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DATE: 2016/07/21(木)   CATEGORY: MUKURO・黙示録篇
MUKURO・黙示録篇-20 (魔の狂宴Ⅳ)
 誰かの叫び声を聞いたような気がした。
 目を覚ました村尾は耳を澄ませて、様子を窺った。さっき銃声がしなかっただろうか。室外(そと)の異変に気付いて、村尾は廊下に出た。暗がりの続く廊下を進んだ。誰もいない。夥しい数の鼠が階段を下っていくのを見た。村尾は鼠の群れに気付かれないように息をひそめる。小さき軍勢に襲われれば、自分の命などあっという間に喰い尽されてしまうと思った。
 数分も経つと鼠はすべて通り過ぎていき、一匹も見かけなくなっていた。たった数分のことだが、村尾には生きた心地がまったくしない、永遠とも思える時間だった。身動き一つとっていなかったというのに、全身が汗だくになっていた。しかも、通り去っていってもまだ鼠の幻影に怯えている自分がいることが情けない。
 背後に気配を感じた。村尾の右肩のほうからぬっと顔が現れ、村尾の顔とならぶ。黒毛の山羊の顔だった。悲鳴をあげて、床に転ぶ。村尾はそのまま這うようにして山羊頭から逃げようとした。山羊頭は、人間のように二足で立っており、その両腕の先も人間同様の五本指であった。身の丈は村尾の一回り以上も大きい。薄闇の中から、蛇が頭を現した。どうやら山羊頭の尾とつながっているようだった。――蛇の尾をもつ山羊頭の化け物。
 その姿はまるで悪魔バフォメット。
 バフォメットが村尾の頭をひょいと掴む。激痛だった。凄まじい握力で締め付けられ、村尾が苦しみ唸る。そのまま村尾の体が持ち上がった。バフォメットは力をゆるめる気配はない。
 血が流れてきた。どこからの血かわからない。目かもしれない、鼻かもしれない。とにかく顔に触れた自分の手が赤く染まっている。村尾は、思わず悲鳴をあげていた。
 痛みに苦しむなかで村尾は、バフォメットの尾の蛇が一匹ではなく、三匹いることに気付いた。三匹の蛇、九つの眼が、村尾の苦しむ様を眺める。
 ミシ、という音が耳に響いた。――と思った次の瞬間には村尾の頭は破裂していた。飛び散った脳漿と血が、村尾の無念とともに壁に張りついてその場に残った。

 ***

 高松、犬居、笹崎の三人は自分たちの部屋で女を嬲りものにしていた。
 <キャッスル>の前で拾った女だった。怖いめに遭ったのだろう、女のチュニックには血がついていたが、女に怪我の様子はない。誰か他人の血だとすれば、その者はすでに死んでいるということだった。そうでなければ、女がひとりで彷徨っているはずがないと三人は思った。
「もう大丈夫だよ」とそう言うだけでよかった。女は助けを求めていたし、怯えずに眠れる場所(ところ)を探していた。簡単に<キャッスル>の自分たちの部屋に連れ込むことができた。部屋まで来て、やっと女が、様子がおかしいことに気付いたときにはもう遅い。三人の男たちはけだものに変貌していた。女を押し倒し、手足の自由を奪った。静かに威圧し、抵抗したらただでは済まないことを伝えた。女はすぐにその身を男たちに委ねた。ただ一筋涙を流しただけだった。
 地味な女だった。眼鏡をかけており、雰囲気は文学少女といった風だ。それでも顔は整っている。まだ十代と思われる肌は瑞々しく、男の食欲を増進させた。
 高松が一番手だった。女の衣服を剥ぎ、屹立した自分のモノを女の秘所に挿し入れた。女の膣(なか)はキツく、処女ではないかと高松は思った。俺が最初の男か……。悪い気はしなかった。
 10分もすると高松が果てた。最初はキツいくらいだったのが、どんどんと良くなっていた。高松が完全に快楽の虜となったころには、限界だった。もっと抱いていたい。そう願いながらも、高松は射精した。終わりのころには、今まで抱いたどんな女よりも名器の持ち主だと感じていた。
「いきなりナカに出すなよ」
 不満そうに犬居が言った。「わりい」と高松が答える。「俺に代われ」
 高松を押しのけて犬居は女の前に立った。犬居のモノは、すでに固くそそり立っていて、準備はできている。「いくぞ」犬居が挿入しようとした。
「痛ッ――」
 犬居は叫び、痛みのもとを見た。自分の右ふくらはぎに鼠が一匹噛みついていた。
「なんで鼠なんかが入ってきてんだよ」
 声を荒げながら、犬居が鼠を鷲掴みしてふくらはぎから剥ぎ取った。「この野郎」。鼠は壁に叩きつけられたあと、小さく鳴いてどこかへ逃げていった。
 ひゅんっ――
 高松の頬の横を素早く何かが通り過ぎた気がした。手で頬を撫でるとぬるりとしたものがあった。血が出ている。驚いた高松は「おい」と犬居に声をかける。返事はない。
「おいって」
 目の前にいる犬居の姿がいつもと違っていた。どこかおかしい。その“違い”に高松は気が付いて息を呑んだ。犬居の、首から上が無くなっていた。
「さ、笹崎、犬居が… 犬居の、首が……」
 震えを必死に抑えながら、高松は笹崎に声をかけた。しかし反応がない。振り返って見てみると笹崎も首から上がなく、その体はだらりと横たわっていた。
「ヒッ」
 咄嗟に跳び退いた高松は何かにつまずいてその場に倒れた。
 高松がつまずいたのは、床に転がる犬居と笹崎の頭だった。
 高松の絶叫が響いた。

 ***

 己が身から湧いて出た蝿の群れはすでにすべて飛び去った。部屋に残ったのは、茫然と立つタヅカだけだ。顔を覆っていた包帯がずるりと落ちた。その下から現れたのはのっぺらぼう。目も鼻も口も見当たらない。何もないつるりとした青白い肌だけがあった。
 ゆらりゆらりとタヅカが歩み出し、ドアを抜けて廊下に出た。あたりを窺うように首を奇妙に左右に傾けた。
 しゅっ――風を切るような音とともにタヅカの姿が消え去った。


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