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みやび萬紅堂。
かつて小説に似たものが書かれていた所、その残骸。
DATE: 2008/06/04(水)   CATEGORY: 爆音デイズ
爆音デイズ(6)
 シンさんが襲われてから2週間が経った。僕は学校が終わると街へ出て蛇を探した。
 街で蛇探しをしていると僕の前に車が停まる。赤いフォルクスワーゲンのビートルだ。助手席のウィンドウがゆっくりと開く、中からこちらを覗くのは見慣れた顔だった。ミステリアス・クールの美少年。
「こんなところで何してるんだ?」健吾が訊ねてきた。
「蛇探し」
「ああ、例の」
「うん、例の」
 健吾は運転席の女性と何か話し始めた。歳は25、6あたりに見える綺麗なお姉さん。
「俺も付き合ってやるよ」
 そう言うと健吾は赤のビートルのドアを開け、車から降りた。
「それじゃあまた、かなえさん」
 運転席の女性はにっこりと笑って手を振っていた。そして赤のビートルは再び走り出した。
「今の人は?」
「企業秘密。大切な顧客の情報はそう簡単には洩らさないよ」
 もはや完全に商売人。まるでこっちが本業で学生が副業みたい。
 その日、僕と健吾は夜遅くまで街を徘徊した。赤い眼の蛇を見つけるために。

***

 次の日曜日に僕と健吾はシンさんのお見舞いに行った。エレベーターで4階まで上って、4階の角にある病室のドアをノックする。そして僕はゆっくりとドアを開いた。
「また来てくれたんだね」
 シンさんは相変わらずのにこにことした表情で迎えてくれた。こんなときでもシンさんの笑顔は絶えてはいない。
「こんにちは。斉藤健吾といいます」
 シンさんと健吾がちゃんと会ったのは、これが初めてだったようだ。
「もしかしてこの前のだめになっちゃったライヴに来てくれてた?」
 健吾は頷く。
「ごめんね。俺のせいでライヴできなくなっちゃってさ」
 そのあと1時間くらいだろうか、3人で話をした。犯人が赤い眼の蛇のピアスをしたやつだってことも。毎日のようにその蛇を探してるってことも。たまに健吾もそれを手伝ってくれてるってことも。シンさんは無理しなくていいよ、と言った。でもそういうわけにもいかない。仲間がやられて黙っていられるほど僕らは人間ができちゃいない。
「コンビニ寄っていいか?」
 お見舞いからの帰り道。健吾が病院から徒歩5分の場所にあるコンビニを指差して言った。僕はいいよと言い、2人でコンビニの中へと入る。
「義之、あれ」
 コンビニに入って数分。健吾が示す先に目をやった。そこにいたのは蛇。それも赤い眼に蛇だった。
 僕はケータイを取り出してメールを打った。それを龍次に送信する。返信がきたのは2分後。ケータイのディスプレイには『了解』の2文字。
 蛇はコカ・コーラと数種のパンを買ってコンビニを出た。そしてコンビニの前に停まっていた白のヴェスパにエンジンをかける。やばい。このままでは逃してしまう。僕は急いでコンビニを出たけれど、蛇のやつはもう発進してしまっていた。そして駅の方へと直進。僕は大急ぎでメールを打つ。白のヴェスパ。駅方面。送信。

***

 義之たちがいるコンビニまであと1キロほどの距離だった。龍次は愛車ディオのスピードを上げる。ケータイが鳴った。メールの着信音。目の前の信号が赤になり龍次はブレーキをかけて停まった。ケータイを開く。義之からのメールだった。蛇は白のヴェスパに乗って駅方面へと向かったらしい。龍次はすぐさまメールを転送した。送信先は自分の知り合い全員だ。誰かが駅付近にいることを願った。信号が青に変わる。龍次はアクセル全開で疾走した。
 赤い炎が街を駆け抜ける。


(...to be continued)


<作者のことば>

ついに姿を現した“蛇の男”!!
龍次と義之はそれぞれに“蛇”を追う! 果たしてその運命は――!?


ちなみに、回によって文章の長さが全然違ったりするのは気にしてはいけません(笑)

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