みやび萬紅堂。
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DATE: 2010/03/30(火)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐26 (不休)
 部屋には5人の男が待っていた。最初に話しかけてきた若い男の他に4人。
 まずは柳瀬たちが自己紹介を終え、継ぐように若い男が喋り出した。「俺、舘岡っす。詩帆ちゃんも望美ちゃんもかわいいね。今まで男ばっかでむさ苦しかったから、なんか地獄に仏って感じ。……なんか違うか」
 舘岡は金髪の長い髪を垂れ流し、頭にはバンダナのようなものを巻いていた。どうにも軟派な印象を詩帆は受けた。
「僕は伊能です。伊能 大介。この中では立脇さんに次いで年長ですね」
 昔っぽさを感じる、少し大きいレンズの眼鏡をかけた中年の男が言った。あまり頼りがいがあるようには見えない。伊能の隣には白髪混じりの男性がいた。おそらく彼が立脇だろう。
「立脇 五平。一応、この中では最も歳は喰ってる」
 彼には伊達に歳は取っていないという、落ち着きが見受けられた。
「村田です」
 村田という坊主頭の男は体格が良く、他と比べて頼りがいがあるように見える。年齢はよくわからないが、それなりに若いようだ。普段から鍛えているのか、筋肉質な太い腕が窺えた。
「それで、奥にいるのが工藤さん。こんなことになって神経参っちゃったみたいで、精神的にアレなんで、なかなか話そうとしないんすよ」
 舘岡が指差す先には、確かに神経質そうな面持ちの男が椅子に腰掛けていた。全体的に細く、今にも栄養失調で倒れてしまいそうだ。
「あと飯沼さんっていう、すげえ人の良い人がいるんすけど、なんか飯沼さん、帰りが遅い類家さんたちのこと心配して、二人のこと探しにどっか行っちゃったんすよ。そのうち帰ってくるとは思いますけど」
 一応互いに簡単ながら自己紹介は終わったようだ。
「あの、申し訳ないのですが、何か食べるものってありますか? 彼がずっと何も食べていないらしくて」
 そう言って柳瀬が指差したのは石平だった。
 何も食べていない中で、この魑魅魍魎が跳梁跋扈する街を生き延びてきたのだ。もう体力はほとんど残っていないだろう。柳瀬は、石平には早急に休息が必要だと思っていた。まずは何か食べさせてやらないといけない。
「あー、食糧っすか。いくらかはありますけど、あれ? 坊主、類家さんと食糧探しに行ったんじゃねえの? もしかして収穫なし?」
「ごめんなさい。化け物に襲われて、持って来るの忘れちゃった…」
「マジかよー」
 伊能が耕太を庇うように言った。「まあ、仕方ないじゃないか。その代わり味方も増えたことだし」
「ここにいるやつ同様、どれだけ役に立つかわからないけどな」
 そう言ったのは村田だった。余程自分の力に自信があるようで、他の人間をやや見下しているらしい。確かにこの中では最もサヴァイバルを生き残れそうではある。
「えー、村田さんってもしかしてホモ? ゲイ? 女の子が二人も増えたっつーのに嬉しくないんすか?」
「いざってときに足手まといになるだけだろ」
「うわー、こわっ。ひどっ。……あ、俺は君たちのこと置いていったりなんかしないし大丈夫だから」
 舘岡はへらへらと笑った。
 詩帆はどちらも大して頼れそうもないな、と判断した。そもそもこの中で柳瀬や石平以上に頼りになりそうな人間は一見して見当たらなかった。
「それで、食糧は……」
「ああ、そうそう食べ物ね。ちょっと待ったー」
 柳瀬の問いに舘岡が立ち上がった。「あれ? 工藤さん、大丈夫? 顔色悪いよ? まあ、そりゃいつもだけど。今日はまた一段と具合悪そうっすよ?」
 工藤の体がもたれていた椅子からずり落ち、床に転がった。

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DATE: 2010/03/28(日)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐25 (再会)
 詩帆たち一行が到着したのはとあるホテルのフロントだった。
 いざというときに逃げられるよう、車はホテルのすぐ前に停めている。
 建物の中は薄暗く、嫌な空気が漂っていた。フロントの隅々に白い糸の塊のようなものが点在している。それはまるで繭のようでもあった。
 それに植物らしきものも繁っている。
「本当にここなの?」
 詩帆が耕太に問うた。この様子から見て、ここに誰かがいるとは想像もできない。
「うん。ついてきて!」
 耕太が先を走って行く。慌ててそのあとを詩帆が追おうとしたが、それと同時に望美が叫び声をあげた。
「――どうしたの!?」
 びっくりして詩帆は思わず振り返った。
 そこには望美と柳瀬、そしてもう一人が立っている。
「骸さん?」
 そこに立つのは骸とは似ても似つかない男の姿。
 どうやら望美は急に現れた見知らぬ人間に驚いて叫んでしまったようだが、どうも化け物ではないようだ。
「……あれ? 石平君?」
 詩帆は素っ頓狂な声で、男に話しかけた。
「石平君だよね? わたしのこと、覚えてる?」
 男は黙ったままだった。
「忘れちゃった? もう何年も会ってなかったから仕方ないかもしれないけど、わたし、詩帆だよ。わかる?」
「……ああ、檜山さんか。久し振り」
 やけに生気のない声が響いた。
 その泥だらけの汚れた風貌からすると、かなり憔悴しているようだった。
「大丈夫? 具合悪いの?」
「いや、ずっと何も食べてないせいで、力が出ないだけだ」
 石平はかすれた声で答えた。
「知り合いか?」
 状況が掴めない柳瀬が訊く。
「ああ、そうなんです。実は中学が一緒だったんですよ」
「へえ、こんなところで奇遇だね」柳瀬は心底驚いた様子だった。「だけどこんなときだ、人手は多い方が助かるし、詩帆さんの知り合いなら多少は気も楽だよ」
「でも、どうしてここに――?」
「ここに車が走っていくのが見えたから、ここに来れば人に会えるかと思って。それがまさか知っている人間だとは思わなかったけど」
 柳瀬は歩き出して言った。「とりあえず奥へ行こう。話はそれからでも遅くはないし、ほら、君も一緒に来るだろう?」
 詩帆たちはホテルの奥に進んだ。それに石平も同行する。途中、誰もついて来ていないことに気付いて耕太が戻ってきた。耕太は見知らぬ人間が増えていることに驚いたが、詩帆から説明を受けて納得をしたようだった。
 石平はふらふらと幽鬼のように歩いた。それは見ていて、今にでも倒れるんじゃないかと思えて怖い。詩帆は心配で彼に寄り添って歩いた。
 詩帆にとって石平は懐かしい人物だった。中学の3年間、クラスが同じこともあってそれなりに会話をするような間柄だった。卒業してからは一度も会っていなかったが、あまり変わってはいない。そういえば、何度か彼が自分のことを好きだという噂を詩帆は聞いていた。彼女自身は石平に対してそのような感情を抱きはしなかったが悪い気はしない。
「今までどうしてたの? あの、こんなことになる前のことだけど」
「普通に高校に入って、卒業した。それから当たり障りもない感じで大学に入ったくらいかな」
「ははっ、わたしも同じようなもんだよ」
 一瞬の沈黙。
 会わなかった時間がそうさせたのか、この状況が悪かったのか、二人の会話はそこで途切れた。詩帆にしてみれば世界がこうして魑魅魍魎が跋扈する魔界に転じてから初めての知り合いで、どうにも嬉しい気持ちが湧き上がっていた。なんとなく、心強い。
 しかし、彼女の気持ちとは裏腹に、二人の距離は微妙な間隔を保っていた。どこかズレているように気すらした。詩帆は、久し振りの再会がこのような状況だったことが残念だった。
「まさか、こんなときに会うなんて思わなかったよね」
 石平の返事はない。
「もしかして、わたしが会う最後の知り合いかもね」
 ちょっと自嘲気味に彼女は言った。
「そうかもな」
「だとしたら、それはそれで少しロマンチックだよね? …なんて」
「それってタイタニックみたいなもんか? 沈みゆく船の上で出会った男女ってこと?」
「……そうかも。でも、あれって映画はヒロインの女の人は生き残るよね」
「そうだな。きっとお前は生き残るよ」
「ごめん、冗談だって!」
 再び沈黙。
 今度は誰も言葉を発さなかった。
 しばらくして目的地についてようで、耕太が部屋のドアをノックした。「ただいまー」
「おう、小僧。あのおっさんはどうした?」
 若い男が耕太に問いかけた。おそらく類家のことだろう。
「類家さんは亡くなられました。化け物に襲われて」
 耕太の代わりに柳瀬が答えた。
「うわっ、おっさん、誰だよ?」
「この人はね、途中で僕のこと助けてくれたんだよ」
「どうも、柳瀬といいます」

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DATE: 2010/03/27(土)   CATEGORY: 雑記
かなりちょっとした半ばどうでもいい報告。
さて、かなりプライベートなことでどうでもいいんですが、所用でちょっと帰省することになりました。
何日くらいの帰省になるのかは未定ですが、その間も現在と同様のペースで連載・更新していくつもりなのでよろしくお願いします。

余程のことがない限り現行ペースでラストまで行けると思います。

帰って来たときには最寄り駅の北口改札完成してるといいな~。
それでグッと駅から帰るの近くなるんだけども。
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DATE: 2010/03/26(金)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐24 (巨鯨Ⅱ)
 鎌状の形態と採った骨刀を骸は円状に振り回し、迫り来る無数の腕を一気に薙ぎ払った。
 巨鯨と車の距離は徐々に拡がっているが、それでも巨鯨の射程距離内からはまだ脱出できていないようで、腕は次々と襲いかかってくる。
 骸が骨鎌で応戦するも耐えられるのは時間の問題だと思われた。
 そのとき、腕のうちの一本が骸を捕らえ、強力な力で引っ張った。
 骨鎌は広範囲を刈るようにして使うには有効的だが、代わりに自分に近付かれたら対応が出来ない。その隙を突かれたのだ。
 骸は軽々と車の屋根から引き摺り下ろされ、地面に転がった。
 全身に強烈な痛みが奔る。
 骸は喘いだ。
 詩帆はミラーで骸が地面に放られたことに気付くと、慌てて速度を落とし、車を停めようとした。
「そのまま行け!」
 しかし、骸はその様子を悟り、詩帆に先を急がせた。
「停まるんじゃない! とにかく走り続けろ!」
 そこに骸の覚悟を知った。
 詩帆はわずかに頷き、再びアクセルを強く踏み込む。
 ランドクルーザーは悲鳴を上げながら、それでも目一杯のスピードを出して走り続けた。
 それを眺めながら骸は巨鯨の腕に引っ張られていく。動くと体中が軋むような音が聞こえた。
「残念だが、俺は簡単には死ねない」
 突如、骸の背中がいくつも隆起し、そこの肉を突き破って骨らしき突起が現れた。
遠目からは針鼠のように見えなくもない。
 その骨の棘が彼を引っ張る腕に突き刺さり、その力が弱まった。それを好機と骸は骨鎌を振るって腕を断ち切る!
 およそ人が生きていられるはずのない傷を受けて立ち上がった骸の姿は、身体中から骨状の棘が突き出て、片手には大鎌、それはまるで異形だった。
 双眸は爛々とオーラを放っている。
 彼は宙に浮かぶ巨鯨を見遣った。
 だいぶ遠くの空に浮かんでおり、もうそろそろ射程の外だろうと思われる。おそらく今頃は詩帆たちを乗せた車は巨鯨の手の届かぬ距離に達しているだろう。
 そのときだった。
 巨鯨の口がゆっくりと開き、その中から小さな無数の影は飛び出たのは。
 最初はそれが何かわからなかった骸だが、それが近付くにつれてその正体がわかってきた。――ピラニアだ。
 ピラニアを思わせる怪魚が巨鯨の口から次々と放たれていた。そのギザギザとした鋭い歯は鉄だろうと喰い散らかしてしまいそうに見えた。
 骸の背筋を怖気が襲った。
 彼は骨鎌を片手に走った。詩帆たちが向かった大体の方向はわかっている。走れる限界の速度で走った。
 その姿は風を切り裂く、疾風の如く。
 彼はまさに疾風迅雷の速度でその大地を駆け抜けた。

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DATE: 2010/03/24(水)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐23 (巨鯨Ⅰ)
「本当に助かりました。ありがとうございます」
 応急処置を終え、包帯を腕に巻いた柳瀬の言葉に、骸はどうということでもないと無表情で、代わりに詩帆が「こんな状況ですしお互い様ですよ」と言った。
「これからどうするんですか?」
 と望美が柳瀬に問うた。
 すでに自己紹介を終えた5人だが、彼女は骸と詩帆のことを信用出来てはいない。以前に仲間だと思った人間が化け物だったということもあり、警戒の色が強かった。そもそもあの化け物が乗っていた車と同型のランドクルーザーに二人は乗っているのである。そう簡単に信用するというのは無理な話だった。
「耕太君の案内で仲間がいるというところに向かおう。類家さんのことは残念だけれど、それでも僕たちは進むしかないからね」
 その会話に骸が反応した。「仲間?」
「ええ。実は、この子がまだ生き残っている人たちが集まっているところを知っているというんです。これからそこに向かおうかと。人は多い方が安全でしょうし」
「この近くなんですか?」そう訊いたのは詩帆だった。
「そんな近くないけど、そこまで遠くもないと思うよ」
 耕太が答え、それを聞いてから柳瀬が二人に訊ねた。
「一緒に、行きませんか?」
 その言葉に、望美は不安に駆られた。
 おそらくそういう成り行きになるだろうことは察しがついていたが、それでもこの二人と同行するのはどうにも気が休まらない。特にこの骸という男は不気味だと思った。表情がほとんどないし、あの化け物どもと闘っていたときのあの動きはおよそ人間のものとは思えなかった。まるでやつらの仲間のようで、耕太の言う仲間のところへ辿りついたら全員喰われてしまうのではないか? そんな心配でいっぱいになった。
「ご一緒出来たら嬉しいです」
 そう言ったのは詩帆だ。
「この人数なら車にも乗れそうだし、早いうちに移動した方がいいと思います」
「確かに、いつまでもこの場に残っているのは危険ですね」
 怖い。車に対する、特にあのランドクルーザーに対するトラウマが望美を恐怖させた。このまま付いて行っていいものなのか? 柳瀬は、あの車を見て何も思わないのだろうか?
 出来ればこのまま車には乗らずに、歩いて移動したかった。
「ちょっと待ってくれ」
 骸が車に全員を制止させた。
「……何かが来る」
 柳瀬は言葉の意味がわからなかった。
「……何か?」
 そのとき、辺りが暗い影に呑み込まれた。
 一同が上空を見上げると、そこには巨大な魚影。おそろしく巨大な鯨にも見えた。
「なんだあれは……」
 柳瀬は言葉を失っていた。
 あまりの大きさ。あんなサイズの化け物に気付かれては、この5人などあっという間に全滅するような気がした。
 その巨鯨の全身には、フジツボのようなものが無数くっついているように見える。
 ――なんだろう?
 詩帆が目を凝らした。
 頭部のそれは、無数の眼であった。
 ギョロギョロと視線を泳がせ、獲物を狙っているように見える。
 そして胴体の方にあるのは、腕、脚、そして顔など。それは人間の体だった。
「なんなの……?」
 望美は後退りして、尻餅をついてしまった。
「あれは厄介だ。――出来れば気付かれずにこの場を離れたい」
 その骸の言葉に、柳瀬が反応した。「あれが何なのか知っているのか?」
「以前にも見たことがある程度だが、あれは周りのものを取り込んで生きている」
「取り込む…?」
「気を付けた方がいい。やつの体に触れると溶け込むように吸収されて、一体化するぞ」
 そのときだった。
 巨鯨の持つ無数の眼が、骸たちを捉え、体から生えた無数の腕が伸びて襲ってきた。
「急げ、車に乗るんだ!」
 柳瀬は叫びながら車内へと駆け込んだ。続いて詩帆が乗り込み、エンジンをかける。
 後部座席には耕太と望美が乗った。
「出せ!」
 骸は屋根に飛び乗った。
 詩帆がアクセルを全開に踏み、車は発進した。
 巨鯨から伸びた腕が迫る。
 骸の骨刀がそれを一途両断するも、腕は次々と迫っていた。
「出来るだけやつから離れろ! やつの動きは遅い。腕が襲ってくるのは一定の距離までだ!」骨刀で腕に応戦しながら叫んだ。「それ以上離れたら襲ってくることはない!」
 車窓を破り、一本の腕が車内へと侵入してきた。
 望美は悲鳴を上げる。耕太は必死に腕を追い払おうと脚を突き出した。
「捌き切れないッッ」
 骨刀が伸びてその腕を斬った。
 腕が車内に転がる。望美も耕太の出来るだけ距離を取った。
「出せるだけスピードを出せ! 少しだけでいいから時間をくれ!」
 スピードメーターが振り切るくらいに詩帆はスピードを上げた。今ならちょっとしたミスで全員が死ぬだろう。足元に何もないことを祈った。
 骸は骨刀を屋根に突き刺し、右手を背中に向けた。背骨がある部分に手を触れ、指先を突き立てるように、爪を皮膚にめり込ませた。ズブズブと肉を貫きながら指が入っていく。ズズズ…。その指が脊椎に触れると、それをゆっくりと引き抜いた。
 その光景はあまりに衝撃的で、誰しもが目を背けたくなるだろう。人によっては嘔吐すらしてしまうかもしれない。
 引き抜かれた脊椎骨は、骸の背中よりもだいぶ長いように見えた。
 その端に骨刀を重ねる。その二つは溶け合うかのように同化して、大きな鎌のような形状になった。
 それは骨鎌と呼ぶべきだろうか。骨刀の新たな形態だった。

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DATE: 2010/03/23(火)   CATEGORY: 雑記
映画メインのちょっとしたこと。
録画している映画が大変なことになっている。
毎日録画されているのに、あまり観ていない。やばい。

最後に観たのは「ステルス」という映画で、途中で消えるにも関わらずジェイミー・フォックスは存在感があった。

他にも何本か観たのだが、それでも消費は追いつかない。
最近は少し読書にも時間を使っているせいもある。

ここ数日はかなり滅入っていて、生きる気力を喪失していた。
何もやる気はしなくて、やりたくなくて、かといって別に死にたいわけじゃなく、というか死ぬのもなかなかエネルギーの要る行為な気がして、もう生きたくないけど、死にたいわけでもないしどうしたらいいんだろうなぁ、などと考えていた。

近所の映画館では59歳以下の男性が一人で映画を観る場合、月に2回しか安く観ることが出来ない。
今日がそのうちの1日で、だから映画館に足を運んだ。

「シャーロック・ホームズ」が観たかったんだけど、ATMに寄ったら劇的に混んでいて、上映時間にギリギリで間に合わなかった。…ので、「NINE」を観た。
最初から出来れば2本観たいなぁ、と思っていたんだけど、順序が逆になりそうだなぁ、と思いつつ観賞。

でも、結局は「NINE」の1本だけにしました。

それは予想以上に「NINE」が良くて、この余韻に今日は浸っていたいなって思ったから。
正直寝起きで頭働いていないので何書いてるのか自分でもよくわかってないのですが、「NINE」時間あれば観て欲しいです。

凄くエネルギッシュな映画で、映画らしい映画で、出来れば劇場で観たいような映画なので。

ミュージカル系の映画嫌いでなければ、ぜひ。
ネガティヴな気分がなんとなく吹き飛ばされました。
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DATE: 2010/03/22(月)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐22 (遭遇Ⅳ)
 響き渡る悲鳴が、望美の耳朶を震わせた。
 耕太を連れて柳瀬の行方を追っていたのだが、階段を下りていくと柳瀬が後方を巨大カマキリに、前方を化け蜘蛛に塞がれている姿が見える。
 化け蜘蛛の大きな口が、柳瀬の左腕を捕らえた。
「きゃっ」
 望美は思わず声を上げてしまった。
 しかしそれはすぐに柳瀬の悲鳴に掻き消される。
 そのとき、黒い影が望美の視界に入り込んだ。
「ヌォオオオオオオオ――!!」
 野太い叫びが大気を震わせる。
 それは、化け蜘蛛の叫びだった。
 同時に柳瀬の左腕が解放され、彼は床に倒れこんだ。
 化け物のボンネットの上に立つ、一つの影。
 望美はそこに男の姿を認めた。
 そのとき彼女はまだ知らなかったが、そこに立つのは骸。
 その手には彼が自ら体内から取り出した骨刀。それが化け物に突き刺さっている。
 骸は素早い動きで車体の下に回り、前脚の片方を切断した。
 化け蜘蛛がバランスを崩す。
 そんな彼に巨大カマキリの鎌が飛んできた。
 それを真正面から受け止めてしまった。血が噴き荒れる。
 傷に構わず骸が跳んだ。骨刀がカマキリの首を捉える。
 カマキリの首が落ちる。
 その巨大な頭が地面に転がった。
 化け蜘蛛の突進。
 骸は建物の外に吹き飛ばされた。
 ミシミシと骨が軋む音。
 地面に転がった。
「今だッッ!!」
 骸が叫んだ。
 ホテルの前に停まっていたランドクルーザーからポリタンクを手にした詩帆が現れ、骸に駆け寄った。
 彼女に化け蜘蛛が襲いかかる。
 骸は起き上がり、化け蜘蛛の前に立ち塞がった。
 化け蜘蛛の牙が骸の体にめり込む。再度、血、血、血血血血血。
 詩帆は渾身の力を込めてガソリンの入ったポリタンクを放り投げた。
 骸は無理やり化け蜘蛛の牙から脱け出た。肉が抉れる。
 宙を落ちるポリタンク、それを骸の腕が受け取る、そして中のガソリンを化け蜘蛛に降りかけた。
「これ!」
 詩帆はライターに火を点け、投げる。
 引火。
 化け蜘蛛の体が轟々と炎をあげた。
 ゆっくりと動きを止め、そして崩れるように倒れた。


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DATE: 2010/03/20(土)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐21 (遭遇Ⅲ)
 類家が先頭になってホテルの一室を出た。廊下は相変わらず静かに思える。
 そして類家に続いて部屋を出ようとした柳瀬だが、その顔に生暖かいものが降りかかった。――何だ?
「うわっ」
 とっさに塞いだ目蓋は開けるとそこには、首のない男の体。
 ――類家だった。
 巨大なカマキリの頭が視界に入ってきた。
 巨大な、鎌。
 あれで類家の首から上が刈り取られたと思うと体が震える。
 シュッ。
 気付けば鎌が、柳瀬の顔をかすめていた。
 頬が裂かれ、血が溢れる。
「う、うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 叫び声がフロアに響いた。それが自分のものだと柳瀬は気付かぬままに、全力疾走で逃げる。恐怖のあまり、顔面蒼白。血走った目が見開かれていた。
 素早い動きに釣られて、巨大カマキリの注意が柳瀬に向けられる。そして彼を獲物に定めたようで、彼を追い始めた。大きいながらも、俊敏だ。柳瀬は振り向くことなく走り続けた。
 階段を駆け下りようとする柳瀬の背中に、カマキリの鎌がかすめる。それでも切っ先は確実に彼の背に届いていた。皮膚が裂かれ、肉が裂かれた。致命的ではないものの、背中から血が飛沫を上げる。
 しかし柳瀬はそれを気に留めることなく、足を止めることはなかった。むしろ絶望と恐怖の中で、生命の危機を感じる中で、大量の脳内物質が放出され、痛みはほとんど感じていなかった。
 不意に、躓く。階段を転げ落ち、体中を打った。床に這いつくばるような体勢から立ち上がり、再び走った。鼻血が出ている。頬からも血が流れ、顔中が血にまみれていた。
 出口がもうそこに見えている。満身創痍の体を引きずり、外に向かって進んだ。もう少し。あと、少し。
 そんな彼の目の前に、大きな影が道を塞いだ。車体から6本の長い脚。蜘蛛のような姿をした、化け物。
 ――もう、無理かもしれない。
 牙を生やした、車のボンネットだ――おそらく口なのだろう――が、柳瀬の腕を捉えた。
 そのギザギザとした口が、彼の左腕を喰らう。
 牙が肉に食い込んだ。とめどなく、血が溢れる。
 柳瀬は悲鳴を上げた。


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DATE: 2010/03/18(木)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐20 (遭遇Ⅱ)
 階段を2階分昇り、耕太の言う「おじさん」という人がいる部屋の前に二人は辿り着いた。
 柳瀬は望美に目配せをして、お互いに頷いた。もしもここが化け物の巣窟だったら――という了承。そして覚悟を決め、部屋に入る。
「おじさん! 人を見つけたよ!」
 30代後半から40代前半といった男が、腰をかけていたベッドから立ち上がった。
「おお、まだ生きている人がいたのか!」驚き、そして喜びを含んだ声があがった。「会えて嬉しいです」
 望美は、平凡な印象の男だと思った。いわゆる一般人。街を歩くサラリーマン。知れば個性はあるのだろうが、その他大勢という無個性さを何となく感じさせる。よく生き延びたものだと彼女は思った。
 ――それは自分も同じだ。凡庸過ぎるほど凡庸な自分が、よくぞここまで生き延びたと心底思う。
「私は類家といいます」
「柳瀬です」
「あ、三浦です」
「柳瀬さんに、三浦さんですね。――実は私たち、これから仲間のところに戻るところなんですが、一緒に来ませんか?」
「仲間?」
「はい。生き延びた人たちで集まってるんです。私たちは食糧を探しに出てきたんですけど、これから仲間のところに戻るつもりで」
 まさに二人が探していた人間だった。やはり生き延びた人たちで集まっていたのだ。柳瀬の両目に思わず涙が浮かんだ。
「よかったら、一緒に行かせてください…」
 必死にあがき、生き延びてきた甲斐があった。どんなに辛くとも、生きる望みを捨てずにいてよかった。これまでの想いが報われて、今、目の前に希望の光が差し込んできたのだ。
「お願いします」
 色々な想いが込み上げて、声が震えていた。
 柳瀬の初めて見る姿に、望美は苦しかったのは自分だけではなかったことに気付いた。どんなときでも余裕を持っていて、自分を支えてきてくれていたと思っていた。しかし、実際は彼も誰かに支えて欲しかったのだ。どうしてそれに気付けなかったのか。この状況で、冷静でいられる人間がどれだけいることだろう? 彼も、必死に冷静に徹していたのだ。そうしなければ生き延びることは出来ないとわかっていたのだ。
 自分が情けなかった。彼に頼りっ放しだった自分が許せなかった。
 ――柳瀬さん、ごめんなさい。
 望美の頬に涙が撫でた。それを誰にも気付かれぬように拭って、強く食い縛った。――もっと強くなろう。誰かの支えになれるくらい、強くなりたい。
「じゃあ、これから行こうか。移動するのに早いは越したことはないからね。――きみたちはもう出れるのかい?」
 特に手荷物がなかった二人だったので、そのまま出発することにした。しかしその前に教えておかなくてはいけないと思い、柳瀬は車が蜘蛛のような化け物に変わったこと、それがホテルの中まで入ってきていたことを伝えた。もしかするとまだ建物の中にいるのかもしれない。無防備に階を降りるのは危険だった。
「やつらを相手に闘うことを考えちゃダメだ。見つかったら、とにかく逃げる! それのみだよ。誰かが遅れてても気にしちゃいけない。そうでもしなきゃ、すぐに全滅だよ。それだけは覚えておいて欲しい」
 類家の言葉は最もであった。
 いくら助け合うと言っても、その根本は自ら力で生き延びなくてはならない。誰しもがギリギリのところを必死であがき、生きようとしているのだ。助け合えるところは助け合う、しかし全てに力を貸すことは出来ないということは忘れてはいけなかった。全員が死んでしまっては、元も子もない。
「わかりました。肝に銘じておきます」
 柳瀬の返事に類家は頷き、部屋のドアを開けた。

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DATE: 2010/03/16(火)   CATEGORY: MUKURO・地獄篇
MUKURO・地獄篇‐19 (遭遇Ⅰ)
 カーテンの隙間から漏れ出す日光で、望美は目を覚ました。
 隣で寝ている柳瀬を起こさぬよう、ベッドを抜け出て、窓の外を覗く。どうやら朝のようだ。
 水道の蛇口を捻り、勢いよく放出される冷水で顔を洗い、ついでに喉を潤した。そういえばずっと何も食べていない。何かないだろうかと冷蔵庫のドアを開けてみたが、そこは空だった。
「他の部屋にも何もないのかな?」
 柳瀬を起こすか悩んだが、少しでも長い休息が必要だろうと思い、望美はひとりで食糧を探すため部屋を出た。
 廊下は静まり返っていた。誰かがいる様子も、また、何かがいる様子もない。
 他の部屋を覗いてみるも、当たり前のように人気はなく、また化け物どもがいる様子もなかった。彼女は自動販売機の置いてあるエリアを見つけるとそこに駆け寄った。どうやら機械は動いているらしく、販売中のランプが点灯している。そこで彼女はデニムパンツのポケットから小銭を取り出して、投入口に入れた。このような状況になっても、まだお金には価値があるらしいことに、わずかに苦笑。そしてミネラルウォーターのボタンを押した。
 ゴトン。
 ペットボトルが吐き出される音が響いた。
 それを取り出して、もう一度ボタンを押す。ゴトン。
 そのとき、彼女は思わず硬直した。
 ――何かの気配を感じる。
 何か、わずかな物音が聞こえた気がする。
「こんにちは」
 ――!?
 望美は驚いて、持っていたミネラルウォーターを床に落とした。
 そこには、少年が立っていた。
彼女には、少年は11、12の年格好に見えた。
 彼はひとりのようで、その顔には子供らしい笑みを浮かべていた。
「お姉ちゃん、ひとりなの?」
「――え? ……ううん。お友達と一緒なの。きみは?」
「僕はおじさんと一緒なんだよ」
 愛らしい、ニコニコとした笑顔。
 しかし気は抜けない。誰が化け物だっておかしくはないのだ。何しろ望美には、こんなところに少年がいるということがにわかに信じられなかった。子供だからといって彼女の警戒が解かれるわけではなかった。むしろ子供だからこそ、警戒しなければならないと思っている。やつらは巧みに化けてこちらの隙を突いてくるのだ。
「僕の名前は小畑耕太。お姉ちゃんは?」
「三浦望美っていうの。耕太君、その、おじさんっていう人は?」
「部屋で寝てる」
「どこの部屋?」
「連れてってあげる!」
 どうするべきか、彼女は悩んでいた。もし目の前の少年が化け物だとしたら明らかに罠だ。きっと逃げられない場所に連れていかれるのだろう。しかし、本当に生き延びている人がいるのならば――そしてそれが大人ならばより――それは自分たちが探していた仲間になってくれる人間かもしれない。やはり、柳瀬を起こすべきだろうか。
「お姉ちゃんのお友達も一緒に行っていいかな?」
「いいよ。友達ってどこにいるの?」
「お友達もおじさんと同じでお部屋で休んでるんだよ」
 耕太を連れて望美は柳瀬のいる部屋に戻ると、すでに彼は起きていてベッドに腰掛けていた。
 柳瀬は望美が見知らぬ少年と一緒にいることに驚き、彼のことを望美に訊ねた。望美が耕太のことを説明すると、柳瀬はペットボトルのミネラルウォーターを一口飲み、「じゃあ、行こうか」と部屋を出た。

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