

まぁ 表現の話をすると、これが俺の力量だという以外ありません。
正直、他は思いつきませんでした。これを書いた中で唯一どうするか悩んだところでもあるのでご指摘がごもっともだと思います(しかしながらそのときの自分ではこれがベストだったことも理解して頂きたいです)。
あと完璧に感じるのはきっと短いからですよ、 長く書けば書くほど粗が出ますから(笑)

今後の作品に活かせるよう努力しますので、気になるところはどんどん言って欲しいです。

またのお越しをお待ちしていますね。

Yuka | URL | 2008/09/04(木) 04:15 [EDIT]
きゅ! また遊びに来てしまいました。 気のせいか雨が含まれる作品が多いのでしょうか?
私は初め、小説ではなく「絵本が描けたらいいな~」と思っていたのですが、絵心が無さ過ぎて小説というかショートストーリーに直してみようなんて思いつきで始めました。
絵本にするには極限まで”ことば”を削らないといけない。
でも”何かが”伝わらないといけない。
私はそう思っていたので・・・
もしかしたら描写の詞を極限まで減らしてみたら透明感が出るのかな? なんて思ってしまいました。
変なこと言ってすみません>w<;;

匡介 | URL | 2008/09/04(木) 17:09 [EDIT]
>Yukaさん
きゅ!?(笑)
えっと、雨ですか。うーん、少なくはないのかな? 個人的に雨の描写は好きです。
まァ 文章を削るってやり方もひとつですよね。ただ絵本と違って文章だけなのに、それを削って何かを伝えるのはハードルの高い作業ですが(笑)

自分がイメージする透明感ある文章っていうのは、主観を客観的に捉えつつ、それでも主観的な文章…かなぁ? うまく説明できないのですが、そんな感じがします。
個人的には大崎善生さんの小説は透明感があるように感じるので、大崎さんの文章をイメージしていたかもしれません。

アドバイスありがとうございました。
またのお越しをお待ちしていますね。

Yuka | URL | 2008/09/04(木) 19:48 [EDIT]
連投ですみませんこんばんわ^^ノ
『きゅ!』とか『にゃぁ』とかつい口癖でリアルでも使ってしまうダメな子です^^;
小説家を志す人達とは、読書量・範囲が全然違っていて”大崎善生”だれだろ~? 
検索したらインタビュー記事がありました。
読んでみると写真が載ってて――
好きな小説作家は、なんと1つもまともに読んだことの無い物ばかりなのに・・・
萩尾望都、竹宮恵子・・・ 好きな少女漫画家の趣味が一緒!?

ガ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ン!!

あ、いえいえ・・・ 作家は顔じゃないよね! 文章だよね!

匡介 | URL | 2008/09/05(金) 03:01 [EDIT]
>Yukaさん
まず訂正しないといけません。…俺は小説家を志しているわけではないですよ!
実際のところ読書量も大したことはありません。暇な時間にちょっと読むくらいのようなものです。

大崎さんの顔ってどんなんだったかな? 見たことはあると思うんだけどなぁ。
それより好きな少女漫画家がいることの方が衝撃的ですよ!(笑)
しかし大崎さんは確実にフェイバリットに挙がる作家ですね。新刊が出るのを楽しみにしている作家のひとりです♪

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