みやび萬紅堂。
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DATE: 2014/05/16(金)   CATEGORY: 雑記
むくろ♯0
MUKURO・黙示録篇、そろそろ大きく動き始める予定なのですが、実はこの先の展開は、地獄篇を書いていたときから書きたいなーとイメージだけは持っていたあたりになるので、今から書くのが楽しみだったりします。

確認してみると地獄篇の第1話を書いたのは2010年1月。このときはまだタイトルに「MUKURO」の文字は入っておらず、単に「地獄篇」というタイトルで書いていて、この先 黙示録篇で書く予定があるシーンのイメージは、まだ持っていませんでした。
細かい記憶は残っていませんが、過去の記録を見てみる限り、タイトルを「地獄篇」から「MUKURO・地獄篇」に変更したのは第7話で、その時点ですでに現在の黙示録篇にあたる内容のおぼろげな構想があったのかはわかりませんが、実際に骸が登場した第13話のときには、もう書きたいシーンのイメージは出来上がっていたのだと思います。
そこからはひたすら黙示録篇のこの先のシーンに向かって書いてきた、というのが玖堂自身の実感覚としてあります。そのシーンの、いわば説得力、あるいは迫力のために、これまで積み重ねるように書いてきました。第1話から気付けば4年が経過し、ついに、やっと、書きたかったシーンを書くところまできた、という嬉しさが、今は原動力になってくれそうな気がします。
気付けば、MUKUROは過去に書いたなかで最も長いタイトルになってしまいましたが、当初はそんなつもりはなかったし、まさか4年もやるはめになるとは思ってもみませんでした。完全に想定外。長くても2年以内に終えれるという目算だったんじゃないかなと思います。

地獄篇、魔界篇、煉獄篇と経てきて、書きたいものが変わったり、書こうと思っていたものが話の流れ的にうまく織り込めなかったり、あるいは力不足で書きたいように書けないところがあったり、必ずしもイメージ通りに書いてはこれなかったです。他作品でも書こうと思っていたものと実際に書いたものが違うことになったことはもちろんあったけれど、ここまで多く、あるいは大きく変更を重ねて書いてきたのはMUKUROだけです。現在公開しているタイトルのなかで、分量としても最長になっていますが、やはり4年という期間の長さはそれだけ大きいものなんだなーとしみじみ実感します。それに4年の歳月に、幾度も心が折れました。

4年のあいだに、MUKUROで書けなかったものはたくさんありますが、その代わり書きたいものもあとになってだいぶ出てきました。その意味では良い変更もいくつかあったと思います。

そして煉獄篇を終えた段階で、黙示録篇で書こうと予定していたものは、黙示録篇でMUKUROを再開すると同時に、大幅にカットすることに決めました。そのため煉獄篇までに書いてきた伏線の一部は、そのまま無駄になってしまいますが、予定とは違ったかたちでも、どうにか話に織り込めないか考え中。けれど、あまりそのことに拘りすぎないようにしたいとも思っています。複雑になりすぎても、きっと読みにくいだろうという思いからです。(ただでさえMUKUROは登場人物多い!)

黙示録篇は、このあと再登場になるキャラクターも多くなってくるので、確認のためにMUKURO過去作の一部を読み返さなければならないと思っていて、そのために少しだけ更新が途絶える可能性があります。
もし次話更新に間を空けるとしたら、区切りのいい今しかないかなぁ、と思っての判断ですが、そこまで時間のかかる作業でもないはずなので、すぐに再開する予定です。今回は行き詰まってるわけではないので、ちゃんと再開されるはず…!

遂に、最終局に差しかかりつつあるMUKURO。ここまできたら、あとは走り抜くしかありません。
あと一息、頑張りたいと思います。自分に出来る限界まで面白くしていきたいという想いを込めて、残りは書いていく所存です。――といいつつ、実はまだ結末部分をどうするかは悩んでいるのですが。。



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DATE: 2014/05/03(土)   CATEGORY: MUKURO・黙示録篇
MUKURO・黙示録篇-6 (滅びゆく街Ⅴ)
 天嶺美琴は、コーヒーの香りによって目覚めた。ベッドから起きてみると、ダイニングで牧 健吾がコーヒーを啜りながらトーストを食べているのが見えた。テーブルには皿に載ったおにぎりが置いてある。おにぎりはラップで覆われていた。
「起きたのか」牧がマグカップを置いた。そして視線でテーブルに載っているおにぎりを指した。「食べるか?」
「うん」
 美琴はテーブルに着いて、皿のラップを剥がした。それを見て牧が「お茶は?」と聞いたので、「いる」とだけ答えた。牧が冷蔵庫から緑茶のペットボトルを取り出し、緑茶をコップに注いだ。美琴は黙ってそれを受け取った。
「コーヒーの方がよかったか?」
「べつに。お茶でいいよ」
「パンは賞味期限が切れてたんだ。俺はそれでも構わなかったからパンにしたんだが」
「だいじょうぶ」
 何が「だいじょうぶ」なのか自分でもわからなかったが、美琴はそう答えていた。牧の言い訳は、自分のことを気遣ってなのだと思った。美琴は、無理に気遣わなくても大丈夫だと言いたかった。――けれど、伝わっただろうか?
 この男(ひと)は何歳くらいなのだろう? 風貌からは20代とも30代ともとれる。大柄なせいもあって、より大人に見えるのかもしれないし、年相応なのかもしれなかった。あるはもっと若い? (――でも)と美琴は思う。なんだか若い女の子に慣れてないといった雰囲気からは、それなりの年齢という気もする。そもそも女性そのものに不慣れといった印象があるのだけれども。
 真面目で、不器用。鍛えられた大きな躰は、力強くて、とてもタフ。もしかして格闘家だったりとか、する? 職業は何だろう。このゴツゴツとした、大きな手で、朝早くからひとりでおにぎりを握っていたのかと思うとなんだかおかしかった。
「食べて少し休んだら、ここを出よう。半日も歩けば着くはずだ」
 巨大な古代鳥に襲われたあと、美琴たちは1時間ほど歩いた先で“空き家”を見つけた。誰もが疲労困憊で、疲れに疲れきっていたし、日も暮れ始めていた。そして当然のように、その家で休むことにした。
 空き家といっても、いまは無人というだけで、もちろん誰かが住んでいたのだろう。この家の住人は死んだか、それともどこかに避難したか、とにかくこの家には戻ってきていない。――そういうことで、美琴たちは一晩だけ家を“借りる”ことにした。
 なにより今は緊急時だし、勝手に借りても許されるだろうと美琴は思った。それに髪も肌も衣服も、血と汗と砂埃にまみれていた。家を借りて、美琴は真っ先にシャワーを浴びた。他人(ひと)の家のシャワーを勝手に使うことに多少の罪悪感はあったが、やはり全身の汚れを落とせるのは有難かった。シャワーを浴びてさっぱりすると、心なしか気力が湧いてきた。生きる気力だ。
 牧の話によれば、生存者たちの“避難所”は、ここから歩いて半日の距離だという。
 無事に辿り着けるだろうか――、という思いは当然の如くある。道中で何に出くわすかわからない。醜悪な、畸形の化け物どもは、地上のあらゆるところにいて、美琴たち人間を狙ってるように思われた。
(それでも――)と美琴は思う。
 わたしは生き延びて、わたしを嗤った人間たちに復讐する。生きることで、復讐する。ざまあみろ、あんたらは死んで、あたしが生き残るんだ――ざまあみろ。絶対に生き残って、そして今度はわたしが嗤うんだ。結局のところ、生き残ったのはわたしなのだ――、と。
 わたしは絶対に生き残る。
 たとえ地上が地獄に変わろうとも。絶対に生き残ってやる。

 それがわたしの、復讐だ。


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