みやび萬紅堂。
いらっしゃいませ。コメントはお気軽に。
DATE: 2008/08/31(日)   CATEGORY: 短篇小説
キラー・マシンガン!(前編)
 まるで巨大な公園であるかのような緑にあふれたその広大な土地は、その<公園>の中央にそびえ立つ大きな屋敷の主、コルネオの所有地だった。コルネオのその所有地の広さは、門を通ってから屋敷に辿り着くまでに少なくとも10分以上はかかるということからも、それがかなり広大な面積だということが計り知れるはずだ。
 <公園>の中央にある彼の屋敷は、最新鋭のセキュリティーによって護られていた。屋敷だけではなく、その広大な<公園>のいたるところにまで設置された監視カメラに、サーモセンサー(対熱センサー)などのセンサーが張り巡らされ、常時100人を超えるSPが辺りに控えていることから、そのセキュリティーの堅固さとコルネオの強い警戒心が窺えた。

***

「ここがやつの屋敷か。」
 金髪にグレイの瞳、そして銀色のロングコートに身を包んだその男の名はサンス。腕のある殺し屋としてその業界に名を馳せている。そんな彼の通り名は“Silver Devil(銀色の悪魔)”。それは彼の愛用する銀色のロングコートと彼のその悪魔的な強さに由来する。
「ああ、ここさ。といっても目的の屋敷はここからじゃ見えないけどね。」
 プラチナブロンドの短髪の男が言った。その男の表情は微笑んでいるように見えるが、それは彼の元々の表情で、実際には必ずしも微笑んでいるわけではない。そして、その男の眼前には見渡す限りの緑が広がっていた。
「オイオイ、ハリー。これ、本当に入れるのか?」
 ハリーと呼ばれたプラチナブロンドのその男が答えた。
「その質問、そのまま僕もしたいよ。」
 そう言って、ハリーは笑った。今のは彼元来の表情ではなく、本当に笑ったようだ。それを見てあきれ顔でサンスが言った。
「オイオイオイ、無計画なのかよ。」
「計画性のなさはキミと同じさ。」
 ハリーはもう一度笑った。サンスは、やれやれ、と小さく呟いた。
「それでどうする?」
「うーん。普通に入ってもすぐバレるだろうしなぁ。運良く入れたとしても、ここから屋敷までの距離は…遠すぎるよねぇ。」
 二人は考え込んでしまった。数分間の沈黙が訪れたが、二人に解決策は浮かばなかった。
 そこに一台のトラックが現れた。どうやらトラックは<公園>の中に入っていくようだ。<公園>の中にある建物といえコルネオを屋敷しかない。
「あれに忍び込むっていうのはどうかな?」
「仕方ねェ。それでいくか。」
 二人は<公園>の中へと向かうトラックを追いかけた。

***

「侵入者がいるようです。」
 コルネオの部下の一人が彼に報告をした。
「そうか。いつものようにすぐに始末しろ。」
「はい。」
 白髪をオールバックにした老人は深く溜め息をついた。また侵入者か。やっとのことで手に入れた地位がこれだ。せっかくの金もこの屈強な警備に費やさなければならない始末だ。
「何だ? まだ何かあるのか。」
 コルネオはまだ自室から出ていない自分の部下を見た。
「あの…ご報告するまでのことかわからないのですが。」
「言ってみろ。」
「侵入者の一人は銀のロングコートを着た金髪の男だそうです。」
 コルネオは片眉をかしげた。銀色のコート?
「それは銀色の悪魔か?」
「わかりませんが、おそらく」
 コルネオはもう一度深い溜め息をついた。
「わかった。さがれ。」
 あの噂に名高い殺し屋が入ってきたとは。考えただけでも頭が痛くなる。

***

 ハリーは運転席でハンドルを握り、トラックを走らせていた。後方からは数台の車が追ってきている。
「オイ、ハリー! もっとスピードは出せないのか?」
 サンスがせかす。
「まあまあ、そう言わずに。これが限界速度なんだよ」
「嘘つけッ! もっと出せるだろうが!」
 サンスはトラックのスピードメーターを指さして言った。
「僕が運転できる速度の限界だよ!」
 ハリーは笑う。
「シット!」
 サンスは不機嫌になった。

***

「侵入者がいるらしいぞ。」
 屋敷の入口を護衛するSPの一人が言った。
「でも、ここまで辿り着けるか? ここまで来る前に他のやつらがやっちまうさ。」
「まあ、そうかもしれないけどよ。」
 SPの二人がそんなことを話していると前方からトラックが暴走し、こちらに突っ込んでくるのが見えた。
「おいおい、なんだありゃ!?」
 そのままトラックは屋敷の玄関へと突っ込んだ。
 車体から煙の上がったトラックのドアが開く。
「どうやら、無事に着いたようだね。」とハリーが言ってトラックから降りた。
「これのどこが無事だよ!」そう言いながらサンスも降りる。
「僕らにとってこれくらいは無事の範疇じゃないか。」
 ハリーが笑顔でそう言うと、サンスは返す言葉もなかった。
 そこで屋敷のSP数人がトラックの方へと駆けつけてきた。

 バァァァン。

 駆けつけたSPの一人が倒れた。
 ハリーは続けて、後ろを振り向かずに銃だけを後方に向け、引き鉄を引いた。

 バァァァン。
 ハリーは相手をまったく見ずに、銃弾をSP一人に命中させてしまった。これで倒れたSPは二人となった。
 ハリーは人さし指をトリガーに引っかけたままクルクルと銃身を回し、もう一人のSPに向けて撃った。それを三回続けて撃つ。合計で五人のSPたちが床に倒れた。
「とりあえず奥に進もうか。」
 そうハリーが言った。二人は屋敷の奥へと歩み始めた。

***

「ちょっと~! 今の音なに!?」
 肌は浅黒く、金に染めた髪を弾けた花火のようなツインテールにした女の子が言った。彼女のメイクは独創性にあふれている。
「舞、少し静かにしなさい。」
 長い黒髪の女の子がそう言うと、マイと呼ばれた女の子は「はーい」と返事をした。
「でも静ぁ。今の音ちょっと大きすぎない?」
「何か命令がない限り、私たちには関係ないわ。」
 長い黒髪に白すぎる肌はどこか日本人形を思わせた。黒く、大きな瞳がさらにそれを強調させている。彼女は日本の高校の制服を着ていることなどから、どうやら日本人であることは確かのようだが、実際に女子高生かどうかは定かではない。

 そこへ男が入ってきた。
「コルネオ様がお呼びです。」
 シズカはマイに目をやった。マイは暇で暇で仕方なかったので、暇の解消ができるかもしれないと思い喜んだ。
「さあ、舞。行きましょう。」
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DATE: 2008/08/29(金)   CATEGORY: 雑記
あからさまなフラストレーション。
どうも。今月の読書数がまだ1ケタという匡介です。
読書したいような気もするんだけど、全然モチベーションが上がらない。とゆーか、一日中眠い。

なんか、こう、何事に対しても意欲満点! みたいな方法はないものでしょうか。

疲れてるのかなー。
何に対してもやる気が出なくて、無駄に時間を過ごしている気がするんだよなぁ。
何もせずに過ごすのも好きだけど、それは「何もせずに過ごす」っていう目的を持って過ごすときに限るわけで、ここ数日のような「何かしたいけど何もしてない」っていう感じは非常に不本意な時間の過ごし方です。あー、なんか堕落してるなぁ。

気分転換にドライブにでも!

って人はいいよなぁ。
俺は車ないどころが免許もないので、気分はドライブでもどうしようも出来ません。
あー、これがフラストレーションってやつかー。

とにかく、もう少し充実感を持って過ごしたいものです。
とりあえず早寝早起きを心掛けることから始めないとなぁ。←完全夜型人間
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DATE: 2008/08/28(木)   CATEGORY: 短篇小説
5分間の…。
 雨が降っていた。僕は駅のホームで電車を待つ。
 しばらくすると電車が来た。目の前のドアが開き、電車に乗り込んだ。車内は空いていて、こんなときにここは田舎だなぁ、と僕は再認識する。適当な席には座り、カバンの中から読みかけの文庫本を取り出した。しおりを挿んでいたページを開く。
 気付くと、向かいの席にひとりの女性が座っていた。顔が小さくて、まるでガイジンさんみたいな印象を受けた。髪は綺麗な黒髪で、着ているTシャツもデニムパンツも黒だった。全身黒色だというのに、何の違和感もなく、それが逆に不思議な気持ちにさせた。もしかしたらあの大きなベルトが上下の黒を違和感なくさせているのだろうか。…なんてことを考える。
 僕は読書を再開させながらも、時折り彼女を覗き見ていた。綺麗な人だった。けれど彼女をことが気になる理由はそんなことではなく、醸し出されているミステリアスなオーラのせいだ。彼女の周りは空気が違って見えた。
 文庫本に目を落としながらも僕は夢想する。彼女の声はどんなだろう。 趣味は何だろうか。どんな食べ物が好きなのか。好きな映画は何か。普段音楽は聴くのか。兄弟はいるのだろうか。 けれど不思議なことに、恋人がいるかどうかは気にならなかった。彼女ほどの容姿を持っていれば彼氏くらいいるだろう。そう思いはするのだが、そんなものの存在を感じさせない何かがあった。高嶺の花。そんな言葉が浮かぶ。誰の手にも届かない。つい周りにそう頷かせてしまう雰囲気。それに僕は惹きつけられているのかもしれない。
 もはや読書などちっとも進んでいなかった。脈拍がいつもより早い。同じ空間を共有しているそれだけで、これだけドキドキさせられる。窓を見ると景色は早送りで進んでいた。
 僕は何も求めようとは思わなかった。ただ彼女を包む空気をより長く味わっていたいと思った。
 電車の揺れとともに彼女の黒髪も揺れた。ドクン。心臓が大きく脈打った。
 
 次第に電車が速度を落とす。まもなくしてホームで停車した。
 僕は電車を降りる。彼女に後ろ髪を引かれながら。
 最後に僕は振り返る。彼女と目が合った。
 
 彼女が微笑んでいるように見えた。

 僕は改札を抜け、傘を差して駅を出た。
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DATE: 2008/08/27(水)   CATEGORY: 雑記
ゴメンナサイ、久し振りにマジで反省しています。
まず謝らせてください。




本当に申し訳ありません。




昨夜、コメントの一括承認をしようと思ったら、間違えて一括削除をしてしまいました。痛恨のミスです。
コメントをしてくださった方々、本当にごめんなさい。すっっごい申し訳ないです。

Yuka様
lolina様
錆浅葱様

おそらく以上の方のコメントを消してしまったと思います。
Yuka様とlolina様は複数のコメントをしてくださっていたにもかかわらず、、スミマセン。

今後はこのようなミスがないように、慎重にいきたいと思います。
なのでどうか今後もコメントを残して頂ければ嬉しいです。今回は本当に申し訳ありませんでした。
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DATE: 2008/08/26(火)   CATEGORY: 「怪奇蒐話」
「換気扇の奥」
弟が泣きそうな顔でおれの部屋にきた。
どうしたのかと訊くと弟の部屋にある換気扇の奥に何かがいるという。

おれは弟の部屋に足を運んだ。
そして部屋にある換気扇を覗き込んでみたけれど何もない。

きっと気のせいだというと弟はぜったいにちがうといった。
おれはからかって「誰かいますかー?」と換気扇の奥にむかっていった。
弟はやめてといってこわがった。

「はあい」

おれはその返事を聞いてこおりついてしまった。
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DATE: 2008/08/26(火)   CATEGORY: 雑記
最初の2時間は本当に無駄なプレイしてた。
こんにちは。匡介です。
サイレントヒル2をクリアしました。なんか何とも言えないエンディングでした。なんか救われない。
でもエンディングは4パターンあるようなので、さっそく2週目突入です。でもどこらへんが分岐ポイントなのかサッパリわからない。困ったなぁ。

サイレントヒルの世界観は気に入ってるので、そのうちオマージュを込めた作品を書こうかなって思ってます。

まぁ どちらかというとゲームより映画に影響を受けた気がするケド。
ゲームサイレントヒル2は、なんかよくわからないところ多くて…。もう少しやり込めば別の見方ができるのかもしれないけど、今のところは解せん。
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DATE: 2008/08/25(月)   CATEGORY: 雑記
実はちょっとダークナイトも気になってる、だってバットマン好きだし。
こんにちは。匡介です。
久し振りに竹刀を振ったら手に水ぶくれが出来ました。でもたまにの素振りもいいなぁ。

昨日は映画を観に行きました。映画は好きなんだけど、実際に映画館に行くのはたまにだけ。
でも観たかったんです…「ハンコック」!!

そもそもウィル・スミスが好きなんだけど、それ抜きにしても気になってました。
面白かったです。先行上映を観てきたので、これから観る人の方が多いと思うからあまり感想を述べるのは避けておきますが、俺は好きでした。まぁ 個人的にもう少し面白く出来たかなぁ、って感じもするんだけど(笑)
でも、ハンコックの非常識なほどの超人振りは観てて気持ちよかった(あれをスクリーンで観たくて映画館まで行ったに等しい)。あと何回か感動で目元が潤んだ気もします(笑) 意外と感動系。
そのほかに笑えるところもあって子供から大人まで充分楽しめると思います(ただし映画館だと好きなように笑えないけれど(笑))。

俺は、あの迫力は劇場のスクリーンで観る価値があると思います。…保証はしません(笑)

それから話は変わるけれど、昨夜からサイレントヒル2をやってます。操作性が微妙。動かしづらい。
あとアイテムの使う箇所がわかりにくい(さらにいうとアイテムのある場所がわかるにくい)。せめてもう少し視点切り替えが出来れば嬉しいんだけどなぁ。
実は映画サイレントヒル2が製作中ということで公開になったら映画館で観たい気もする。
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DATE: 2008/08/24(日)   CATEGORY: 短篇小説
水溜りの中の魚。
私は自分の目を疑った。


今日は一日中雨が降っていたが、私が残業を終えた頃にはすっかり止(や)んでいた。
会社から家まではそう距離があるものでもないので私は歩いて通勤することにしている。

今からだと家に着く頃にはもう妻は寝ているだろうと思う。
最近は妻も齢(とし)なのか具合が悪くなる事も多い。それならば私が帰る前だとしても先に寝ていてもらった方が安心だと思う。無理をして体調を崩されても困る。

そう思いながら歩いていた。
地面は先ほどまでの雨のせいで湿っていて、ところどころに水溜りが出来ていた。

最初は気のせいだと思った。

しかし矢張(やは)り泳いでいる。
水溜りの中で魚が泳いでいるのだ。

どう考えても水溜りは浅いものだと私は思う。
けれどもまるでそこだけ深くなっているように水溜りの中には沢山(たくさん)の魚がいた。

上から覗き込む形になるのでどうしても二次元的になってしまうのだが、矢張り底は深いように思える。


帰ると思った通り妻は先に寝ていた。
疲れが溜まっているのかと思い、私も直(す)ぐに寝ることにした。

朝になってから妻に昨夜(ゆうべ)のことを話すと「大丈夫ですか?」と云われた。
私が「多分疲れが溜まっているのだろう。」と云うと「しっかりしてくださいよ。あなただけが頼りなんですからね。」と妻は云った。私は、解っている、とだけ答えた。


***


今日は休日だが妻の調子が悪かった。
普段なら一緒に散歩に出掛けるのだが、仕方ないので散歩は諦めようと思った。
しかし妻が「一人で行って来ていいですよ。」と云うので云われるが儘(まま)一人で行くことにした。

「あなたのたった一つの愉(たの)しみですからね。奪っちゃ悪いですよ。」

そう云う妻をあとに私は散歩に出た。
昨夜はずっと雨が降っていたのでところどころ水溜りが出来ていた。

覗き込んでみるとまた魚が泳いでいる。
まるで水溜りの部分だけ別の空間に繋がっているようである。もしそうだとしたら海かどこかに繋がっているだろう。

水溜りから視線を上げると目の前に黒い猫が居た。

「お前にはこれが見えるかい?」

猫はぷいと向こうへ行ってしまった。
もし猫にもこの魚が見えたらどうするのだろうか。大好物の魚に我慢できず飛び込んでしまうかもしれない。
しかし猫は水が嫌いと聞く。それはないかもしれない。

私は閑(ひま)なので黒猫に付いて行ってみる事にした。
黒猫はどんどんと前に進んでいく。私は置いて行かれないように早足で追いかけた。

黒猫を追うと「あやかし堂」と云う妙な名前の骨董屋に着いた。
猫は中に這入(はい)ってしまったので私も這入る事にした。

「おかえり。」
あやかし堂の中に居る少年が云った。
「おや。お客様を連れてきたようだね。」
黒猫はニャアと云って自分の主人へと擦り寄った。
「いらっしゃいませ。」
「お前さんはこの店の人かい?」
「ええ。この店は僕の店ですから。」
「ていうと、お前さんがこの店の主人か?」
「そうですね。僕が主人という事になるでしょう。」
少年はにこやかにそう云った。
「この店の名前は変わっとるねえ。」
おや、そちらのお客様でしたか、とこの店の主人だと云う少年は云った。
「丁度(ちょうど)今、ティータイムにしようかと思っていたところです。ご一緒に如何(いかが)ですか?」


***


私は若い主人に誘いを受け一緒に紅茶を啜(すす)った。
少年の名前は神堂 四郎と云うらしい。この店は父親から譲り受けたものらしく、それならば多少若い主人と云うのも頷けた。

「山崎さんのように一見でこの店に御越しになる方は悩みを抱えている方が多いのですが、山崎さんも悩みなどはございませんか?」

水溜りの魚の事を話そうか。
別に悩みと云う訳でもないが、気になる事ではある。信じて貰えるとは思えないけれども話のネタにはなるだろうと思った。

「悩みではないけどもね、最近妙な事が起きるんだよ。」

私は水溜りの中に棲む魚の事を話した。
四郎はさして驚くようでもなく、疑っているようでもなかった。ただ「それは不思議な話ですね。」とにこやかに云った。

「山崎さん。若輩ながらご忠告させて頂きますがよろしいでしょうか?」
私は、構わんよ、とだけ云った。
「それに興味を持ってはなりません。最初からなかった事にして気にせず生活なされるのがよろしいかと思います。」
「そりゃア、何故だ?」
「放っておけば何の害もないでしょう。しかしそれは興味を持っては危険な事象なのです。」
彼は至極真剣な表情で云った。
「ほう。キミはあの水溜りを知っているのか?」
「僕は直接目にした事はありません。しかし、噂に聞いた事は。」
「なんと。じゃア あれは何なんだ?」
「申し訳ありませんが、それは解りません。」
黒猫が何かを銜(くわ)えて四郎に近寄った。
「唯(ただ)、云える事は解らぬ事には近付くな、ということだけですね。」
私は、なるほど、と呟いた。
確かに解らぬ物や事に不用意に近寄るのは知恵ある者のすべき事ではない。まさに、君子危うきに近寄らず、と云うことだ。
考えてみれば、解らぬものほど危うきものもそうないと思う。

「もし良ければこれを指に結び付けてください。」

そう云って四郎が取り出したのは紙で出来た紐だった。
私はよく解らぬまま云う通りに紙の紐を指に結び付けた。彼の云うことに従った方が良いと直感が告げていた。

「また散歩がてらにいらしてください。また一緒にお茶を飲みましょう。」

私は彼にお茶のお礼を云ってあやかし堂をあとにした。


***


「スグリ、行っておいで。」

四郎がそう云うと黒猫は山崎老人のあとを付いて行った。

「何事もないと良いのですが。」と四郎は呟いた。


***


私は家に帰ると妻に神堂 四郎の事を話した。
妻は「変わった方ですね。」と云った。確かに変わっているな、と思った。


――あやかし堂に訪れてから1箇月以上が過ぎた。


今日の午前は雨が降っていた。
今では止んだが、地面には水溜りが出来ていて確かに雨が降っていた事が窺える。

しかし幾ら水溜りがあろうと気にしなかった。
私はあれから水溜りに近付くことはなくなっていた。

ところが、ぴちゃん、と音がした。
何の音かと思って見てみると水溜りの水面(みなも)が揺れていた。

そのまま見ていたら今度は、ばしゃん、と云う音がした。
それは水溜りから魚が宙に跳ねる音だった。

今まで水溜りから跳ねる魚は見たことがなかった。
今まで二次元だったその存在が三次元となって現実味を帯びていた。

「矢張り魚は本当にいるのか?」

私はつい水溜り近付き覗き込んだ。
水溜りの中では大きな魚が鈍鈍(のろのろ)と泳いでいた。上手くやれば手でも取れそうだった。

私は覚悟を決めて水溜りに手を入れてみた。
するとどんどんと奥へ手が入っていく。本当に底は深いらしい。

手の先に何かが当たる感触があった。
おそらく水溜りの中を泳ぐ魚であろうと思った。
そして私はその魚を手に掴んだ。魚は必死に逃げようとするが私はがっしりと掴んでいた。

私は水溜りの中の魚が獲れるんじゃないかと期待した。
しかし次の瞬間、私は足を滑らせて水溜りへと転落した。

思った通り水溜りの中は広かった。
底が見えぬし、これでは本当に海のようだった。

私は水溜りの底へと沈んでいった。


***


「切れてしまったね。」

四郎はそう云い乍(なが)ら指に巻きついた紙で出来た紐を見ていた。

「山崎さんにあげた紙紐はね、僕の指に結んでいる紙紐と繋がっていたんだ。特殊なものだから誰もそれには気付かないけれど、僕と山崎さんは紙の紐を通して繋がっていた。これが切れてしまったと云う事は山崎さんは水溜りに落ちてしまったんだろうね。紙は水で簡単に切れてしまうから。」

「そんな事はどうでも良いが、また只働きだぞ。」と黒猫は云った。

「結局僕の力では山崎さんを助ける事が出来なかったんだ。それは仕方ないさ。」

四郎は悲しい顔をした。しかし涙は流れてはいない。
黒猫が「行くのか?」と訊いたので四郎は「ああ、案内してくれ。」と云った。

黒猫は歩き始めた。
四郎はそれに付いて行く。

「もう一度、一緒にお茶をしたかったね。」

黒猫は四郎に構わずに先に進んだ。


***


インターホンが鳴った音がした。
山崎夫人は玄関のドアを開けるとそこには一人の少年が立っていた。

「こんにちは」

少年の足下で一匹の黒猫はニャアと鳴いていた。
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DATE: 2008/08/23(土)   CATEGORY: 雑記
all hope is gone.
こんばんは。匡介です。
今日、久々にパフェ食べました。マンゴーパフェ。美味しかったー♪

もう10年以上の付き合いになる小学校来の友人と会いました。
やはり馴染みの友達は落ち着くなぁ。くだらない話も続く続く(笑)

そして、その友人と一緒にタワレコ行った際にアレを見つけてしまったのです。




Slipknotのニューアルバム!!




マジで!!? …いや、もうかなりびっくり!
Slipknotっていつ活動再開したの!? まだ活動休止してるものだとばかり思ってた。
もう衝動買いというかなんというか、これは買わない手はない1枚だろうということで即買い。
ついでに以前から買おうと思っていたScars On Broadwayも買いました。あとONE OK ROCKと凛として時雨も。

結構痛い出費だけど、悔いはねえぜ(笑)

SlipknotはDVD付きのヴァージョンを買ったので、これから観ようかと思います♪
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DATE: 2008/08/23(土)   CATEGORY: 雑記
ブルージーな朝。
おはようございます。匡介です。
今日は帰省中の友達と久々に会う…予定でしたが!
偶然にも昨日ばったり会ってしまったので、久々っていうのは当てはまらなくなってしましました(笑)

あと久し振りにCD買いたい気分です。
そろそろnanoの中身も入れ替えたいなぁ。

狙ってるアルバムがいくつかあるので隙あらば買ってやろうと思います。…いや、隙てなんやねん。



以下、バトン。
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