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DATE: 2016/01/16(土)   CATEGORY: MUKURO・黙示録篇
MUKURO・黙示録篇-13 (宴のはじまりⅢ)
 包帯の男――タヅカというらしい――が横たわる部屋をあとにして、天嶺美琴は酒井真美を追った。なぜか廊下が(血が通っていない感じがする)と思った。そもそも廊下に血など通っているわけもないのだけれど、より無機質的な印象を受けた。(なんていうか、建物全体が死んでいるみたい)だと感じる。この感覚が何に由来するのかはわからないが、どこか気味が悪い。まるで死体の中を歩いているようだ。
 相楽が歩いていった方は向こうだったかな、と廊下の見覚えのあるところを眺めた。同時にこのあたりで倒れたのかと美琴は思った。
 相楽と一緒にいた女の子の顔は思い出せない。知り合いだろうか。そもそも顔を見たのかどうかも曖昧だった。でも相楽の姿はハッキリと思い出せた。同時に恐怖が込み上げ、恐怖を感じた自分に怒りが湧いた。
 ――あんなやつのどこが恐ろしいっていうの? バケモノがわんさか現れたこの世界で、まだあんなやつのことが怖い? バカじゃないの? しっかりしろ。あんなやつ、あの鼠のバケモノにやったのとおんなじようにしてやればいい。あの鼠は殺せなかったけど、あと一息だった。今のあたしには怖いものなんてないんだ。あの男も、殺そうと思えば殺せる。つぎ何かあったら、殺してやればいいだけじゃない。
 それは殺意でも憎悪でもなかった。それは決意だった。ゆるぎない、宣戦布告だ。自分への、世界への、宣戦布告。弱い自分は捨て去り、強い人間として歩んでいくという決心。美琴の心中に渦巻いたのは、その決意だった。
「どうしたの?」酒井真美が立ち止まったままの美琴に声をかけた。「そっちは、今は行かない方がいいよ」
 相楽が向かった方を指しているのだと気付いて、美琴はたずねる。「……行かない方がいい?」
「うん。そっちのことは、そのうち教えるよ」
 その言葉が何を暗示しているのか、美琴にはわからなかった。けれど何も訊かなかった。しばらくして酒井真美が使っているという部屋に着き、ここが自分の部屋にもなるのだなと美琴は思った。

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