みやび萬紅堂。
いらっしゃいませ。コメントはお気軽に。
DATE: 2017/02/27(月)   CATEGORY: 雑記
最近面白かったもの。
映画はちょこちょこ観に行っているんですが、最近だと「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」がすごく面白かったです。
地元では危うく上映終わりそうだったけど、滑り込みで観に行ってよかった…。正直いえばティム・バートン作品はそこまで好きではないんですが(と言いつつ「バットマン リターンズ」は何度も観ている)、今作はかなり好みの内容で、こういう小説が書きたかった…くやしい…とまで思ったんですけど、これ原作小説があるんですね。絶対に読もう。
内容はややジュブナイルっぽいというか、どうも本国ではヤングアダルト小説の扱いのようですが(ジュブナイルとYAだとYAの方が若干年齢層高いイメージですが、合ってるのかな?)、俺はこういうジュブナイルっぽいダークファンタジーを書きたいという思いを秘かにずっと抱いていたりするんですよね。少年時代のワクワク感やドキドキ感を味わえるようなものが好きというか。「光車よ、まわれ!」を読んで以来、こういう読み心地のものをいつか書きたいなーと思っていて、「ミス・ペレグリン~」はそれに近いものを個人的に感じたので、ウワー!です。グワー!です。やられた!
なので、いつかジュブナイルっぽいダークファンタジーを書きたいです。

で、最近は小説よりも~普通に~ マ ン ガ がっ 好っきーー!(もはや古い)といった具合でマンガを買い過ぎているのですが(定期的にマンガばっかり読みたくなる。小説ばっかり読みたくなるときもある)、最近読んだ中でも面白かったものをいくつか紹介しておこうかと思います。

桃栗みかん「群青にサイレン」
これはギャー!グワー!死ぬー!と思いながら毎回読んでおります。心の奥深くまで抉られる。野球…マンガ…なのかな…? いいえ、野球を題材にした青春マンガです。しかも爽やかなやつではなく、青春時代特有のドロドロと渦巻く感情が胸をえぐる! 死ぬ! 普遍性のある内容。これは…傑作になり得るのでは?と思っているのですが、作者のツイッターによれば思うほど売れていないという。なんてことだ! 売れて!

ゆうきまさみ「白暮のクロニクル」
今のところ4巻まで読みました。あとがきを読む限りベースは吸血鬼+探偵なんですが、『オキナガ』と呼ばれる不老不死の人間がいる社会で、厚労省(オキナガ関連は厚労省が担当している)のアドバイザー的立場にあるオキナガ・雪村魁が、オキナガ案件の事件を解決していく…といった感じの内容。適度にゆるいので読みやすく、不老不死ゆえの大河的なストーリー展開が好みです。同時連載している、お兄ちゃんが妹の名前でマンガを賞に送ったら受賞しちゃった!という話の「でぃす×こみ」も読み始めました。

板垣巴留「BEASTARS」
擬人化された動物たちの社会(というか学校)を舞台にしたマンガ。レビューにはディズニーアニメ「ズートピア」が引き合いに出されがちのようですが、「ズートピア」よりシビアに草食動物と肉食動物の共生を描いています。主人公の狼・レゴシはおとなしくていいやつだけど、肉食獣の本能とのせめぎ合いが非常にスリリングで、ゆえに理性と本能との葛藤がよく描かれている気がします。絵は粗削りだけど、独特の味わいがあって良いです(個人的にはオールカラーの方が向いている気もしないでもない)。あの漫画家の娘らしいですが、絵のタッチは全然違いますね。今後が楽しみ。

山本亜季「ヒューマニタス」
3つの物語からなるオムニバス的な1冊なんですが、人間賛歌というテーマ性が一貫していて、それぞれ物語には直接の関係性はないものの、全体でひとつの壮大な物語を読んだような気持ちになりました。ハッピーエンドで終わるわけではないんですが、読了感は悪くありません。激アツ過ぎて、この漫画家は今後も追っていきたいと思う所存。

山下和美「ランド」
これもまだ2巻までしか読んでないんですが、面白すぎて困る。1巻を読み終えたときにはハマっていた。今のところファンタジーなのかなって思ってるんですが、もしかしたらSFなのかもしれない。圧倒的ストーリーテラー。1冊が高いのが痛いけれど、これも近いうちに最新刊まで揃えます。あらすじ説明が難しいのですが、謎に包まれた世界を明かしていく系の話が好みなのでドはまりしてます。

加納梨衣「スローモーションをもう一度」
表紙からすでに懐かしさに溢れているんですが、それもそのはず80年代が大好きな2人の高校生男女のお話なのです。アイドルや玩具や雑誌や…とにかく80年代のものが好きな2人の高校生ですが、その趣味を同級生たちにわかってもらえるはずもなく、隠れキリシタンのごとく秘かに趣味を楽しんでいたところ、偶然にも同じ趣味を持った同級生を知ってしまう、そんなボーイ・ミーツ・ガール物。思わず、懐かしさと甘酸っぱさのミルフィーユや~!と叫んでしまいそうになる内容で、やたら面白い。「恋は雨上がりのように」とか好きな人は結構好きなんじゃないでしょうか。俺はどっちも好きです。キュン死にする!

…と最近読み始めたものに限定してちょっと紹介してみましたが、今読んでるものだと高橋ツトム「BLACK‐BOX」「残響」(完結の3巻買ったけどもったいなくて読めていない!)や「銃座のウルナ」、「双亡亭壊すべし」なども面白すぎるのでオススメしたいです。少女マンガだと「ふつうの恋子ちゃん」「アナグラアメリ」「椿町ロンリープラネット」とか面白いなーって思ってます。「坂道のアポロン」もイッキ読みしたけど、面白すぎた。これからも何度も読める面白さだ。

少し前になりますが、映画では「沈黙 サイレンス」壮絶ながらもよかったですね。長いわりに時間を感じさせなかった。「コンサルタント」もディテールが半端じゃなくて面白かったです。あのディテールの積み重ねが観ごたえに繋がっている。

世の中には面白いものがいっぱいあるなー!と思う一方、これらをうまくアウトプットにつなげたい…とも思うので頑張らなきゃですね! ぐぬう!

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DATE: 2017/02/06(月)   CATEGORY: MUKURO・黙示録篇
MUKURO・黙示録篇‐21 (魔の狂宴Ⅴ)
 黒い津波のように迫る鼠の群れに無数の銃弾を浴びせたが、焼け石に水だった。すべて呑み込まれていくだけだ。尾見重利は弾切れになった89式小銃を投げ捨て、木製バットで鼠を叩き潰すことにした。やはり意味のある行為とは呼べなかったが、何もしないよりはましだった。体に這いあがってくる鼠を払い落とし、叩き潰す。バットには鼠の血と肉片がこびりついた。
「シゲ、そこどけ!」
 居坂が尾見に呼びかける。見てみれば居坂と益岡が両手にポリタンクを持って走ってきていた。2人は尾見から20メートルほど離れた場所で立ち止まり、ポリタンクの中身を廊下にぶちまけ始めた。尾見は、臭いでそれがガソリンだとわかった。
 尾見がバット片手に走った。何匹もの鼠を踏み潰す感触が足の裏にあった。けれど構わず走る。居坂と益岡もひとつずつポリタンクを持って、ガソリンを撒きながら走り始めた。尾見も残ったポリタンクのうちのひとつを掴み、2人を追う。ガソリンまみれの廊下を一歩進むたびにアディダスがガソリンを吸ったが、気にしている余裕はない。
「急げ! もっと早く!」
 居坂に急かされ、尾見は速度を上げた。鼠の群れはあっという間に尾見を追い抜いて、居坂たちのところにまで迫っている。ふくらはぎに痛みがあった。鼠に噛みつかれているのだろうことは想像がついたが、立ち止まれない。走りにくいため、バットは捨てていた。重かったポリタンクも後方の鼠たちに向かって投げ捨てた。残念ながら鼠の勢いには影響していない。
 前方では益岡がライターに火をつけているのが見えた。やばい、急がねば。2人に追いつくまであと10メートルほど。2人が捨てたポリタンクを飛び越える。あと8メートル。ライターの火が益岡のくわえる煙草に移った。赤い点が薄暗闇に浮かんでいる。あと6メートル。煙草が宙に投げられた。あと5メートル。目の前の床が燃え上がり、炎が一気に押し寄せてきた。こうなってしまえば神に祈るしかない。尾見は全速力で炎の壁にタックルして突っ込んだ。アディダスのスニーカーが熱い。きっと燃えている。頬も焼けている。それでも尾見は足を止めずに走り続けた。数秒後には炎燃え盛る廊下を抜けて、視界が開けた。居坂と益岡の姿が見える。
 助かった……

 尾見は力尽きて床に倒れた。全身が熱かった。居坂と益岡は大急ぎで火消しにかかった。2人は服を脱いで、燃える尾見を必死にはたいた。火は消し止められたが、素人目に見ても、尾見は重度の火傷を負っている。このままでは助かるのか、居坂にはわからなかった。
 炎の海から燃えながら走り続ける鼠が何匹か現れ、居坂は益岡と一緒になって踏み潰した。もがき苦しむような鼠の鳴き声がキイキイと聞こえてくる。いい気味だ、と居坂は思った。
「ぐあッ」
 益岡がうずくまるのを見て、居坂が駆け寄ると、益岡の喉に鼠が一匹喰らいついていた。居坂は鼠を蹴り飛ばし、追いかけて踏み潰したあと、益岡の様子を確かめた。すごい勢いで喉から血が溢れている。頸動脈を噛みちぎられたか……。居坂は絶望的な気持ちになった。医学の知識はないが、頸動脈を切断されては助からないだろう。手当てするにも、きっと間に合わない。益岡のことは諦めるしかなかった。居坂はゆっくりと益岡を床に横たわらせた。
 尾見はどうだ?――そう思ったとき、燃え盛る炎とは反対側の廊下から“何か”の気配を感じ、薄暗闇に目を凝らした。

 全身がひどく痛む。それに呼吸をするのがつらかった。おれは助かるだろうか……。尾見はゆっくりと目を開け、精一杯の力を込めて起き上がった。ぼやける視界に横たわる物体が映り、それが益岡だということに気付くのに、数秒かかった。喉から血を流している。生きているとは思えなかった。
 ――居坂は?
 悲鳴をあげる肉体を少しずつ動かして、尾見はあたりを見回した。数メートルも離れていないところで炎が暴れている。その熱に眼球の水分が奪われ、顔をそむけた。
 炎から離れないと……。
 尾見は這うように進んだ。カタツムリの歩みだった。火傷の痛みで意識が飛びそうになる。居坂……、どこだ……。一歩踏み出すだけで叫び出しそうなほど痛い。しかし叫ぶほどの体力もなかった。声帯が焼けつき、声も出せなくなっているんじゃないかという思いがよぎる。試しに発声してみようとしたが、死にそうな呼吸音がゼエゼエと聞こえるだけだった。
 そのとき、何者かの気配を感じ、尾見は顔をあげた。目の前に、居坂の姿があった。手足がちぎれ、上半身と下半身が分かれていた。
 それは熊ほどの大きさだった。そして闇夜のように黒い。
 それは犬だった。紛れもなく、犬だった。
 巨大な犬。熊ほどの巨体を持つ、黒き犬。
 犬は低く唸り、尾見を睨んでいた。
 尾見は力尽きて、その場に崩れた。もう諦めていた。自分はもう助からない。涙は出なかった。そんな力など残っていなかったからだ。
 巨犬が、尾見に飛びかかった。

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