みやび萬紅堂。
いらっしゃいませ。コメントはお気軽に。
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DATE: 2010/04/30(金)   CATEGORY: 雑記
青春とかとか。
檸檬色したあの頃、ちょっと甘酸っぱい記憶。
切ない青春のワンシーン、刹那に過ぎてく、
僕たちはまだ若くて、何もわかっていなくて、
あの頃失った何かを、そして得た何かを、今もまだ考えている。

微炭酸の感覚、少し爽やかな風。
切ない青春のワンシーン、刹那に過ぎてく、
何もかも乗せて、確かに過ぎていく、何もかもが過ぎ去っていく――


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DATE: 2010/04/27(火)   CATEGORY: 雑記
青春とか。
君の泣き顔が見えた気がした。
それは刹那の奇跡のようで、思わず涙が込み上げた。
僕は声もかけられず、ただそれを見送った。

君の泣き顔が見えた気がした。
零れる涙まではわからなかったけど、思わず何かが溢れ出した。
僕は声もかけられず、ただそれを見送った。
ただそれを見送った。

君の泣き顔が見えた、そんな気がしたんだよ――


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DATE: 2010/04/24(土)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐38 (旅立ち)
 シューシューという音を立てながら怪物の肉体は黒い霧のような煙を上げていた。まるで肉体がカタチを維持できなくなり、文字通り霧散していくかのような光景だった。
 骸は、生き残った人間を見回した。
 かつてない禍々しさを持った、最凶の敵を前にして、ここまで生き延びてきた全員が生き残っておる。もちろん全員が無傷ではないが、それでも生き残ったのだ。この、地獄を。
 全身の震えがとまらないまま、必死になって縮こまっている望美の肩にトンと誰かの手が触れた。彼女は見上げ、それが飯沼だということに気が付いた。「大丈夫?」
 飯沼の右腕はすでに多量の血を流していたが、それでも出血は治まってきているようである。動かせる左腕を差し伸ばし、望美を立ち上がらせた。同時に、彼女の腕の中にいた耕太も立ち上がる。
「……助かったんすよね?」
 舘岡が誰に問うでもなく、そう呟いた。
「おそらくな」
 無感動の発せられた骸の声。しかし、その冷たい皮膚の下には、誰よりも熱い心が宿っていることを詩帆はもう知っている。この場にいる誰よりも自分たちを守ろうと己の身にも構わず、必死に闘ってくれていたことは、全員がわかっていた。
 不意に、詩帆の頬を涙が伝った。
「本当に、助かったんだ」
 もう何度諦めかけたことだろう。もう何度、死を覚悟したことだろう。
 詩帆はいま、自分がこうして生きていることが不思議でならなかった。これを奇跡と呼ぶのだろうか? この、一瞬にして地獄に変わり果てた世界を、自分はここまで生き延びた。自分たちは、どうにか生き延びてきたのだ。そう思うと目頭が熱くなった。溢れる涙がとめられない。――自分はいま、生きている。
「泣くのはまだ早いぞ」
 肩に傷を負った柳瀬を起こしながら、骸は詩帆にそう言い放った。「自分で立てるか?」
「ああ。――俺たちはやつを倒したんだな?」
「そうだ。それもお前たち人間が生きようとあがいた結果だよ。俺だけではやつを倒せなかっただろう」
「そう言ってくれると少しは救われるかな」
 柳瀬は苦笑して、骸に肩を借りながら立ち上がる。
 そして骸は再び、詩帆を見遣った。
「まだ泣くのは早い。――もし、俺についてくると言うなら、ここから先はもっと険しい道のりになるかもしれない。最初からどこが終着点なのか、俺にもわからないんだ。終わりのない闘いになるかもしれない。それでも、ついてくるのか?」
 目元をぐいっと手の腹で拭い、詩帆は真っ直ぐと骸を見つめた。
「ついて行く」
 明瞭(はっきり)と、力強い返事だ。
「俺もついて行くよ」
 やや弱弱しい声ではあるが、柳瀬もそう宣言した。
「俺もいいっすか?」と舘岡。
 それに続いて飯沼もみなに同行することを決めた。望美は、少し不安そうだったが、それでも置いていかれたくはないらしい。同意の証として、骸に頷いた。むろん、耕太だけを置いていくことはできない。つまり、この場にいる全員が先に進むことを決めていた。
「最後まで見届けさせて」
 双眸に強い光を宿して、詩帆が骸に言った。
「――全員、死ぬなよ」
 呟くような放たれた骸の言葉。
「わたしは死なない。絶対に、最後まで生き抜いてみせるから」
 一同はゆっくりと進み始めた。
 先に聳え立つのは天を貫くような巨塔だ。



 新たな旅立ちが、今始まったのだった――。



 (地獄篇・完)

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DATE: 2010/04/22(木)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐37 (決着)
 地に倒れた巨獣の皮膚を突き破り、赤黒い触手がその体躯から這い出てきた。
 その太い触手の先端には、顔のようなものが付いている。――それは三貴彦のものだ。
 奇怪なろくろ首のような化け物の出現に、詩帆は思わずたじろいだ。馴染みの顔が、今はこれほどまでに恐ろしい。
「アア……アア……」
 かすれた声で呻く三貴彦の顔。
 充血した眼が詩帆の姿を捉えた。赤黒い触手の首を伸ばし、彼女に近付く。
 口が耳元まで裂けた。大口がガパッと音を立てるように開き、中から長い舌が這い出す。その赤々とした舌はべろりと詩帆の頬を舐めた。彼女にぞわりした怖気が襲ったが、あまりの恐怖に体が固まり身震いすらできないでいる。
 巨躯から這い出していたもう一本の触手が詩帆に近付いた。こちらには石平の顔がある。
「コワ、イカ……?」
 石平が何かを言った。
「……怖いか?」
 今度は先ほどより明瞭に、言葉を発した。
 にやりといやらしく笑っている。
「おい、怖いか?」
 石平の頭が付いた触手から腕のようなものが生えた。触手の一部が変化し、石平の体が形成されていく。その姿はまるで半人半蛇の化け物だ。
「もっと恐怖させてやろう」
 巨獣の体からさらに数本の太い触手が生え、それが地面に突き刺さった。そして巨獣の体躯が浮かび上がり、数本の触手は脚のように見える。それは異形の蜘蛛。
 規格外の化け物の登場に詩帆は動けずにいた。想像を絶する怪物。倒したと思えばより異質な存在になって蘇る。これを倒す方法などあるのだろうか? 際限のない闘いに、もはや彼女の戦意は削がれてしまっている。
「なにやってんだよ!」
 いつまでも化け物の眼前に立ったままでいる詩帆の腕を、駆けつけた舘岡が強い力で引っ張った。「早く逃げねえと! こんなやつと闘っても勝てねえっすよ!」
 詩帆は強引に化け物の前から引き離されたが、だからといって安全地帯に逃れられたわけではない。ここに安全地帯などなかった。世界はすでに地獄と化したのだ。そしてこの地獄には幾千という化け物が蔓延っている。その中でも最も醜悪で禍々しさを帯びた魔獣が眼前にいる事実はもはや救いなど存在する余地もないといえた。
 しかし――しかし彼らを天はまだ見放してはいなかった。今、この場にある唯一の希望が立ち上がった。
 骸は満身創痍の体に構うことなく立ち上がり、新たな骨刀――それの生成は確実に彼のエネルギーを消費させた――を口に銜えた。血に塗れた彼だが、その双眸には鬼気が宿っている。
 未だ右腕を失っているが、それでも骸は構わない。
 彼は疾駆した。風を切り裂き、地を這う雷の如き俊敏さで化け物までの距離を詰めた。まさに疾風迅雷、電光石火の速度で化け物の頭に昇り、巨獣の額に刺さったもう1本の骨刀を左腕で引き抜いた。
 魔人――今の骸は魔人だ。
 命のエネルギーを消費して、彼は動いている。死の直前のエネルギーの瞬き、超新星の爆発力だ。
 数本の触手が骸に向かう。それを薙ぎ払い、彼は三貴彦の頭の前に飛び込んだ。左腕の骨刀が一閃する。三貴彦の頭は地に転がった。
 それを見て、詩帆は思わず両目を覆う。
 骸の勢いは止まらず、彼は宙に浮く巨獣の背に飛び乗った。触手が彼を払い落とそうとする。しかし骨刀がそれを阻止し、触手との攻防が続いた。
「邪魔スルナ」
 憤怒の表情を浮かべた石平が骸に接近する。
 石平の両腕が大きな黒い鉤爪に変化し、骸の腹部を抉った。
「お前の邪魔をするのが俺の役目だ」
 骨刀が石平の右眼を貫いた。
 痛みを感じるのかはわからないが、石平はもがき、再び鉤爪が骸を襲う。残っていた左腕が切り裂かれ、もはや使い物にはなりそうもない。
 骸は口に銜えた骨刀で石平の首を狙った。
 血が迸(ほとばし)る。
 石平の頭は地に落ち、首を失った半身はぐったりと力をなくした。
 巨獣の触手が粘土細工のように崩れ出し、化け物は地上に倒れた。
 骸の美しい貌が、わずかに笑みを浮かべた。


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DATE: 2010/04/20(火)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐36 (生への執着)
 べヒモスの太い角が柳瀬の肩を抉った。
 彼は唸ると同時に強い力で振り払われ、離れた地面に転がる。
 骨刀は巨獣の額に突き刺さったままで、まるで3本角のようにも見えた。
 低い、腹に響くような獣の咆哮。
 血が溢れ、べヒモスの視界を塞いでいた。
 背の触手はビュルンビュルンと暴れ、辺りの地面を無差別に抉る。その姿は破壊そのものと呼べなくもない。災厄がカタチを成したようでもあった。
 詩帆は震える両脚に力を込め、持てる気力を振り絞って地面を踏みしめた。
 ――覚悟を決めるしかない。
 強い意志が彼女を支える。それは、彼女の生きる意志。生への執着である。
 彼女は自分の存在がどういうものなのか知ってなお、今こうして生きようとしていた。生に夢中にしがみつこうとしている。
 恐れを紛らわすために唇を噛み締めた。血が滲む。
 今なら、自分でもあの巨大な破壊者を止めることができるかもしれない。あの災厄そのものを打ち倒すことができるかもしれない。
 そのようにして彼女に勝機を見出させたのは、他ならざる額の骨刀の存在である。
 彼女は、巨獣の額に突き刺さった骨刀をさらに奥深くへと押し込んでやろうと考えていた。もちろん成功するかはわからない。しかし、それに望みを賭けるしか勝算はないように思えた。
 ――どうせ死ぬなら、あがいて死んでやる!!
 それはかつての安生 三貴彦の覚悟と同じものだった。
 彼女は、これまで自分を守ってくれた者のため、今、自分が守れる者のため、そして何より自分自身のために、命を賭けようとしている。
 多くの想いが、彼女を強くした。
 強い意志で、地面を踏みしめている。
 檜山 詩帆は全力で疾走した。
 その走りは力強く、執念の炎が燃えている。
 双眸が巨獣を睨みつけた。
 狙うは額の骨刀それのみ。
 ビュルン。背の触手が彼女の頬をかすめた。その圧力は凄まじく、それだけで皮膚を裂き、血が溢れる。
 しかし彼女は構わない。ただ突き進む。
 右腕がグッと伸びて骨刀に向かった。暴れる触手が地面を抉り、抉れた部分が詩帆を襲う。彼女は脇腹に硬いものを受け止め、わずかに呻いた。しかし止まらない。
 骨刀の柄(つか)と呼べるあたりに詩帆の腕が絡みついた。
 彼女は顔を歪めながら、力強くそれを押し込む。
 苦痛ゆえの咆哮が辺りに轟いた。
 べヒモスは血を吐き散らしながら体を暴れさせ、頭を左右に激しく振るう。
 そして、最後に小さくグゥと鳴くと大きな音を立てて地面に倒れ込んだ。
 それを見下ろす詩帆の姿がそこにあった。

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DATE: 2010/04/18(日)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐35 (べヒモス)
 全身を隆起させながら、巨大なヒグマは凄まじい咆哮を上げた。隆起した部位の皮膚は突き破られ、樹木の根のような太くゴツゴツとした触手が肉の下から這い出す。そして蛸(タコ)の足にも見えるその触手はうねうねと踊り出した。
「なんすかアレ……」
 左の眼球も突き破られた。うねる触手。残った右眼は充血して赤々とギョロついている。
「早めに片した方がよさそうだな――」
 骸が一瞬で間を詰め、右手に持った骨刀を異形と化したヒグマの頭に向かって縦一文字に振り下ろした。会心の一撃。
 しかしヒグマにはほとんどダメージの様子は見られず、多少血が流れてはいるが硬度のある頭蓋骨が脳を守ったようだった。背中の触手が骸を薙ぎ払う。
 体勢を整える間も与えず連続して触手が骸を襲った。素早く骨刀で応じるが複数の触手の全てを払い除けるのは無理のようだ。触手の先端が肩をかすり、わずかに肉を抉った。
「離れてろ!!」
 その叫びに、舘岡はびくりとして慌てて飯沼を連れて出来るだけ骸とヒグマの闘いから距離を置こうとする。
 ヒグマの右腕が骸の体を捉えた。彼は勢いよく弾き飛ばされ、硬く鋭い爪によって脇腹の肉が抉れ、骨が垣間見える。ダメージは大きかったらしい。骸はのっそりと起き上がった。
「ガルルァァァアアア!!」
 野太い咆哮とともに再び爪が彼を襲う。骨刀で防ごうととっさに構えたが、ヒグマの破壊力は凄まじく、骸の腕もろとも骨刀を吹き飛ばしてしまった。骸は右腕の半分を失った。
 骸の左手首が突起して、骨のようなものが飛び出す。新たな骨刀のようだった。それまでのものと比べやや短い骨刀だ。
「さて、どうしたものか――」
 恐るべき跳躍力で骸は宙に舞った。
 ヒグマの真上から垂直に降下を始める。骨刀の切っ先がヒグマの脳天に向けられた。骸の体に落下の速度が加わり、凄まじい衝撃がヒグマを襲った。今度こそ骨刀は頭蓋骨を穿ち、確実にダメージを与えている。
 再び咆哮が轟いた。
 触手が骸を払い飛ばす。骨刀があと少しのところで脳を破壊するほど深く貫けなかったようだ。せっかくのチャンスだったがヒグマを倒す決定打にはなることは出来なかった。
「グォォォォォォォオオオオ――!!」
 ヒグマの頭部にバッファローのような太い角が生え始めた。
 もはやその生き物はヒグマではない。体中から蛸足のように触手を這わせ、額には2本の猛々しい角。その姿は神の傑作とまで謂れた陸の怪物、べヒモスを連想させた。しかしこちらのべヒモスは禍々しく凶暴なオーラを纏っている。目の前にあるもの全てを滅ぼさんという遺志すら垣間見えるようだった。
 魔を体現したかのようなべヒモスが恐るべき瞬発力で疾駆する。その速度は100メートルを3、4秒で走りきってしまうほどだろう。隆々とした角が骸を捉え、べヒモスは勢いよく突進した。骸の両脚が宙に浮く。巨大な角が彼の体を貫いている。
「俺だって不死身ではないんだがな……」
 べヒモスは頭を大きく振り乱して骸の体を払い落とす。彼は強く体を打って地面に転がった。内臓はズタズタに裂かれ、胴は紙一重で繋がっていた。
 望美は恐ろしさのあまり震えが止まらなかった。せめて耕太だけでも守ろうと抱きかかえていたのだが、その姿は何かに縋ろうとしているようにも見えた。
 そんな望美の視界に一つの影は入り込んできた。柳瀬だ。彼は骸の落とした骨刀を拾い上げ手にしている。
 柳瀬が疾走した。べヒモスの額にある傷――骸が穿った頭蓋骨の穴を的確に狙えば勝機はあるかもしれない。そのような思いが柳瀬にはあった。
 べヒモスは憤怒を身に纏い、その独眼が柳瀬を睨めつける。
 柳瀬の手に力が籠もった。骨刀が鋭く空気を切り裂きべヒモスに向かっていく。その切っ先がべヒモスの額に刺さる。
 しかしそれと同時に、柳瀬を阻むように太い角の尖った先が柳瀬の肩を突き刺していた。
 柳瀬の腕から血が滴った。

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DATE: 2010/04/17(土)   CATEGORY: 雑記
いろいろと、これからのこと。
どうも。最近ぐったりな日々が続いている匡介です。
何度か雑記書こうとして、だけどネガティヴなことばっかりなのでやめました。

おかげさまで、MUKURO・地獄篇は一部の方からひそかに好評受けつつ(笑)、あと一息のところまできています。
最後まで楽しんで頂けるといいなぁ。心底そう思います。

以前から慢性的な不眠の傾向がありましたが、最近の睡眠は2,3時間くらいで、たとえばSONYの最新技術みたいにそれでかなり充電できればいいのだけれど、やはり2,3時間は2,3時間ほどしか休めていません。それに加えて眠り自体浅いみたいで、とっても寝た気がしない! 残念なことに!
それに4月に入って忙しくもなり、軟弱で脆弱で貧弱な自分は「ひー! もう泣きたい~!!」って気分で日々を過ごしています。それでも自分なりに頑張ってるつもりで(まだ4月も半ばだけどね!)、息絶え絶えになりつつもやることをやろうと奮闘中だったり。そもそも社会不適合者レベルのコミュニケーション能力なのでいろいろと大変なこと多いんですけど、想像を絶するくらいネガティヴなのでくだらないことで自分責めて擦り減っちゃうことも多いんですけど、それでも苦手な朝も頑張って自宅を出て(起き上がってからの動きがめっちゃ遅い)、どんなに具合悪くとも這ってでも休まん!って気力が生まれるくらい前向きでもあります。というか、もはや背水の陣なだけなんだけど(笑)

大体にして、寝たいときは眠れないのにふとした瞬間意識ぶっ飛びそうになるのはなんなんでしょうね。
先日は超満員の電車の中で隣のボブ(黒人・仮名)に迷惑をかけながらも、立ったまま寝てました。そしてスーパーでは買うもの思い出せずぼーっとしてたら意識飛んでカゴ落としちゃうし、またもや電車の中ではぶらさげていたコンビニのレジ袋を落とした音で意識を取り戻す事態に陥っていたり、帰宅後は床に倒れてたり(その場合は意識の有無関係なく)、どうしても髪を切らなきゃならなくて、でも髪切りに行く体力がないから自分で切ることにしたら切ってる間の記憶がなく、気付けば切った髪だらけの湯舟に明らかに変な体勢でいたり(入浴の予定はなかったのに…)、どうも不意に意識を失うことが多いこの頃ですが、何もだから俺頑張ってるよ! とか 俺すげえ変な人なんです! とか、そういうことが言いたいわけではなくて、ただ小説を書くことに時間を割けていないってことです。

正直いえば生きることに必死なんです。
明日のために休めるときに休みたいんです。眠れなくても体力温存しておきたいんです。というかそもそも、そういうの関係なく動けなくなって床に這いつくばってるわけですが(苦笑)
地獄のような体調の悪さを感じる日もあるし、食欲なくて、さらには吐き気がひどい日もあるけれど、それでも体を引きずり、無理に食べ物を喉に押し込んで、どうにか一日を乗り越えようと必死なわけで、吐いたら仕方ないし、吐かなかったらエネルギーを補給できてラッキーだっていうそういう感じです。人より大変なことしているわけではないのですが、なにせ人より弱い精神の持ち主なので大変だって自分は認識しちゃってます(苦笑)

いやいや、話逸れてるし結局ネガティヴ感満載だし、そもそもそういうこと書くために今こうしてるんじゃないだろう俺!!

それで、しばらくはこの状態が続くと思われるので、MUKUROはどうにか終わらせるとして、そのあとがすぐ続くかどうかちょっと自信ないんですよね。今のところ、のちの構想はなくて、出来れば今日明日とか休日に少し書いておきたいと思っているのですが、書くも何も何書くの?って感じで、なので何もかも未定なのですが、それでも何か書きたいとは思ってはいます。でも書けないことも予想されるので、そこはあらかじめ了承して欲しいなって。突然更新が途絶えることも充分あるよって。

で、MUKUROってちょっと、というか結構? バイオレンスな感じの話として展開していますが、次回もバイオレンス要素を含んだものでもいいのかなーってことが知りたいんですよね。
あまり似た系統のものを続けて発表するのは好きじゃないんですが、もしバイオレンス要素たっぷりでも全然構わないよって感じだったらあまり間を空けずに連載できるかもしれないので。
おそらく数少ないだろう読者様の意見を少しでも反映できたらなって、普段はやらないアンケート染みたことを書きました。もし、お教え願えたら嬉しいです。

あと、普段行っていたサイトやブログにも最近あまり行けていなくて申し訳ないです。
それに、行っていたとしてもコメントほとんど残していないっていうね。ごめんなさい。たとえば面白いって思ったらそうコメント残したいんですけどね。




今日は念願の何もせずに一日を過ごします。
今朝確認したらHDDの容量残ってなくてこれ以上録画されない状態なのに、観る気が起きない。でも、もし観れたら観るとしよう。そして余裕があったら小説書こう。そのときみなさまのコメントがあったらすごく助かります。


よろしくお願いします。

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DATE: 2010/04/16(金)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐34 (再来)
「すまない。今までこうして人に説明したことはないし、言葉にしようと思ったこともない。ただ俺は感覚的にそれを理解し、知っていただけだ。上手く言葉に出来たかどうかもわからないし、そもそも自分ですら全てを知っているわけでもない。そこのところは理解して欲しい」
 骸の言葉に全員が黙った。何の言葉も浮かんではこなかったのだ。
 ただ、それぞれに今の話を整理しようと躍起になっている自分がいるに違いない。
 ふと詩帆はあることに気が付いた。「それで、結局あなたは何なの?」
「正直なところ、それは俺にもわからない。化け物が自分の生まれを知らないように、君たち人間が自分がどういう存在を知らなかったように、俺自身が一体何者で何のために存在しているかというのはわからない。ただ、自分が魂のない言わば精神だけの存在で、本能がやつらに対抗し人間を救うべきだと告げている。
 おそらく、そういう存在なのだろう。
 化け物どもが人間を襲うのは人間の持つ魂が欲しいからだ。化け物どもには俺と同じように魂がない。無いものを手に入れようという本能がやつらにはある。俺はそれを防ぎたい。正があれば負がある。同じくして負があれば正もあるように、俺は化け物どもと同時に生まれた、やつらと対極の存在なのだと思っている」
 わかったようなわからないような気持ちが湧き起こるが、それでも詩帆は自分たちにとって骸は敵ではないと思った。彼の言葉を信じるならば彼は人間たちの守護者なのだ。
「これからどうするの?」
 詩帆の言葉に骸が答えようとしたとき、大きな揺れが彼らを襲った。――地震だ。
「うおっ! これまたでけえな」
 館岡が地面に転がった。
 みな両脚に力を込め、踏ん張るようにして地震が過ぎるのを待った。
 凄まじい轟音が鳴り響き、天地が逆さになるのではないかと思うほどの揺れが続いた。
 しばらくして揺れは収まったが、そのとき詩帆はあるものを見た。――それは塔だった。
 天を貫くほど高く聳えた巨大な塔が、いつの間にかに姿を現していた。石造りの塔だ。
 あまりの高さに天辺は見えず、途中で雲に隠れている。
「あれは一体……」
 思わずそう呟かずにはいられないような謎の塔。
 それには骸が声を発した。
「メビウスの塔だ。俺はそう呼んでいる」
「メビウスの塔?」
「世界と世界を繋ぐ塔だ。あの塔はもう一つの世界、肉体ある世界へと繋がっているはずだ」
 そう言い終えるや否や、巨大な影が空を飛んで行った。黒い翼を羽ばたかせた、大きな化け物。
「あれ……なに………?」
 街中の魑魅魍魎妖魔の類いがその姿を見せ、メビウスの塔に向かっているのが見えた。その光景は砂糖菓子に群がる蟻のようだと詩帆は思った。巨大な空飛ぶ影が塔と伝うように天空に駆け上っていく。
「どうやら時間がないようだ。――俺はあの塔を目指す。このあとお前たちがどうするかは自由だ。おそらくやつらのほとんどこの世界を去るだろう。そういう意味ではここは安全になりつつある」
 正直なところ、そう言われてしまったら誰もが戸惑うだろう。今まで生き延びるために必死にやってきたが、化け物どもが去ったからもう大丈夫ですと言われてもどうしていいかわからなかった。全てが崩壊したこの世界でどう生きていけばいいのか。――それともこの記憶もいずれ失われ、何事もなかったように世界は再開されるのだろうか?
 詩帆はある覚悟を決めていた。
「わたしも行く」
「それも構わない。この世界の秩序は失われてしまった。法則は乱され、このあと世界がどうなるのかは俺にもわからない。そしてあの塔の先に行ってどうなるかもだ。――そういう意味ではどちらを選ぶのも大した変わりはないのかもしれない」
 他に一緒に行きたい者は?という意味で、骸が顔を見回した。
「俺もいいっすか?」館岡は手を上げた。
「構わない。他にもいれば――その前に客のようだ」
 彼らの目の前に、巨大な黒い塊が現れた。
 それは、あの3メートルを超えたヒグマだった。
 ヒグマの肩が異様に盛り上がっており、筋肉が皮膚を破いているのが見える。全身の筋肉が急激に膨張しているようで、背中も同様に皮膚が破けピンクの筋繊維が目に付く。
 獣の咆哮が大気を震わせた。
 目にも留まらぬおそるべき速度で大きな爪が飯沼の右腕を抉り、彼はその圧力で吹き飛ばされた。館岡が駆け寄る。「飯沼さん!」
 傷口からは血がドクドクと流れ出ていた。精神と魂で出来た存在でも大量出血で死ぬのだろうか、と館岡は思った。しかし傷を負えば痛い。血を失えば死ぬ。そのようなことは当然のものとして意識に刷り込まれている。先程の話によれば思い込みによる死が待っているのかもしれない。――だが、すでに既成概念は崩れかかっている。骸はバラバラだった体から元に戻ったが、それは自分たちにも可能なのだろうか?
 またもヒグマの腕が唸りを上げて飯沼に襲いかかる。横から影が飛び込んできたのが舘岡には見えた。骸だ。骸は自身の体を盾にして飯沼を守ろうとしたが、まるで糸屑のように軽々と吹き飛ばされた。凄まじい膂力だ。
「飯沼さん、立ってください! 逃げないとやばいっすよ!」
 ヒグマの赤く光る双眸が飯沼を睨めつけた。
 咆哮。舘岡が後ずさる。ヒグマが体を起こして立ち上がり、舘岡たちを見下ろした。
「化け物、こっちだ!!」
 礫(つぶて)がヒグマの顔に当たった。柳瀬は抉れたアスファルトの欠片を拾い、再びヒグマに投げつける。憤怒の咆哮が上がった。牙を剥き出し、涎(よだれ)を撒き散らしながらヒグマは柳瀬に詰め寄っていく。
「それ以上は行かせない!」
 ヒグマの肩に白いものが突き刺さった。骸の骨刀は肉に喰い込み、深々と刺さっている。ヒグマは体を振るわせ、骸を体から引き離した。
 そのとき、ヒグマの体に変化が起こった。

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DATE: 2010/04/14(水)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐33 (世界の真実)
 横転した車から他の者も無事這い出し、骸の姿を見た。望美は信じられないように口をぱくつかせ、あからさまに動揺してしまっていたがどうにか柳瀬が落ち着かせた。耕太は子ども特有の吞み込みのよさを発揮し、飯沼は初対面だった。
 全員が揃ったところで骸は話し始めた。辺りに妖魔の姿はない。
「きっと俺が何者なのかということが知りたいと思う。しかしそれを説明するにはやつらのことが何なのかを話さなくてはならない。別に隠していたわけではないが、言う必要もないと判断して黙っていたのだが、俺はやつら化け物が何なのかを知っている」
 骸は語り始めた。
「やつら――化け物、妖魔、魑魅魍魎、呼び名は何でもいいが――は、人間の強い想いが形を成したものだ。あるいは欲望か。――何にせよ、心に強く念じられたものがお互いにくっつき合い、力を得て、形を作ったものだ」
「よく意味がわからないんだけど」と詩帆は言った。
「たとえば何かを強く欲しいと思う気持ち。食欲や性欲という根源的な欲求。あるいは物欲。金や女が欲しい。そういった欲望は互いにくっつき合って強いエネルギーになる。
 他にも嫉妬心や猜疑心、恨み、憎しみ。不満や殺意。そういった感情は強いエネルギーを持っていて、似た性質の感情はそれぞれが引き付け合う性格があるということだ」
 それらは一般的に負のイメージとして認識の強い感情だ。
 そうした感情が他の感情よりも強い力を持っていることは想像に難しくないことだろう。永遠に続くと思っていた幸福感はちょっとしたきっかけで崩壊し、絶望に変わり、怒りに変わり、悲しみに変わることがある。それら負の感情が一切を支配してしまうというのは、生きていれば誰しもが経験することかもしれない。詩帆を始め、全員が感覚的に骸の言葉の意味を理解していた。負の感情はときに手がつけられないことがある。心の主導権を奪い去り、理性を吹き飛ばし、どうしようもない激情。ときに人はそれに狂わされてしまうのだ。それは自分ではコントロールし切れない感情であり、しかし切り離すことは不可能なものだ。誰しもが強い欲望を持ち、ときに感情を荒ぶらせ、人を傷付けたりするものである。
「そういった欲望、感情のエネルギーは宙を浮遊し、彷徨い、結び付き、さらに大きなエネルギーとなって世界に蓄積されている。そのエネルギーは何かに作用して、あるいは吸収され、循環することもあるが、もはや禍々しいといってもいいこのエネルギーの集合体があまりに大きく成長してしまった場合、世界はそれを排出しようとする。世界の外に――つまり異次元や異空間と表現すればいいだろうか。
 そしてそのエネルギー体は誰の目にも留まらぬところで成長を続けていた。力は強大になり、形を持つことが出来るようになっていた。ある程度の意思も存在しているのかもしれない。いつしかそんな成長し過ぎたエネルギー体を異次元空間は抑えきることが出来なくなっており、空間が持つ容量(キャパシティー)をすでに大きく超えていた。そしてその異次元空間は崩壊した。形を持ったかつてのエネルギー体は世界に流れ込み、こうして現れたというわけだ」
 本来なら到底信じられない話であったが、現実に世界には魑魅魍魎が跳梁跋扈している。誰もが骸の話が真実だと悟った。それは予想もしない事実だった。つまり人間は自分らが生み出したものに今こうして滅ぼされようとしているのか。
「それで――あなたの正体は何なの?」
 望美が問う。突然の世界の変貌で、何も一つ理解出来ないままでいたが、今こうして話を聞いてそれも感覚的に理解は出来た。しかしまだ知りたいことは残っている。
「俺もやつらと同じエネルギー体でしかない」単刀直入に骸は言い放った。「人間というのは肉体と精神、そして魂で構成されている。その中で最も重要となる核と呼べるものが魂だ。魂が全ての基盤といってもいい。精神はそれに付随した存在に近い。肉体はそれらを守る鎧のようなものだ。俺はそのうちの精神のみで形成されているといえる」
「しかし僕らと同じように物に触れることが出来ている。肉体も持っているように見えるが?」と柳瀬は言った。
「――ある意味、そこが一番大事なところかもしれない。非常に言いにくいことなのだが、ここは肉体を持たない世界なのだ」
「肉体を、持たない…?」
「この世界はエネルギーだけで構成されている。物質的なものは何一つとして存在しない。実際に君たちが肉体と感じているものも同じだ。――つまりその肉体は精神ということなのだが」
 衝撃的な事実だった。
 骸の話は今まで感じてきたもの全てが虚構だと言っているようなものだ。これまで触れてきたものに何一つ本物はなかったということになる。そしてこの肉体も本物ではないらしい。――しかし人は肉体と精神、そして魂で構成されていると先程は言っていたはずだ。これはどういうことなのか?
「ここは、この世界は裏側のようなものだ。肉体ある世界とは別の世界。わかりにくいかもしれないから率直に言うが、君たちはすでに死んだ存在だ」
 誰もが、理解できなかった。
「人は死ぬと肉体は滅ぶ。精神もいずれ滅び、魂だけが次の生を迎える。しかしすぐにではない。肉体ある世界で人が死ぬと精神と魂が肉体から離れ、この肉体のない世界へと移ってくることになる。つまり、ここは、君たちの言葉で言うところのあの世という存在なのかもしれない」
「――どういうことなんだ? 俺は今こうしてちゃんと生きているじゃないか!」
 柳瀬が激昂して骸に詰め寄った。
 それに構わず、骸は話を続けた。
「魂はいずれ新しい肉体を得ることになるのだが、それまでにかなりの時間がかかる。どう表現するべきかわからないが、リサイクルにはそれなりの手間隙がかかるだろう? つまり浄化の時間ということだ。魂は次の肉体を得る前に浄化されるのだが、それには時間が必要だということだ。
 しかし魂は単独で存在していることが出来ない。
 魂が存在を維持するには肉体と精神が必要不可欠だ。だが、そのうち肉体はなくてもある程度の期間なら存在を維持していられる。肉体の死後に大事なのは精神だ。肉体を失った魂は次の肉体を得るまで精神に守られることになる。精神とはエネルギー体の一つで、便宜上“精神”と呼んでいるだけなのだが、その魂と精神で構成された存在はこの世界を生きる者たちだ」
 それを信じろというのか。誰もが自身のアイデンティティーを失った気分になった。まさか自分が幽霊のようなものだとは考えたくはなかった。そんな実感はどこにもない。
「俺には、過去に自分が死んだという記憶はどこにもない。それにここが死後の世界とは思えない。ここがあの世だか冥府だか知らないが、実際には誰もが普通に生活だってしている。そんなはずはない」
「それは、そのように思わせるのがこの世界の役割だからだ。この世界を維持するのに大事なのは人々の先入観や固定観念だ。“こうあるべき”“こうなるはず”という意識が生んだエネルギーがこの世界を作っている。そこに物があれば掴めるはずだし、宙で放せばそれは落ちるという思い込みの力。それがこの世界の基本だ。
 本来、魂に性格というものは存在しない。性格を持つのは肉体と精神であって魂ではない。同じように記憶の保持も魂はすることが出来ない。記憶を持つことが出来るのは主に肉体であって、それが肉体の持つ一つの役割でもある。そして精神は、一応ながら物事を記憶する能力を有しているがその容量は小さく、あまり多くのことを記憶しておくことは出来ないようになっている。それがこの世界で生活するに当たって大事なことなのだ。
 精神は魂にあたかも肉体があるように錯覚させるため、死ぬ前の生活を再現しようという力が働く。それが今、肉体を持っているという感覚の正体だ。生きているはず、という思い込みのもとでもある。
 しかし、人々の先入観や固定観念だけで形成された日常には限界があり、ところどころが矛盾によっていつでも綻び兼ねない。――そもそも多くの人の思い込みによって世界が作られているにも関わらず、全員の意識は最初から少しずつズレているのだから矛盾は当然のことなのだが。
 そんな矛盾も精神の記憶容量の小ささによってある程度は解決されている。もし世界の矛盾に気付いてしまっても、感じた違和はそれほど長く維持されないからだ。そして人々はまるで日常の違和に気付いても見て見ぬ振りをするように過ごしてしまうのだ」
 耕太は骸の話のほとんどを理解できていなかった。ただ自分がすでに死んでいるらしいということだけはわかった。望美はショックに涙を流していた。他の者は骸の言葉を信じられないか、いまいち理解できていないかで呆然としており、館岡だけがその楽観的な性格で真実を受け止めることが出来ていた。
 楽観主義もここまでくると大したものである。
「ここにいる全員が去年の記憶はないと思う。あるいは1箇月前の記憶もないかもしれない。もしかしたら昨日の記憶だっておぼろげだろう。誰かが死んだという記憶はないはずだ。あるいは生まれたという記憶だってそうだ。基本的にこの世界の人間は同じ毎日を繰り返しているだけで変化がない。世界では常に誰かが生まれ、死んでいくということをわかっているから周りでもそのようなことがあったという感覚だけがあるのであって、実際に人が増えたり減ったりしていることはまずないはずだ。家族だって存在しているはずだと思い込んでいるだけで、実際にこの世界に入ってからは会ったことだってないだろう」
 詩帆の内部で多くのものが音を立てて崩れていくようだった。
 確かに家族や友人とはしばらく会っていない。驚くべき発見や新しい事実に出会ったこともない。変化のない日常。考えてみれば幼い頃の思い出が何一つ浮かばなかった。それまでは昔のことだから忘れてしまっているのだと思っていたが……。そういえば親の顔ってどんなだっただろう? 誰かが年老いたか? ずっと同じままではないだろうか。そうだ、自分は日常に変化があると思い込んでいただけだった。この世界の何もかもが虚構の存在だったのか――…
 その場の全員が、これまでにない絶望感に襲われた。


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DATE: 2010/04/12(月)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐32 (正体)
 詩帆は震え、怯えていた。その視線の先にあるのは骸の頭部だ。
 その頭部は左半分を欠いていた。おそらくイナゴの化け物に喰われたのであろう。首の辺りからは脊柱が10センチほど伸びて、途中で無くなっていた。
 自分の見ているものが信じられぬように、詩帆は崩れ落ちた。
 あの波のようなイナゴの大群に吞み込まれて生きていられるはずもなかったが、それでも目の前にあるものの存在を否定したくなる。骸はまさに超人的な強さを持っていて、それがどこかあのイナゴの群れの中でもどうにか生き延びることが出来るのではないかという幻想を抱かせた。しかし幻想は幻想だったらしい。
 現実としてそこにあるのは骸だったもの。もはやただの物質でしかない。
「これから、どうしたらいいの――?」
 骸ですら生き延びることの出来なかったこの世界を、魔界同然のこの地獄を、ただの人間が生き延びることなど無理なのではないか。彼女が持つ想像力を総動員してもそんな未来は見えそうになかった。滅びゆくことが人類の、抗えぬ運命なのではないかと本気でそう思う。
 呆然としている詩帆にかける声もなく、舘岡は居心地の悪さを感じ、改めて骸の死体――といっても頭部だけだが――を見た。
 何か違和を感じる。
 今――、少し動かなかっただろうか?
 もちろんそのようなはずはないのだが館岡の目はわずかな動きを捉えた。
 口が動いている――!?
「あ、ああ……」
 館岡はパクパクと口を動かして、骸の頭を指差す。何も言葉は出てこない。
 その異変を詩帆は気付いたようだった。館岡の様子を見て、骸の頭に目を遣った。信じられぬが、骸の口がかすかに動いている。
 骸の目が詩帆を見た。――この状態で生きているというのか!?
「か、…からだを……あつ…めて……きてくれ………」
 ゆっくりと、か細い声だが、骸は確かに声を出して詩帆に話しかけている。
「お、れ、の……から、だ…を………あつめて………くれ……」
 どうしたらいいのかわからず、詩帆は体を動かせなかった。声も出ない。
かかっていた金縛りを自力で解いて館岡が叫んだ。「化け物だぁ!!」
「詩帆ちゃん、そいつも化け物の仲間っすよ! 早く逃げないと!」
 館岡が詩帆の腕を掴む。しかし彼女は動かない。
「どうしたんすか!?」
 詩帆にはどうしても信じられなかった。骸がやつらの仲間だということを。
 彼はこれまで何度も助けてくれたのだ。それはなぜだろう? 人間を襲う機会を窺っていたのだろうか? 違う。そのような機会は何度もあったはずだ。なのに彼は何もせず、自分の力になってくれた。
 骸はやつら化け物と同じではない。そんな確信が詩帆の中に強くあった。
「放して」
 館岡の腕を振り解き、詩帆は骸に駆け寄った。そして彼の言葉を必死に拾おうと思った。
「から、だ……を……あ、つ……めて……きて、くれ……ないか………」
 ――体を集めるとは?
 詩帆は辺りを見回した。骸の失われた体の一部がどこかにあるのではないだろうか。何もない荒れた大地に視線を這わせる。
 ――あった。
 それは骸の腕だった。どうやら左腕のようだ。
 恐るおそるその腕を拾い上げ、詩帆は骸の頭部の近くに置いた。
「ほと、んど……喰われて、しまったが……まだ少し…やつらの……喰い残しが、あるはずだ」
 徐々に声を取り戻しているかのように、骸の言葉は強く明瞭なものに変わっているのがわかった。――よく見ると骸の喉元がわずかではあるが再生している。
「館岡さん! 一緒に探してください!」
 詩帆の気迫に圧され、館岡も一緒になって骸の肉片を探した。
 それでも集まったのはほんの一部であり、そのほとんどが原形を保っていない。
 ただ彼の武器である骨の大鎌だけは無傷であった。
 それを添えると骸の肉片がわなわなと動き、まるで磁力でもあるかのように互いにくっ付きあっていった。
「少し待っていてくれ」
 肉片が急速に細胞分裂していくかのように膨れ上がり、他の部位を取り込み出した。骸の顔も同じように膨れ、あるいは隆起してブクブクと肉が溢れる。骨鎌もメキメキと音を立てて変化を始め、しばらくして肉片に取り込まれた。
肉片は見る見る膨張し、次第に形を成していく。
 それは再生というより、復元だった。
 骸は以前と寸分変わらぬ姿で立ち上がった。あろうことか服まで着ている。
「さて、何から話せばいいか――」先程までの状態が嘘のような話し方だ。
 詩帆は息を呑んで言葉の続きを待った。
「とりあえず――俺は人間じゃない」
 その場の誰もがわかっていることを、さも新しげに彼は言った。


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